VCスキルだけで連続研修を受注。 売り込まない。教えない。説明しない。それでも社長の心は動いた
2026.09.13 執筆者:奥村 龍晃
日本キャッシュフローコーチ協会独立社員研修
実践者:加藤 武志(キャッシュフローコーチ養成塾上信越4期)
株式会社ミライスタコンサルティング 代表取締役
大手工作機械メーカーで材料開発、製造、生産管理、人事・調達など幅広く経験後、「人づくり」への想いから2021年に独立。製造業・建設業を中心に企業のミライづくりをサポートする。
インタビュアー:奥村 龍晃(キャッシュフローコーチ養成塾東京9期)
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今回は、無料相談の現場でVC(ビジョナリーコーチング)スキルを活用した思考整理と言語化により連続研修を受注した初回面談の型を伺うインタビューです。
「企業向けにサービスを提供したいが、なかなか最初の一歩が踏み出せない」という声は少なくありません。加藤さんはVCスキルを磨き、面談の中で社長のお困りごとの本質を理解し、共感し、対応策を提案するというキャッシュフローコーチの基本を実践して、初回面談から連続研修受注へとつなげました。
VCの型を量稽古で体に染み込ませた先にある再現可能な考え方と初回面談の進め方をお伝えします。
Contents
VCの実践が最強のプレゼン
奥村: 加藤さん、本日はよろしくお願いします。今回の研修の話を伺う前に、まずはその前提となるスキルの土台について教えてください。
加藤: はい。今回は、2冊の本でインプットした考え方を土台に、VCスキルそのものを前面に出しました。まず『プロの思考整理術』と『たった一言で頭がいい人だと思われる コンサルタントの言語化力』の2冊を内容をしっかり読み込みました。そのうえでVC交流ひろ場やPPPに参加して、量稽古を何回も重ねて、意識しながら実践で使ってきました。本で得た考え方をVCスキルとして研ぎ澄ました結果が今回の成果に繋がりました。
基本の型を体に染み込ませたことが、すべての土台になっています。
奥村: スキルの習得が先で、書籍はそのインプット源だったわけですね。
たった1時間で、社長が自分から動き出した
奥村: 今回の企業さんとは、どのような経緯でつながったんですか?
加藤: 既存クライアントからの紹介で、ある程度信頼のある状態から入りました。今年の2月に岐阜県にある大手建設機械メーカーの販売代理店を訪問して、社長・専務ら3名と約1時間お会いしました。最初にご挨拶を済ませ、社長さんから現状でのお困りごとを伺いました。
そして、私がお話しするタイミングになったところで「社長、本日はどのくらいのお時間をいただけますか?」とお伺いを立て、「1時間ぐらい大丈夫ですよ」と許可を頂いた上で、「では、ホワイトボードを使わせていただいて詳しくお話しをお伺いしたいのですがよろしいですか?」と許可を取ってVCを始めました。
奥村: 1時間の面談は具体的にはどんなふうに進めたんですか?
加藤: ベースはVCの基本の流れそのままです。まずタイトルを決めて、理想の状態を聞いて、現状に戻る。この型は崩しません。そのうえで自分なりに一工夫を加えたのが、理想と現状の間に”壁があるようにイメージして”1本線を引き、魚の背骨のようにたくさん問題が存在している図を全員で作り上げながら、「どの壁(問題)がセンターピンですか」と聞くやり方です。ホワイトボードは欠かせません。ない場合はノート型のホワイトボードを持参しています。
あとは環境・能力・行動の3側面で「何から始めるか」を整理していく。出てきた言葉をそのまま受け取るのが大前提ですが、まだ思考が整理されていない段階では、参加者がそれぞれの視点で発言がされるのでまとまりや方向性がブレたように感じますが、そんな時こそ抽象度を1つ上げて収束させる。ここが思考整理と言語化力の見せどころです。最初は「組織を良くしたい」「ワンチームにしたい」という話だったのが、最終的に「会社を明るくするには」にタイトルが変わりました。
面談が終わる頃には参加者3名がホワイトボードをスマホで撮影してくれて、翌日には社長ご自身が「これで進めたい」と、ご自身で研修の方向性を資料にまとめて送ってくださいました。こちらは何ひとつ売り込んでいません。それでも、社長の方から動いてくれた。思考整理と言語化が刺さった証拠ですね。
奥村: 面談の翌日に、社長自ら動き出すとは相当な手応えですね。
教えていないのに、共通言語が自然と生まれる
奥村: その後、加藤さんはどのような提案をされたんですか?
