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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

社員が「給料の3倍稼いで一人前」と言われる理由

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2021.11.30 執筆者:和仁 達也

多くの社長が意外と気づいていないことの1つに、
「社員は儲けの仕組みを知らない」という事実があります。

「儲けの仕組みって、売上から費用を引いたら利益が残る、
ということでしょ?それくらいウチの社員だって知っていますよ」

本当にそうでしょうか。
では、あなたの会社の社員さんは次の質問に答えられるでしょうか?

 

Q・なぜ利益は必要なのか?

Q・利益を増やすためには、どのような考え方ができるか?

以前、私のセミナーに社員と一緒に参加された社長がいました。
その社員たちはセミナー後、私のところにやってきて、
次のように言っていました。

「売上が2倍になったら、利益が9倍にも膨れ上がるなんて、
びっくりしました。目からウロコです」

「いままで『10万円の広告宣伝費を投入したら、
最低でも10万円の売上をつくらなければ』と考えていましたが、
これは大きな間違いだったんですね」

さらに、こんな声もありました。

「僕はいままで会社の利益は社長の懐に入るものだと
思っていましたが、違ったのですね」

このように誤解している人はたくさんいます。
「会社の利益=社長の利益」という短絡的な連想体系を
信じている人もいます。

中には社長自身がこのように思い込んでいる場合もあります。

このような、会社のお金と社長個人のお金の色分けがされていない
ドンブリ経営真っ只中の会社では、

「いったいいくら売上をつくればお金の悩みから解放されるのか」

がわからないのです。

また、社員に次のような質問をしてみたらどう答えるでしょうか?

 

Q・自分の給料を引き上げるためにはどうすればいいか?

「きっと『売上が上がれば給料も上がる』と答えると思いますが」

答えはNOです。

売上が上がっても、粗利率が下がる、経費が増える、
借金の返済が増える、などの事情で人件費を増やせない
会社はたくさんあります。

 

社員1人1人が「どれだけ自分が稼ぐ必要があるか」を知る方法

あなたの社員は、「自分がいくら稼ぐ必要があるか」、
その金額を知っていますか?

「え~、私は日頃から『自分の給料分ぐらいは稼げ』と
会議のたびに言っていますから、彼らも最低限それぐらいは
必要だと思っているはずです」

給料分!その程度の基準を提示しているのですか。

「マ、マズイですか?」

大いにマズイです。

もちろん給料以下の稼ぎしかできないとなると、もはや論外です。
「待っていても仕事がもらえた」時代なら、
「どれだけ自分が稼ぐ必要があるか」など、
知らなくてもよかったかも知れません。

しかし今は普通にしていれば売上は下がります。
それは仕事が減り、社員がやることがなくなるということです。
(中には価値を生んでいないのに、たた忙しいフリをしている人もいますが)

すると、「生み出す価値(粗利)<給料」となる。

これが続くと、会社はどうなりますか?

「人件費が利益を圧迫して、最終的には倒産します」

そのことを1人1人が自覚して、

「今、私は受け取っている報酬と会社に与えている貢献の
バランスは取れているだろうか」

と自らに問いかけ、

●会社に赤字を与えない(=収支トントン)レベルの
「個人“必達”売上目標」はいくらか?

●会社に利益を生む(=儲けさせる)レベルの
「個人“挑戦”売上目標」はいくらか?

そして、その売上をいかにしてつくるか、
を自分で考えさせたいところです。

「ところで、社員1人1人にその「個人必達売上目標」や
「個人挑戦目標」がいくらかを認識させたいのですが、
どうすればいいでしょうか?

相当緻密な計算をしなければならないような気がするのですが」

「個人“必達”(挑戦)売上目標」を把握する目的は、あくまで
社員1人1人に自分の給料に対して責任を持たせ、
受け取る報酬に見合った価値を生み出すよう促すことです。

正しい数値を出すことに意識を向け過ぎると、
そのプロセスばかりが煩雑になり、途中で投げ出したくなる
こともあるので、ここでは小難しい計算はさておいて、
簡単にできる方法をお伝えしましょう。

 

3分でできる「個人“必達”(挑戦)売上目標」の算出法

【Step.1】
今受け取っている給料の12ヶ月分と年間ボーナスを合計した
「年間報酬」を書き出す(所得税や社会保険料なども含めた「総支給額」です)

【Step.2】
「年間報酬」の2倍の粗利を稼いでいたら、収支トントン、
すなわち赤字にはならない状態である。その粗利を粗利率で割ると、
「個人“必達”売上目標」がわかる。
それ以下の売上しかつくっていない人は、会社の利益を目減りさせている。

【Step.3】
「年間報酬」の3倍以上の粗利目標なら、会社の利益に貢献しているといえる。
その粗利目標を粗利率で割ると、「個人“挑戦”売上目標」がわかる。
この基準で目標を設定している人は、会社を儲けさせてくれる可能性が高まる。

たとえば、月給30万円、ボーナス90万円の営業マンの伊藤さん。
彼の年間報酬は450万円です。

したがって、年間報酬の2倍の粗利900万円を稼げば会社としては収支トントン。
(=個人“必達”粗利目標)
年間報酬の3倍の1,350万円なら利益に貢献しているということです。
(=個人“挑戦”粗利目標)

