コンサルティング報酬の決め方!クライアントも自分も納得できる方法とは?
2020.03.04 執筆者:和仁 達也キャッシュフローコーチキャッシュフロー経営ドンブリ経営パートナー型
みなさんは、価値に見合った、納得の報酬を受け取っていますか?
みなさんの中には、納得の高額報酬を受け取っているという人もいれば、
「まだ希望額より低い」という人もいるのではないでしょうか。
セミナー会場でお尋ねすると、大体70%以上の方が、
「納得の報酬を受け取れていない」と言います。
コンサルタントにとってこの報酬額というのは、
とても重要なことですよね。
一人のコンサルタントが持てるクライアント数は、
時間の制約から物理的に限りがあります。
ということは、報酬額が低いことはすなわち年間報酬も低くなりがちです。
なぜなら、コンサルタントにとっては、<報酬額×クライアント数>が、
ほぼ年間報酬になるからです。
「クライアントのお金の悩みを解決する立場の
コンサルタント自身が、自分の報酬の低さで
悩んでいるのはいかがなものか」
という感じがします。
よって、
「自分が提供している価値に見合った納得の報酬を、いかに得るか」
から目を背けてはいけないと思うし、この「納得の報酬を得る」ことは
コンサルタントに共通する重点テーマの1つだと考えるわけです。
ちなみに、何を持って「納得の報酬」なのでしょうか?
ここでいう「納得の報酬」とは、
「提供する価値に見合った報酬」を意味します。
では、なぜ多くのコンサルタントや士業は
納得の報酬を得られないのでしょうか?
よく聞く答えに「価格競争が激しいから」があります。
そこで、「なぜ価格競争が激しいのですか?」と
さらに踏み込んでいくと、出て来る答えはおおよそ2つです。
Contents
過当競争になってきたコンサルタント業界の実情
1つは需給バランスの逆転現象です。
供給が需要を上回って多過ぎる、ということです。
売り手過剰になれば、当然価格競争になります。
もう1つは、その業界の相場観が出来上がって
しまっているということです。
たとえば
「社会保険労務士の顧問報酬は、月額2万円から3万円」とか、
「税理士顧問なら、月額3万円から5万円」みたいなことです。
このような相場観が出来上がってしまうと、いくら自分が
「いや、ウチは10万円なんです」と言ったところで、
相場観からかけ離れていると
「話にならない」「話し合いのテーブルにすらつけない」
ということがあります。
よって、この「需給バランスの逆転現象」と
「相場観が出来上がっている」ことにより、
価格競争になっているというのが、
一般的な見解じゃないかと思います。
ここで一つ考えたいのは、
相手にこちらの希望が受け入れられるか否かの前に、
「コンサルタント自身がビビって、
勝手に低い報酬額にしてしまっているだけ
なんじゃないのか?」
という点です。
つまり、そんな状況の中、まず大切なことは
「いかに見込み客と価格交渉をするか」の前に、
まず「ビビることなく納得の報酬を設定するには
どうしたらいいのか?」ということです。
それで受け入れられるかどうかは、その後の問題です。
つまり、本当に説得すべき相手は、
見込み客ではく、自分自身なのです。
独立して間もないあるコンサルタントは、
営業で見込み客がコンサルティングに関心を示してくれて、
価格の説明になったときに、次のように提示しました。
「本来の価格は月10万円なんですが・・・
(相手の無反応な顔をチラッと見て)わたしもまだ修行の身なので・・・
えっと、とりあえず5万円でどうでしょうか?」
そもそも、見込み客がまだNOと言っていないのに、
自分で値下げしてしまっています。
本当は月額10万円欲しいのに、
「今の自分が10万円って言ったら、相手は引いちゃうよな」
と思って半分の5万円に勝手に下げてしまう。
僕も独立した当初、心細い時期を経験しているので、気持ちは分かります。
もし正直に希望額を言ってNOと言われたら、
「自分を認めてもらえなかった」と感じて傷つくからです。
だから、傷つく前に、自分から価格を、
そして価値を下げてしまうのです。
つまり、「相手にどう提案するか」ではなく、
「相手に提案する前段階」に課題があるということです。
相手が自分をどう思うかの前に、まず
「どうしたら、自分として納得の価格を設定できるのか?」
この問いをしてみます。
みなさんが、もし
「納得の報酬を自分で設定するためカギは何か?」
と尋ねられたら、どう答えますか?
もちろんこれは色々な切り口から考えられるので、
答えは一つではありませんが、わたしがまずお伝えしたいのは
ズバリこれです。
ビビる事なく納得の報酬を設定するコツ。
それは、自分のサービスの価値を数値化することです。
自分のサービスが例えば
「商品の粗利率を引き上げることで、
月額100万円の新たな粗利をもたらします」
と言えたとしましょう。それで
「その新しく生まれる100万円のうち、僕はその中の
30万円だけいただければ十分です。だからあとの
70万円は取っておいてください」
という言い方が出来たら、気持ち良いのではないでしょうか。
わかりやすくいうと、こういうことです。
あるいは、このサービスのおかげで
「月額100万円のコストダウン効果があり、
100万円の利益を新たに生みます。なぜなら・・・」
というアプローチでも同様です。
相場観に流される人、流されない人の違いとは?
もう少し噛み砕いて言いましょうか。
コンサルタントに限らず、世の中には相場観に流される人と、
流されない人がいます。
それで、その違いを決める要素は一体なにでしょうか?
知識量?経験値?資格の有無?