加藤: 2月10日にヒアリングして、翌11日に提案書を出しました。向こうのレスポンスが早かったので、こちらも早く返す。提案の軸は思考整理と言語化の両輪です。山手線に例えると、内回りが2ヶ月に1度の現地リアル研修、外回りが月1回のオンラインでの思考整理。「研修と思考整理をセットにして、会社を明るくしましょう」という提案で受注しました。
奥村: 書籍はその研修の中でも登場するんですね。
加藤: はい。5月のキックオフは25名・5チームで朝9時から16時まで。全員が同じ言葉で語れるようにと、『コンサルタントの言語化力』を昼休みに配りました。参加者はその日初めて手にしたはずですし、こちらから読み込ませたり解説したりもしていません。
それでも午後のワークでは、ある参加者が自分から「これは積石なんですけど」と本の中の言葉を使ってくれた。共通言語さえ渡しておけば、教えなくても現場は動き出すんです。そして、6回のリアル研修では副読本としました。本は手段であって、学ぶこと自体が目的ではありません。問題を解決して職場を明るくする。そのための共通言語を全員に持ってもらう役割ですね。
奥村: 研修の中で全員が同じ言葉を共有する共通言語として、本が活きているわけですね。
教えないから、売れた。
アドバイスしないという最強の営業
奥村: 最後に、これから一歩を踏み出す仲間へ、ひと言いただけますか。
加藤: 1つ挙げるなら、アドバイスしないことです。上から目線で言わない。まず相手のお困りごとを言葉通りに、フラットに受け止める。こちらから誘導せず、許可を取ってから始める。売りたい・契約したいが前に出ると押し売りになりますから、相手の頭が整理されることだけに集中する。
教えず、売り込まないからこそ信頼が積み上がって、結果として研修の話は向こうから決まっていきました。本を読み、VC交流ひろ場、PPPなどで十分に予行演習をしてから実践で試す。VCの基本の形を身につけて繰り返して、無意識にやれるところまで【意識】をしています。
まずは量をこなさないと質は向上しない、と信じています。
上下関係のない同じ仲間としてお伝えしたいことです。
奥村: 今日はありがとうございました。
加藤: こちらこそ、ありがとうございました。
行動マップ
VCスキルを土台に、書籍を”共通言語”へ変える
0.土台をつくる
勉強と量稽古を重ね、VCの型を体に染み込ませる。
1.信頼起点で入る
1-1 紹介で訪問:飛び込まず、既存クライアントの紹介で信頼のある相手に会う。
1-2 困りごと起点:まずお困りごとを聞き、許可を取ってから思考整理を始める。
1-3 ホワイトボードで可視化: タイトル→理想→現状→壁→センターピン→環境・能力・行動の流れで社長の頭の中を整理する。
2.両輪で提案する
2-1 内回り(リアル研修):定期的に現地を訪問し、実践型の研修で鍛える。
2-2 外回り(オンライン思考整理):月1回の思考整理で現場の課題を継続的に整理する。
2-3 書籍を副読本として配る:研修の中で共通言語を持つための手段として活かす。
3.信頼を勝ち得るコミュニケーション
3-1 アドバイスしない。
3-2 許可を取って1つずつ進める。
3-3 相手の言葉をフラットに受け止める。
相手目線で思考整理をサポートする姿勢を徹底する。
VCの型を無意識で実践できるまで鍛える。
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構成・文/奥村 龍晃(キャッシュフローコーチ養成塾東京9期)










