そして、これはあくまで粗利ベースの話なので、
売上ベースで目標を立てる場合、仮に粗利率50%なら、
個人“必達”売上目標は1,800万円、
個人“挑戦”目標は2,700万円ということです。

「なぜ収支トントンのレベルとして、
年間報酬の2倍の粗利が必要なんですか?」

それは、会社のお金の流れの全体像を見るとわかりますが、
固定費の2分の1から3分の2程度は人件費です。
つまり、人件費の2倍近くの固定費が会社にはかかっています

これは言い換えれば、社員1人にかかっている年間報酬と
同じくらい目に見えないところで固定費が発生しているのです。

それは具体的には、会社負担分の社会保険料、
忘年会や慰安旅行などの福利厚生費、
ケータイや事務所電話・FAXの通信料、
事務所を使用することによる家賃、駐車場代、
会社までの通勤代や外出する際の旅費交通費、
事務用品費、日頃使う機械設備やパソコン、
営業車のリース料などなど、様々なものがあります。

その分の粗利を稼ぐことは、収支トントンにする上で必要だということです。

そして、それ以上の粗利を稼げているのであれば、
その人は利益を生んでいると言えます。

その1つの象徴として、

「報酬の3倍は稼げ!」

というスローガンが一般的に言われていますが、
その根拠はここから来ています。

「たしかにそのぐらいのラフな目安なら、当社でもすぐにはじき出せそうです」

ただし、1つ注意点があります。

先程の話はあくまで社員1人1人が自ら売上をつくる仕事、
たとえば営業や販売などに携わっている場合の話です。

会社には、経理や事務、営業補助など直接売上をつくらない
役割の人もいます。彼らは自分が売上を稼いでくることはできません。

しかし、他の社員が本来は自分ですべき役割を肩代わりすることで、
間接的に会社の売上に貢献しているはずです。

そこで、そのような人は、
稼げる人をサポートすることによって、
会社の粗利アップにどれだけ「間接的に」貢献しているか
その金額を想像してみましょう。

もちろん厳密にはじき出す必要はありません。
そんなことは不可能です。

たとえば、3人の営業マンの営業補助をしている田中さん。

彼女は年間350万円の報酬を受け取っています。
そして、その2倍の粗利は700万円なので、
粗利率50%の会社では、1,400万円(=700万円÷50%)
の売上があれば個人“必達”売上目標に到達していることになります。

次に田中さんの貢献によって、
3人の営業マンが彼女のサポートがない場合と比べて、
年間1,400万円以上多く稼ぐことができていれば、
彼女の存在は営業マンにとっても価値があるといえます。

これはこのような言い方もできます。

田中さんのサポートにより営業マンが営業事務から解放され、
その空いた時間をつかって、より多くのお客さんと商談したとします。

その結果、1人の営業マンが1ヶ月あたり39万円
(=1,400万円÷3人÷12ヶ月)以上の売上をつくれるなら、
田中さんのサポートは単に労力の面だけでなく採算の面からも
十分に価値があるといえそうです。

「2倍でトントン、3倍で利益が出るとのことですが、
2倍と3倍の間にはかなりひらきがあるように思います。
先の営業マンの伊藤さんの場合、2倍と3倍、
どちらに目標をあわせればいいのでしょうか?」

それは、あなたの会社がいくらの利益を生み出す必要があるか、
によって違います。

たとえば、あなたの会社に借金があるとします。
すると、借金の返済は利益から税金を支払った
税引き後の利益からなされます。

したがって、それに見合う利益を確保することは絶対条件となります。

つまり、その利益を確保することが絶対条件なので、
年間報酬の3倍の粗利目標を掲げたほうがいいでしょう。

もし無借金経営で、しかも今後もさほどお金をストックする
必要がないと考えるのであれば、年間報酬の2倍の粗利目標プラスα
ぐらいでも十分かも知れません。

いずれにせよ、まずはマクロ的に全体としてどうかを知り、
厳密な話はその次に考えていきましょう。

「もう1つ質問があります。

数年後にやっと売上につながるような先行投資の事業部の社員は
どう考えればいいでしょうか?

今現在、全く売上をつくってはいませんし、他の営業マンが
稼ぎをつくるためのサポートをしているわけでもありません。

むしろ、稼ぎ頭の営業部門が稼いだお金で食べさせてもらっている立場です。

しかし、将来的にはその先行投資が当社の重要な収入源になる
可能性があります。

この場合、どのように個人“必達”売上目標を掲げればいいですか?」

結論から言うと、その仕事からはまだ売上が上がっている
わけではないので、金額換算はできません。

将来生み出すであろう価値から算出してもいいですが、
あくまで先の話であって、なかなか実態を伴わず、
単なる数字遊びになる恐れがあります。

そのため、先行投資の事業部門の目標設定は、社長が責任をとるべきでしょう。

つまり、その事業がいつ頃収益を生み出すのか、また
それが事業全体にどれ程のインパクトを与える可能性を秘めているか
を一番把握しているのは社長です。

よって、先行投資で研究開発段階にある部門については、
売上目標を立てるというよりは、
他の収益部門が稼ぎ出した粗利をいかに
先行投資部門に分配するかを中長期的に考え、
単年度ではなく3年、5年、10年というスパンで
バランスをとっていくという発想になるでしょう。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎粗利率の意味を知り大切さを理解すると、利益が出る理由

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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