それらを連想する人は少なくないかも知れません。
「私はまだ経験3年目だから」とか「知識がまだまだ不十分だから」と、
この謙虚さは素晴らしいのですが、謙虚さと卑屈は紙一重で、
卑屈でもダメなのです。
なので、価格設定において、知識量、経験値、資格の有無が
価格設定に大きく影響すると思ってしまうと、
やはり相場観に流されてしまいます。
正直に言うと、僕も独立する前はそう思っていました。
だから「中小企業診断士の資格を持ってないと
経営コンサルタントとしては箔がつかない」と思って
4年間、勉強しました。あとはFPも勉強しました。
それで出来が良くなかったからか、独立しても資格を取得できず、
「なかなか合格しないな~」と悔しい思いをしながら、
専門学校に通っていたある日のことです。
その学校の先生の年間報酬よりも自分の方が上回っていたことを知り、
「あれ?この資格、もういらないんじゃないか!?」と気がついたのです。
(ちょっと、嫌味っぽく聞こえたらスミマセン!)
それで、この「知識量、経験値、資格の有無が報酬にリンクしている」
というのが世間一般的な常識なのかも知れませんが、
実際は必ずしもそうではないようです。
本当の意味でそこに気づいた時に、相場観が関係なくなり、
自分独自のポジショニングが出来るスタートラインに立てる
のだと僕は考えています。
相場観に流されないための3つの条件
これまで長年、数多くのコンサルタントを見てきた経験から、
次の3つの条件で説明ができることに気がつきました。
【条件① 自社サービスの価値が数値化できている】
まず1つ目は、今お伝えした
「自社サービスの価値が数値化できているかどうか」です。
「自社サービスの価値が数値化できている」人は、
自分の中に根拠があるから相場観に流されません。
数値化できていないと、「やっぱり高いかな」とブレますよね。
これが1つ目の条件です。
【条件② あり方が確立している】
2つ目は「あり方が確立している」こと。
つまり、「自分のミッションは何か」「セルフイメージは何か」
「目指すビジョンは何か」がはっきりしている人と、
その辺りがあやふやで周りを見ながら振り回されてしまう人の差です。
この差は「相場観に流されるか否か」に大きく影響します。
僕が主催する複数のコンサルタント向けの養成塾で、
必ず最初の講義で、「コンサルタント自身のミッションやビジョンや
セルフイメージ、すなわち『あり方』を言語化する」ことを提唱しています。
それがはっきりすることでワクワクするから、というのもありますが、
それだけではなく、自分がやっていることにブレなくなり、
迷わなくなるためにも必要だからです。
なぜ「あり方」が大事かということを、もう少しだけ補足しましょう。
「あり方」とは、
「自分のあらゆる言動の起点となる立ち位置」のことを言います。
何かを言ったり、行ったりするときの起点、つまりスタート地点です。
ここから全ての言動が発せられるので、
この「あり方」が定まっている人は常にメッセージが一貫しています。
一方、ここが定まっていないと、
そのときの気分や調子の良し悪しで言動がブレるわけです。
たとえば、調子がいい時は大ボラを吹いたり、
天狗になって自己中心的になるけど、
調子が悪くなったら途端に自信をなくして無口になってしまう、
というように。
このとき、「あり方」が定まっていないと、
自分の本来の「あり方」から離れていっても
本人は気が付かないと思います。
実際のところ、人間だから時々はブレると思うのです。
調子に乗ったら天狗になり、失敗すると落ち込む。
僕もそういう体験はいくらでもあります。
ところが「あり方」が言葉で明確になっていると、
周りより先に自分自身がそのブレに気づけるのです。
僕の場合なら
「今自分はビジョナリーパートナーとしてこれはふさわしいのか?」
という物差しであったり、ミッションである
『ビジョンの実現化』という事と照らし合わせて、
「これはビジョンの実現化と関係ないことをしていないかな?」
と気づいたり、
「カンパニー・スピリッツである『ワクワク感動できるコンサルティング』
に反して、ワクワクしないやり方をしていないか?」と振り返ったり、
自分をセルフチェックする物差しが「あり方」なのです。
それがあるから、常に多少ブレても、
人が気づく前に本来の「あり方」に戻れているので、
大火傷せずに済むという話なのです。
この、「あり方」を整えておくと、コンサルティングそのものにも
良い影響が現れます。
僕たちのクライアントは僕らの行っていることや、
言っていることを常に見ていますよね。
なぜかというと、
「社長は基本的に、他人の言うことを聞きたいとは思っていない」
からです。
他人にあれこれ言われず、自分の思ったようにやりたいから、
自分でリスクを冒して社長になったのですよね。
上から目線であれこれ言われたくないのに、
お金まで払ってコンサルタントの意見を聞くのはなぜでしょうか?
そんな社長にも、「他人の意見は聞きたくないけれど、
唯一この人のいうことだけは聞く耳を持ちたい」という人が
1人や2人はいるものです。
ということは、僕たちコンサルタントがその1人か2人の存在になればいいのです。
その時に社長はどこを見ているでしょうか。
知識の量ですか?資格があるかないかですか?いえ、違います。
それは「言っていることが魅力的か?」そして
「その言っていることを、本人がやっているか」、
そういう所を見ているのです。
人として尊敬できるための前提が整い、
この「あり方」がきちんと言語化されていて、
そこを起点に日々言動できている人であれば、
どの分野であれ「納得の報酬」は設定しやすいのではないでしょうか。
ということで、「あり方」が確立するということは、非常に重要だと僕は考えています。
【条件③ お困りごとトップ3起点】
それから、相場観に流されないための3つ目の条件は
「お困りごとトップ3起点」です。
あとでも詳しく述べますが、クライアントの頭の上の方にあって、
常に考えている「お困りごとトップ3」にアクセスできた方が、
相手はコンサルタントの提案内容を自分事として重要視してくれます。
そこを起点にする人は相場観に支配されません。
以上の3つの条件を満たした人は、相場観に流されず、
納得の価格を設定し、結果的に納得の報酬を手にしています。
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