上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
二者択一で迷ったら、必要な要件を明らかにする
2025.10.07 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方着眼点
仕事をしていると、複数の選択肢で迷うことがあります。
ある業務を誰に任せるか、の判断もその1つ。
そんな時にまずは考えたいことを歯科医院の事例で紹介します。
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受付スタッフが産休に入り、その他のスタッフの中から
誰に受付を任せるか、を考えていた院長の話です。
候補は2人。気が強いけど、仕事が早い鈴木さんと、
抜けや漏れが多いけど、やわらかい雰囲気の佐藤さんです。(共に仮名)
院長の悩みはこうでした。
鈴木さんに受付を任せると、仕事は正確で頼りになる。
だけど、口調が強くて医院の第一印象を決める受付を任せて
大丈夫なのか、が不安。
佐藤さんに受付を任せると、おだやかな笑顔で
医療機関としては癒し効果がある。
だけど、同じミスを繰り返しがちで、他のスタッフの
作業負担が増えたり、患者さんからのクレームが増えないか、が不安。
それぞれの良い点だけを合わせればパーフェクトなのですが、
そうもいかず、決めかねていました。
そこで院長に提案したことは、
「そもそも、受付スタッフに必要な要件を書き出して
みましょうか。それも、対患者さんと対スタッフの両面で」
です。すると、次の通りでした。
<対 患者さん>
①笑顔持久力がある
②穏やかな物言いができる
③冷静に俯瞰した目線がある
<対 スタッフ>
①ルーティン業務を安定感を持ってやれる
②ドクターや衛生士に正しく情報伝達できる
ここまで書き出した時に、院長はハッとした表情で言いました。
「今、気がついたのですが、鈴木さんは院内のスタッフに
対する当たりは強いのですが、患者さんに対してはそれなりに
丁寧に接しています。
こうやって必要な要件を書き出してみると、
どちらがふさわしいかが、自然と浮き彫りになってきますね」と。
また、必要な要件を提示できれば、
「これを元に、誰が受付を担当するのがベストか、
スタッフ同士で話し合ってみて」
と本人たちに考えさせることもできるかも知れません。
「AさんかBさんか」の二者択一で迷ったときは、
まずは「理想像に必要な要件」を明らかにするのがはじめの一歩です。