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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

他人のフリみて我がフリ直せ!? ちゃんと利益が出る線路の上を走っているか?

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2018.08.08 執筆者:和仁 達也

売上は上がっていても利益がちゃんと出ているのかを確認していないと思わぬところで落とし穴に落ちてしまうこともあります。

売上はあるから大丈夫!と安心せずに、売上に対する利益はちゃんと出ているのか?

利益を考えた人員配置なども考えていかないとどんどん赤字だけが増えていってしまいます。

この記事では、しっかりと利益を意識した経営をしないといけないということをキャッシュフローコーチの視点から解説しています。

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ランチの時間。ふだんの僕(加藤院長)は、院長室で宅配弁当をかきこんでいる。
しかしこの日は珍しくお昼前後のアポが入らなかったこともあって、気分転換に医院の近くのお店で食事をとることにした。

普段はこの時間帯に出歩かないので気がつかなかったが、一歩出るとオフィスビルの立ち並ぶこのあたりは、どのお店の前も行列になっている。

(う~ん、もう少し早めに出てくればよかった・・・。残念だけどコンビニ弁当で済ますか)

そうあきらめかけた瞬間。その辺りにしてはめずらしく、ひと気のない和食屋が目に飛び込んできた。最近オープンした店のようだ。店構えは悪くない。でも、なぜか足を踏み入れるのが、気が引ける。派手な装飾もなく、コンクリートの壁と木目調のドアに、ただ店名だけが記されていた。洗練さと殺風景さ。どっちつかずの中途半端な空気が漂っていた。

(空いてて早く食べられそうだし、ここにするかな)

扉を開けて、のれんをくぐると、予想通り、客はまばらだった。
そもそも、店の広さの割に、席数も少ない気がした。スタッフがフロアに3人もいたが、一人で十分なんじゃないか。

そんな余計な心配をしながら、メニューをさっと見た。日替わりランチを注文。
10分ほどで出てきた料理の味は、期待以上においしかった。
食事をササッと済ませて、30分程度で医院に戻った。

それから1ヶ月後。診療が終わり、行きつけのバーに向かった。
あの店の前を通ると、シャッターに貼り紙が。どうやら、店をたたんだらしい。

(味は悪くなかったのに、残念。でも、この間入ったとき全然流行ってなかったからな・・・。まあ、当然かもな。)

バーに入ると、馴染みのマスターに、かけつけの1杯にビールを注文。何気なく声をかけた。

「どう、景気は? 最近は飲食店も厳しいって聞くけど」

マスターは苦笑いしながらうなずいた。

「そうですね~、大変ですよ。とくに夜は、周りの店もさっぱりみたいです」

僕は、ふと閉店した和食屋のことを思い出した。

(そう言えば、あの店。入ったときから、儲かってない感じがしたんだよな。なぜだろう?)

ビールを口に運びながら、いつも経営キャッシュフローコーチに学んでいる論法で、どのくらいの商いをしていたのか、考えてみた。

「たしか、あの店は広さの割に席数が極端に少なくて、満席でも12人ぐらいしか入れなかったよな。お昼のピーク時でも半分しか埋まっていなかったぞ」

「メニューによると、客単価は昼が800円ぐらいだったから、ランチ客が1日1回転の12人入るとして、1日のランチ売上は9,600円か。夜は客単価が少し上がって1,200円ぐらいで2回転するとして、24,000円。 ということは、1日の売上があわせて33,600円で、1ヶ月休みなしで働いたとして、30倍で約100万円か」

「飲食店の粗利率はいくらだっけ?たしかキャッシュフローコーチの和仁さんが、『歯科医院の粗利率は80%前後で、飲食店の場合、それより少なくて70%ぐらい』って言ってたな。
ということは、月の粗利は70万円、と」

「その上、スタッフがフロアだけで3人いたけど、あれは1人でも十分だろ。。。厨房が仮に主人1人でやっていたとしても、スタッフの人件費はいくらになるんだろ?3人ともバイトで1人1日ざっくり8千円とすると、3人の30日で、、、え、72万円?」

粗利から人件費を引いただけで、赤字の計算だ。
でも実際には、その上に主人の生活費、お店の家賃、水光熱費、厨房機器などのリース料その他の固定費がのしかかる。
しかも、初期投資も回収しないといけないところなのに、借金は増える一方。
きっと、採算ラインに乗るまで、お金と気力が持たなかったのだろう。

しかし、あの家賃の高い立地に、あの少ない席数、安い客単価。しかも客数とマッチしないスタッフの人数。論理的に考えて、はじめから赤字街道まっしぐらな商売モデルだ。

せめて席数を増やすか、客単価を上げないと、どう考えても利益が出るとは思えない。

あれで、もし初期投資を借金していたとしたら、この先どうするつもりなのか。

(でも、考えてみたら、歯科医院でも、似たような無計画な開業をする人、周りにたくさんいたよな・・・)

大学時代の同級生が、先日、開業後3か月で医院を閉めた、という情報が入ってきた。
歯科医師は、医療はちゃんと勉強していても、経営的に成り立つかどうかなんて、習ったことがない。きっと、計画もシミュレーションもせずに、エイヤ!でオープンしたのだろう。

(でも、これからの時代、自分の身は自分で守るしかないんだな・・・)

今晩はお酒は軽めに控えて、来年度のウチの医院の収支をしっかりと考えないと。

(他人のフリ見て、我がフリ直せ、ってところかな)

閉店した和食屋も、昔の同級生のことも、他人事とは思えなかった。

今回のレッスン

初めから、赤字街道まっしぐらな線路の上を走っていないか?
患者単価×患者数×月の診療日数=月の売上 である。
ちゃんとコストをまかなうだけの売上をつくれているか?
そして、その売上をつくれる動きを、本当にしているか?
少なくとも年に1度は、1年後、3年後、5年後の収支の見通しを皮算用してみよう。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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