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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「銀行ではなく親からの借金だから、返さなくてもいい」とは言えない時代借入の返済を待ってもらうためにすべきこととは?

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2018.12.16 執筆者:和仁 達也

分が医院を開業する時に、銀行以外に親から借金をして開院する方も少なからずいると思います。

銀行からの借金は返済計画の元に毎月の借金返済はあると思いますが、親かの借金は、親という近い関係もあり、つい甘えてしまう場合が多いのではないでしょうか。

しかし、いくら親のお金と言っても、借金は借金です。

今まで返さなくてもよかったのが、親の都合によって急に返さないといけなくなってしまう場合もあります。

ただでさえ、銀行の借金返済が大変な中、親の借金までとなってしまえば、経営的にも大きく圧迫してしまうかもしれません。

この記事では、借入の返済を待ってもらうためにすべきことを解説しています。


今日は、経営キャッシュフローコーチの和仁との定期ミーティングの日。
ホワイト歯科の加藤院長は、資料の束を揃えてミーティングを待ち構えていた。

ホワイト歯科は、開業して3年目。右肩上がりに収入は増えているものの、まだようやく収支トントンになったところ。銀行と父親からそれぞれ3000万円ずつ借りて、父親の土地をタダで借りての開業。銀行の借入はかろうじて返せるレベルになったが、親から借りた分は塩漬けのまま。とは言え、親も近くで歯科医院を経営しており、経済的にはちゃんとまわっているので、これまでさほど心配はしてこなかった。

「ところが状況が変わってきまして」

加藤院長はさっそく切り出した。

「親が突然、『貸してある開業資金を、そろそろ返してくれ』と言ってきたんです。銀行からの借入はなんとか月20万円ずつ収入から返せるようになったんですが、それでスッカラカンで。親の分までは今は返せる状況じゃないんです。昔から経済的にはそれなりに豊かなはずなのに、なぜ急にそんなことを言いだしてきたのか、理解できない。

わたしもムキになって、『返さないとは言っていないでしょう!とにかくちゃんと返すから、今は待っててよ』と言い返すのですが、最近は顔を合わすたびにこの会話の繰り返しで…。なんだかギクシャクし始めてきて、嫌なムードなんです。こんな思いをするくらいなら、バーンと返したいところなんですが、今は私の給料もカツカツで、親に返済できる状況ではないし…。」

キャッシュフローコーチは、加藤院長の情報を頼りに、父親の医院の収支を読み解いていくことにした。
情報を探っていくと、どうやら加藤院長の父親の医院は、1年前から急速に患者数が減っている。

「この1年で患者のアポが1割以上減っている」「キャンセルが増えている」など、父親の口から出る嘆きを拾って、医院の業績を推測すると、父親はかつての余裕があった頃の生活費は受け取れていないことがわかった。しかし、息子に弱みを見せたくない父親が、正論として「貸してあったお金を返してもらうことで生活費の足しにしよう」と考えたようだ。

「なるほど、父の医院もここまで追い込まれていたんですね…。だから私にお金の工面を急に言いだしてきたわけだ」

「そのようです。お父さんも、背に腹は代えられない経済的事情があったんですね。
さて、返済を要求される理由はわかりました。次は、それにどう答えていくか、です。

『ない袖は振れない、今すぐ返せないものは仕方がない』というのは本音ですが、これでは堂々巡りを繰り返すだけですね。『いつになれば、いくらずつ返せるのか?』を、根拠を持って示すことは、借りた側の最低限の責任。それをお父さんにわかりやすく伝えてはいかがですか?」

先の収支見通しの立て方を知らないが故に、借入の返済計画を示さない。それでいて、「お金は貸して欲しい」では筋が通らないことは重々承知なのだが、どうしていいのかわからない院長は多い。加藤院長もその1人だった。

キャッシュフローコーチは、1つずつ質問を出していった。

「たとえば、仮に半年後には家賃相当分の20万円を月々返す。そして、さらに半年後には開業資金から20万円ずつ返す。そうやって段階的に返済を進めていくプランを考えてみましょう。

まず、半年後に月20万円の返済をするには、1カ月20日診療するとして、1日あたり今より1万円以上の粗利を稼ぐ必要があります。これは、保険診療の患者2人分にあたりますね。

ホワイト歯科は、今1日平均17人の来院なので、1日19人になればこれが可能です。

そして、そこからさらに半年後には、もう2人分、患者が増えるようになれば、さらに月20万円の粗利が生まれます。これを開業資金の返済にあてます。

つまり、『現状の1日17人の来院患者数を、半年後に19人、1年後に21人に増やす手立てをうてば、お父さんへの返済は実現可能』ということです。こうやって分解して考えてみて、どうですか?イメージできますか?」

加藤院長は、うなずきながら答えた。

「なるほど、これはよくわかります。最近、初診カウンセリングをやり始めたところなので、これから定期メンテナンスで来院する患者さんは増える見込みです。

あと、今まではキャンセル対策を何もしてこなかったので、今後は無断キャンセルには受付から即電話をして、代替日の予定を入れてもらうようにします。

それから、今のところ自費率が10%と低いのですが、これから補綴選択の際に、『安さ』以外の『安全性・審美性・機能性・耐久性』などの選ぶ基準をちゃんと伝えて、納得のいく選択をしていただくように仕組みをつくっていく予定です。これが定着すれば、自費率がアップして、患者数のアップとあわせて手を打っていけば、さきほどのプランは決してムリではないと思います」

キャッシュフローコーチは微笑みながら、言葉をつけ足した。

「まさに、そこです。『いつまでに、いくらずつ返してくれるのか?そして、それが可能な根拠は何か?』そこに信ぴょう性があれば、貸す側も安心してお金を貸しておけますよね。あとは、お父さんに『現状はこうで、今後こうなっていくから、それまでの半年だけ待ってもらえないか』、という交渉は必要ですね」

加藤院長はうなずいて、つぶやいた。

「そうか、相手が親だろうが、銀行だろうが、お金を貸す相手に対するスタンスは同じなんだな。
先の予定を示さずに、催促ばかりする親に逆キレしていてはラチがあかない。この話を今晩、きちんとしてみるか」

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎コミュニケーションを円滑にする秘訣!『空気を読む、とは?』

今回のレッスン

◎ お金を貸す人(貸主)は、単にお金を返してくれないことに文句を言っているのではない。
先の見通し(どう返してくれるのか)を示さないことにイラついているのだ。

◎ ①「なぜ今すぐは返せないのか?」②「いつになれば、いくらずつ返せるのか?」③「そのためにどんなアクションをとるのか?」④「それは実現可能なプランか?」をちゃんと紙に書いて視覚化して、貸し手に説明しよう。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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