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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

なぜ院長報酬は医院の利益と区別して管理すべきなのか?

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2022.08.15 執筆者:和仁 達也

個人事業には公私混同のドンブリ経営がよく見受けられますが、
その原因の1つは、決算書の形式にあります。

個人事業主の決算では、社長の報酬と会社の利益が合算されて
「所得」と表示されます。

それを見慣れていくうちに、社長個人の報酬と
会社の利益の境目がなくなり、公私混同の道に突き進むのです。

歯科医院の多くは法人化しておらず、個人事業主の形態で活動しています。
そこで、この記事では歯科医院を題材に
「なぜ院長報酬は医院の利益と区別して管理すべきなのか?」
をストーリー形式でお伝えします。

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ホワイト歯科の加藤院長は、お金の流れを学ぼうと
キャッシュフローコーチの和仁が講師を務める
「脱★ドンブリ経営セミナー」に参加していた。

その中で、医院のお金の流れを
「お金のブロックパズル」という図にして理解する
手法を説明され、とてもわかりやすく理解できていた。

今まで決算書を税理士に見せられても、数字の羅列で味気なく、
まったくイメージができなかった。

しかし、ブロックパズルの図でビジュアル的に見せられると、
直感的につかむことができ、
「これなら自分でもやれそう」と確かな手応えを感じる
ことができた。

そんな中、1つだけ疑問を感じていた。講師は

「院長報酬は、医院の『利益(所得)』に含めるのではなく、
スタッフの給料やボーナスと同じ『人件費』に含めて考えましょう」

と言っていたが、それは一体ナゼなのか?」という点だ。

個人事業であるホワイト歯科の決算書では、
院長報酬は一番最後の「所得」として計上されているし、
加藤院長には、今まで医院の利益と自分の報酬を
区別する発想がなかった。

ましてや、セミナーの中で

「年度のはじめに、毎月いくらの院長報酬を受け取るかを決めよう」

という提案があったが、それもよくわからなかった。

「院長報酬は、医院の利益が多ければ多くもらえるし、
少なければ切りつめて我慢するものだ」

と思っていたからだ。

そこで質問タイムに講師にその点を尋ねてみることにした。

講師はにこやかに次のように答え始めた。

「ご質問、ありがとうございます。
『お金のブロックパズルの中で、なぜ院長報酬を
利益の中ではなく、スタッフと同じ人件費の中に含めているのか?』
というご質問ですね。

これは、一言で言えば、
「公私混同のドンブリ経営になるのを避けるため」
です。

歯科医院の多くは個人事業主なので、
決算書のフォーマットとしては、院長報酬は医院の
『所得』として扱われますよね。

なので多くの歯科院長は、『院長報酬と医院の利益は、同じもの』
と捉えている人が多いようです。

しかし、実は
『歯科医院がドンブリ経営におちいり、
お金の流れが見通せず、漠然とした不安なまま医院経営をする』
ことの、真の原因がここある、とわたしは考えています。

この『所得』には、『院長報酬』と『医院の利益』の
2つが合算されています。

この形だと、両者がごちゃ混ぜなので、

『医院としての借入の返済や設備投資、将来の投資資金、
万一の備えに、一体いくらかかるのか?』

が見えにくくなります。と同時に、当然

「院長は生活にいくら使えるのか?」

も不明確になります。そうなると、

予算化することができず、
「あれば、あっただけ使う」という場当たり的な
お金の使い方になり、
「ビジョンを実現するために、何にいくら使うか?」
という逆算思考も出来にくくなるのです。

また、プライベートな支出と仕事の支出の境目が曖昧になり、
気がつけば公私混同が進んでいきがちです。

その結果、ますます医院のお金の流れがわからなくなり、
先の見通しも立たず、目隠ししたまま経営をするような
不安を感じながら医院経営をすることになりがちです。

その点、企業(法人)では、決算書でも、
経営者の報酬は利益ではなく、人件費に含まれます。

決算書の形がこのように法人と個人事業とで異なる背景には、

『個人事業主は規模が小さいので、それほど厳密に管理する必要はないが、
法人は規模も影響力も大きいので、公私の区別をちゃんとさせたい
(=きちんと税金を徴収したい)』

という国の意図もあるのではないでしょうか。

なので、企業のお金の流れを管理する点では、
こちら(経営者の報酬は人件費に含む)が本来の形とも言えるでしょう。

個人事業主の決算書の形が、むしろ例外的であって、
あれは企業経営というより、家族経営の範疇です。

つまり、医院のお金の流れと、院長個人のお金の流れを
区別することで、一般の企業と同様に、

①入りとでのバランスを考えながら、
②目的別に色分けをして、
③逆算思考で経営する、

すなわち、キャッシュフロー経営を実践する入り口に立つことができる。

よって、その前提に立つと、

『院長報酬は、医院の利益に含めるのではなく、
人件費として予算化し、実績との対比をしながらお金の管理をする』

ことが望ましいということになります。
いかがでしょう。ご理解いただけましたか?」

加藤院長は、大きくうなずいて答えた。

「なるほど、そういうことだったのですね。
これまで、なぜお金の見通しが立たなかったのか、
がよくわかりました。

また、ドンブリ経営を脱却すべき理由も腹落ちしたので、
これからは目隠しを外して、先を見た経営をする決意ができました」

 

【今回のレッスン】

◎お金のブロックパズルの中で、院長報酬を、利益の中ではなく、
スタッフと同じ人件費の中に含めている理由は、
一言で言えば「公私混同のドンブリ経営になるのを避ける」ため。

◎院長報酬と医院の利益を区別しないと、予算化できず、
場当たり的なお金の使い方になり、
「ビジョンを実現するために、何にいくら使うか?」
という逆算思考も出来にくくなる。

◎ そうなると、プライベートな支出と仕事の支出の境目が
曖昧になり、気がつけば公私混同が進み、
ますます医院のお金の流れがわからなくなる。
その結果、先の見通しも立たず、目隠ししたまま経営をするような
不安を感じながら医院経営をすることになる。
それを避けるためにも、院長報酬と医院の利益は明確に区別しよう。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎【給料の決め方!】医院の利益をちゃんと残して、気持ちよく報酬を受け取るために 院長の給料を決める方法とは?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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