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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

大量仕入れで原価は下がっても現金化しない限り過剰在庫でロスを生む

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2019.06.03 執筆者:和仁 達也

歯科院でも材料仕入れはありますよね。

その際に、少しでも仕入れ原価を安くしたい!と思うのは当然だと思います。

仕入れ原価が安くなればその分利益は出ます。

なので、できるだけ仕入れ原価を下げようとまとめて購入する場合もあると思いいます。

安く買えたなー!とお得感を感じると思いますが、実は損をしている場合もあります。
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ホワイト歯科では、「材料仕入責任者」をスタッフの鈴木に任命して、1年が経過していた。

これまで無管理状態だった材料の仕入れ方や、在庫の状態をすべてチェックすることで、「ムダに高い価格で仕入れる」「必要以上に多く買ってロスを生む」「過剰在庫で資金を眠らせる」ことを予防することが目的だった。

1年が経ち、優秀なスタッフの頑張りで、当初の加藤院長の期待を大きく超える成果が出始めていた。ときに判断に迷うことがあれば、必ず院長に相談があるので、安心して任せることができている。

そんなある日、鈴木から院長に相談が持ちかけられた。

「加藤院長、自費のゴールドの材料の金属が、5つセットで買うか、その都度1つずつ買うか、どうしましょうか?」

詳しく聞くと、1つ44,000円のゴールドが、5つセットで買うと、通常220,000円のところ、215,000円の特別価格で仕入れられるという。

加藤院長は、ふだんから材料費の削減に注力していることもあり、「まとめ買いにして、割安で仕入れなさい」と指示しかけたが、ふと思い立ち、言葉を飲み込んだ。

「ちょうどこれから、キャッシュフローコーチの和仁さんと相談をして決めるから、そのあとに指示するよ」

そう言い残して、院長室に入った。

キャッシュフローコーチに今のやりとりを説明すると、院長は言葉を続けた。

「やっぱり、仕入れはなるべく安いに越したことはないので、5つセットのまとめ買いでいいですよね?」

キャッシュフローコーチはにっこりしながら、院長を向いて話を始めた。

「たしかにその通りです。ただ、1つ注意しないといけないことがあります。
それは、まとめ買いをするデメリットを知っておくということです」

「まとめ買いのデメリット?何かありますかねぇ・・・」

加藤院長は、ピンとこない様子だった。

「このゴールドを5つ消費するのに、当院ではどのくらいの期間がかかりますか?」

「一度に出るときもありますが、通常は1年ぐらいかかります」

キャッシュフローコーチはうなずくと、ハッキリと答えた。

「であれば、バラ買いしたほうが良いでしょう。その理由をご説明しますね。

まず1つは、金額が大きければ大きいほど、一度に高額のお金が眠ってしまうということです。
無借金経営なら別ですが、ホワイト歯科は借金がありますよね。つまり、その分は、銀行からの借入でまかなっていることとと同じ意味になります。

たとえば、今回220,000円が5,000円安くなるというのは、2.3%の割引ですね。
もし医院がそれ以上の金利で銀行から借金をしていたとしたら、たとえば『銀行から2.5%の金利で22万円を借りて、まとめ買いで2.3%の値引きを実現した』ということです。
おわかりのように、これは実質的に、0.2%のロスと等しいわけです。

そしてもう1つは、在庫で長期間持つことによる、ロスのリスクが発生するということです」

それまでうなずきながら聞いていた加藤院長は、意外そうな表情になり、口をはさんだ。

「長期間と言っても、せいぜい1年間ですよ? 品質が劣化する心配はないと思いますが」

「1年程度なら品質は変わらないかも知れませんが、ロスとは品質の劣化によるものだけではありません。材料や商品によっては、使い切る前に、次の新しい、もっと品質も価格も良い条件のものが登場したときに、陳腐化してしまいます。最悪、廃棄するリスクもゼロではありませんね。

また、極論で言えば、地震や水害で保管していた材料を失った場合、すべて医院の実損となります。その意味からも、在庫は最小限の身軽な状態のほうが好ましいと言えるでしょう」

「なるほど、そういう意味ですか。たしかに今は金の相場価格も変動が大きいので、そこも見据えて仕入れるタイミングを考えないといけませんね」

キャッシュフローコーチは院長の理解を確認すると、一言でまとめた。

「そうです。つまり今回のケースでは、ホワイト歯科にとっては、目先の2.3%の値引きのために、22万円ものお金を在庫で眠らせるほうが非効率です。しかも、実質的にはそれを借入でまかなっているので、そのメリットすら金利で吹っ飛び、逆にロスになるということです」

業績を見る目と、資金繰りを見る目、そして資産価値の増減を見る目。
複数の目線をもって判断することで、納得のいく決断ができる。

加藤院長は、さっそくスタッフの鈴木を院長室に呼び、バラ買いを指示した。

 

【今回のレッスン】

◎まとめ買いは、バラ買いよりも割安で仕入れることができるが、在庫負担にも目を向けよう。
とりわけ、①一度に高額のお金が眠るリスク、②長期間在庫で保管することによる劣化、およびロスのリスク、③価格変動がある場合のベストタイミング、などを考慮する。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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