”一つの身体”として組織を整えるー安心・安全・ポジティブ(AAP)のつくり方
2025.09.25 執筆者:坂本春之キャッシュフローコーチ養成塾安心安全ポジティブ日本キャッシュフローコーチ協会AAP
Contents
はじめに――”気の流れ”が止まると組織は硬直する
みなさん、こんにちは。
日本キャッシュフローコーチ協会
事務局(組織 環境〕
コミュニティアドバイザーの坂本春之です。
私は普段、太極拳道場を経営しています。
そしてその経験が、組織づくりや経営者との対話にも
深く活かされていると感じています。
太極拳では、身体の一部に余分な力が入ると、
全体の流れが滞ると考えます。
多くの人が集まる組織やチームを一つの身体
と捉えると全く同じことが起こります。
たとえば、
会議で誰かが強く緊張していると、
その場の”気の流れ”が滞り空気が重くなる。
まるで一つの身体が固まったような状態です。
そんなとき、「安心・安全・ポジティブ(AAP)」
という状態を作ることが大切になります。
この記事では、太極拳の身体感覚をベースに、
どのようにしてこのAAPな状態を個人と組織に広げていくのか、
私なりの実践をご紹介します。
AAPとは何か? 安心・安全・ポジティブを”体感”で捉える
AAPは、「安心」「安全」「ポジティブ」の頭文字を取った言葉。
日本キャッシュフローコーチ協会で使われている
そして、そこで学んだキャッシュフローコーチが
最も重要視し、日々実践し、活用している
基本的な在り方です。
今回は、そのAAPを「体感」レベルで
理解していただきたいと思っています。
安心とは、自分の内面が落ち着いていること。
安全とは、外部の環境から脅かされない状態。
ポジティブとは、目の前の現実を肯定的に捉えること。
これらはバラバラに存在しているのではなく、
相互に影響しあって存在しています。
ただ、
どこから始めればいいか分からない方も多いでしょう。
おすすめは、まず「安心」から整えることです。
STEP 1:安心をつくる―呼吸・身体・心を整える三つのワーク
安心は、自分の内側から始まります。
そして、その入口はいつも「呼吸」と「身体」「心(言葉/イメージ)」にあります。
ワーク① 呼吸を整える
緊張しているとき、人は無意識に呼吸を止めています。
まずは深く、ゆったりと息を吐いてみてください。
それだけで、心の緊張は和らぎます。
ワーク② 力を抜く
肩にグッと力が入っていることに気づいたら、
一度ストンと落とします。
太極拳では「力を抜く」ことが
力を発揮するための第一歩です。
ワーク③ 心を変える
たとえば「失敗したらどうしよう」
を
「どんな学びが得られるかな?」
と言葉を言い換える。
それにより描くイメージが変わる。
選ぶイメージが、心の状態を作ります。
どれか一つだけでも構いません。
できるところから始めて、
少しずつ”安心”を感じられる時間を
増やしていきましょう。
STEP 2:”一つの身体”として組織を観る――気の滞りを察知するコツ
私はミーティングの場などで、
参加者全員を「一つの身体」として観ています。
10人いれば、それは10の部位からなる一つの身体です。
その中で、誰かがまったく発言しなかったり、
表情が固かったりしたら、
それが身体のその部位の”気の滞り”の表れ。
気の流れが止まり、
場全体が緊張していく兆候です。
この視点を持つことで、
「個人」に注目しつつも、
「場全体」に働きかけることができます。
STEP 3:介入より伝播――自分が緩む→周囲に波及させる
場の緊張を感じたとき、
無理に「リラックスしましょう」
と声をかけることは逆効果です。
まずやることは、自分の身体をゆるめること。
呼吸を整え、微笑んでみる。
たったそれだけで、周囲に安心感が伝わることがあります。
空気は敏感です。
直接触れなくても、雰囲気は変えられます。
必要ならば、話題を変えたり、
短い休憩を入れたりします。
それもまた、”緩める”ひと工夫ですね。
ケーススタディ:養成塾 の場づくりにAAPを活かす
協会で開催している「養成塾」は、
初めての学びの場でもあり、
緊張しやすい空間でもあります。
そんな中、養成塾では冒頭で
「ここは安心・安全・ポジティブな場です」
と共有するようにしています。
この”前提の共有”があることで、
空気がぐっと穏やかになり、
受講者がのびのびと対話できる雰囲気が生まれます。
特別なことではないようですが
「AAPな場の共有」
を意識することが、
非常にパワフルであることを
毎回、実感しています。
つまずきポイントとリカバリー
AAPを組織に浸透させたいと焦ると、
かえって「押しつけ」になってしまうことがあります。
「AAPな組織にしなければならない」
と思いすぎると、それ自体がプレッシャーになり、
本来の意図から外れてしまいます。
大切なのは、「まず自分から始める」こと。
そして、「できる範囲」から実践していくことです。
それが、最も自然で、続けやすい方法です。
広げる思考法――個人→チーム→地域へサイズを変える
AAPは、まず「自分」にとってどうあるか、
を考えることから始まります。
次に、「家族」「チーム」など
身近なコミュニティへ。
それがやがて、
組織や地域全体へと広がっていきます。
大切なのは、
どの範囲で実践するかを自分で決めること。
自分にとってのAAPと、
他者にとってのAAPは必ずしも同じではありません。
その違いを認めながら、サイズ感を調整していくことで、無理なく広げていくことができます。
おわりに――まずは今日、呼吸に気づくところから
AAPとは、何か特別なものではなく、
日々の中にある「心と身体の整え方」だと思います。
いま、この記事を読み終えたあとに、
ふっと深呼吸してみる。
たとえば、
自分の肩に力が入っていないか、気にしてみる。
それだけで、
すでにAAPの一歩を踏み出しています。
焦らず、人と比べず、自分のペースで。
「今日の自分にとってのAAP」を、
ぜひ探してみてくださいね。