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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフのやる気を引き出すにはやりがい?それとも報酬?スタッフのモチベーションを上げるために確認しておくこと

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2019.07.16 執筆者:和仁 達也

スタッフにもっとやる気や向上心を持って欲しい!

スタッフのやる気を引き出すにはどうすればいいのだろう?

これは経営者だと皆さん思うことではないでしょうか。

しかし、実際のスタッフは今の現状に満足してしまっている。

スタッフのもっとやる気をもっと引き出すためには何が必要なのだろう?

給料?

責任?

手っ取り早いのは報酬を上げるという方法ですが、安易に報酬を上げることでスタッフのモチベーションアップにつながらない場合もあります。

スタッフのやる気を上げるために、少し考えて確認して欲しいことがあります。<

この記事では、スタッフのやる気を引き出す為に必要な考え方を解説しています。

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ホワイト歯科は本院と1件の分院からなる医療法人。今日は月に1度、院長と分院長による幹部ミーティングで、各医院の重点テーマについてディスカッションがなされていた。

開業3年目の石井分院長が加藤院長に相談をもちかけた。

「院長、わたしはもっとスタッフに向上心を持って、どん欲に仕事をしてほしいのですが、どうもスタッフは『今のままでいいじゃないか』という感じなんです。

それで考えてみれば、たしかに給料やボーナスがさほど変わるわけでもないし、無理に多くの患者さんを見ようという動機づけの仕組みがないな、と。
それで、なんらかの形で給料を引き上げるとか、したほうがいいのかな、と感じているんです」

加藤院長は、石井分院長の話を聞くと、デジャブのような感覚を感じていた。
かつての自分の経験の中にも、思い当たることがあったからだ。そこで、いくつかの質問を投げかけることにした。

「石井先生、たしかに給料が上がることはスタッフにしてみればうれしいとは思うけど、果たしてそれが彼女たちの一番の望みなんだろうか?」

「え!?」一瞬、石井分院長が絶句すると、加藤院長は続けた。

「今、彼女たちが一番求めている“報い”は、何だと思う?
モチベーションアップといえば、報酬を考えがちだけど、報酬には2種類あって、“経済的報酬”と“精神的報酬”があるんだ。給料やボーナスを増やす、っていうのは経済的報酬だね。
じゃあ、精神的報酬には何があろうと思う?」

石井分院長はしばらく考えて答えた。

「精神的に報われる報酬ということでしたら、上司からほめられるとかねぎらいがあるとか、でしょうか?」

加藤院長はうなずきながら説明を加えた。

「うん、それも大切だね。それ以外にも、“勉強できる環境や制度がある”というのもある。
たとえば、よその医院では学べないことを現場で学べるとかね。石井分院長は口腔外科のスペシャリストだから、『もっと先生から教わりたい、せっかく勉強した知識を仕事で生かしたい』というスタッフはいるんじゃないかな?

診療中は仕事をまわすことで精一杯だとしても、その診療の狙いややり方を別に時間をとってスタッフに指導してあげる、なんていうのも、学ぶ意欲のあるスタッフには、さらに火がつくだろう。

制度としては、外部研修に参加させて、その費用も医院が一部もしくは全額負担する、というのもある。これは、経済的報酬の要素もあるやり方だ。もっとも、このあたりは一定以上の向上心があるスタッフを想定しての話だけどね。ただ・・・。」

「ただ・・・?」

加藤院長は、ここ数ヶ月の来院数と売上のデータに目をやりながら言葉を続けた。

「今回は、そういう問題じゃない気がするんだ。ちなみに、先月は過去3番目に高い売上を達成しているね。これは、何が成功要因かな?」

石井分院長は、しばらく考えてから答えた。

「それは、スタッフたちが結構、手際よく段取りをしてくれるようになったからかもしれません。そういえば、以前はストレスに感じていたことが最近はほとんどなくて、ドクターであるわたしが働きやすい状態になっているように思います。

だから、今は1日35人診ているのですが、余裕が生まれたので、本当なら40人まで増患できるような気がしていたんです。

でも、そのことをスタッフにそれとなく言うと、微妙な空気になったので、『あれ、患者数を増やすことに反対なのかな?』と感じて、『あぁ、報酬が増えるわけでもないのに患者数を増やすのが嫌なんだな』と解釈したんです。だから、給料アップの仕組みを打ち出せば、もっとやる気になってもらえるのでは、と思いまして」

加藤院長は、我が意を得たり、との表情で膝を叩いた。

「なるほど、そこだよ!それだと、スタッフは『せっかく段取りを工夫して仕事が早くなったのに、もっと忙しくなるのか、まるで自分で自分の首を締めているみたいだ』って思わないかな?」

石井分院長は、はっとした表情で一瞬息を飲み込んだ。

「たしかにそうかも知れません。スタッフのがんばりで仕事がしやすくなった挙げ句に、そのことへのねぎらいもないままに『もっと頑張れ!もっと増患を!』では、スタッフも心が折れちゃいますね」

「だとしたら、カギは、給料を増やすことじゃない。今必要なのは、石井先生がスタッフにランチでもごちそうしてお礼を言うことじゃないかな?それと、スタッフの雑務を一手に引き受けてくれる助手をパートで雇うことで、彼女たちの負担を減らすこと。そうすれば、彼女たちは衛生士としての仕事にもっと専念できるし、結果的に今より多くの患者数を診れる体制がつくれるんじゃないか?」

石井分院長はメモをとりながら、大きくうなずいた。

「たしかにその通りです。なるほど、たしかに彼女たちが今、望んでいるのは、わたしからの承認の言葉と、公私のバランスをきちんと保ちたいという気持ちなのかも知れません。少なくとも、『残業してでも、たくさん働いてもっと稼ぎたい』という感じではないですね。
ものごとの本質をきちんと見ないと、ズレた対応をしてしまうんですね。危ないところでした」

加藤院長は、うなずくとミーティングを終了し、石井分院長をランチに連れ出した。

 

【今回のレッスン】

◎ スタッフのがんばりに報いるには、経済的報酬と精神的報酬の2つのそれぞれを考える。

◎ 給料やボーナス以外に、どんな形で報いることができるか、そのバリエーションは普段から考えておきたい。技術を学びたい人なら、「学べるチャンスがある」こと、家族がいる人なら「時間の都合がつけられる」ことも報酬となる。

◎ そして、「院長からのねぎらいの言葉」や、「医院がどこに向かっていて、それに自分がどう関わっているのか」をきちんと伝えてもらえることも報酬となり得る。人は「意味」を求めて動く生き物だから。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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