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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

損益計算書はわかるけど、貸借対照表って何?お金の流れと状態は“ブロックパズル”で理解しよう!(前編)

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2025.11.15 執筆者:和仁 達也

 

損益計算書(PL)と貸借対照表(BS)、いわゆる決算書。
何となくわかった気になっているけど、人に説明できるほどは
わかっていない。

そんな人に、それぞれの意味とつながりを
シンプルな図解で解説します。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ホワイト歯科の今年の決算が終わり、税理士から決算報告を受けた。
加藤院長は、概ね順調に行っている決算書(損益計算書と貸借対照表)
を見ながらふと思った。

 

「お金のブロックパズルで、損益計算書はおおむね理解していると思う。

ただ、貸借対照表については、存在は知っているが
正直、ほとんど見ていない。読み方もわからないし、
それを見て何がわかるのかもよくわからない。

しかし、医院の規模もそれなりに大きくなってきたし、
知っておいた方が良いのではないか?」

 

数字のことならキャッシュフローコーチに尋ねるのが良いと考え、
さっそく定例ミーティングの冒頭で和仁に尋ねることにした。

事情を理解すると、キャッシュフローコーチは笑顔で話し始めた。

「確かに医院のお金は損益計算書だけではなく
貸借対照表も併せて理解しておいた方が良いですね。

では今日は、院長もお馴染みのお金のブロックパズルで
損益計算書と貸借対照表の違いや関係性についてお話ししましょう」

 

キャッシュフローコーチはホワイトボードに頭を描きながら話した。

 

「一般的に、損益計算書はお金の流れ(フロー)を表し、
貸借対照表はお金の状態(ストック)を表します。

お金の流れとは、収入から支出を引いて利益がいくら残るかを
表したものです。これはお馴染みですよね。

一方お金の状態とは、中央線を境に、
左側がお金の“表現方法”、右側がその“実態”を表します。

別の言葉で言えば、左側がお金の“使いみち”で、
右側が“調達方法”です。

左側の表現方法のことを『資産』と言い、
右側の実態は『負債』と『純資産』の2つです。

外から借りてきたものが『負債』であり、
純粋な自前の資産が『純資産』です。

わかりやすく、個人の家計で説明しますね。

ある院長Aさんの家計は、
年間の収入が1,200万円で支出が1,100万円、
利益100万円を貯金できるとします。
これが損益計算書です。

そして貸借対照表を見ていきましょう。

左側の資産として、1,000万円の現金と
9,000万円の自宅を持っているとします。

その右側の実態を見ると、負債が0円で、
純資産が1億円だとします。

これを見てどう感じますか?」

 

            (文字が切れたところ)↑
                     ※無借金

 

加藤院長は答えた。

「院長としては、収入はそこそこかも知れませんが、
ローンの返済もなく持ち家があって、
割と豊かな生活ができるような気がします」

 

キャッシュフローコーチはうなずきながら続けた。

 

「そうですよね。では、損益計算書はまったく同じ
別の院長Bさんがいたとします。

そして貸借対照表も、左側の資産は同じで、
1,000万円の現金と9,000万円の自宅を持っています。

表面的にはAさんとまったく同じに見えます。
ところが唯一異なるのが、右側の負債が9,500万円で、
純資産が500万円だとします。

これを見てどう感じますか?」

 

 

加藤院長は答えた。

「うーん、一見裕福に見えますが、そのほとんどが借金なので、
この収入でこの借金を返済していくのは
大変なんじゃないかと思います。

仮に年に300万円ずつ返済するとして、
完済に30年以上かかるわけですよね。

利息を考えると、もっとかかる。

収入が1,200万円あると言っても、そこから所得税や
社会保険で仮に200万円払うとして、
ローンの返済で300万円払ったら、残りは700万円。

100万円を貯金するとなると、使えるのは600万円。

月に50万円なわけで、仮に家族4人暮らしだとして、
見た目の印象ほどは贅沢な暮らしはできないですよね」

 

キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

 

「さすが加藤院長。その通りです!

なので、一見、アクセサリーや服、車、自宅が豪華で、
海外旅行にもよく行き、羽振りが良さそうに見える人も、
その実態を見たら、これから大変な事態が待ち受けている
ケースは多々あります。

AさんとBさんは、同じ収入で豪華な家に住んでいるので、
同じ生活水準になりそうです。

ただ、この両者では、自由に使えるお金の差が
30年以上にわたって年間300万円以上あるわけです。

もしBさんがそこを知らずに、Aさんと同じ生活水準で
過ごしていたら、どうなるでしょうか?

自分でお金の実態を掴めていないと、資金繰りに
余裕がなくなってはじめて気づき、後で後悔する羽目になりがちです。

個人ですらそうなのですから、ましてや大きなお金が動く
医院経営においては、きちんとお金の“流れ”と“状態”を
把握して動くことが大切ですね。

それが、損益計算書と貸借対照表をあわせてチェックすべき理由です」

 

加藤院長は大きくうなずいた。

今まで漠然と感じていたことを明確に“ブロックパズル”で
示されたことで、健康的な危機感を持ち始めた。

 

【今回のレッスン】

◎損益計算書はお金の流れ(フロー)を表し、
 貸借対照表はお金の状態(ストック)を表す。
◎お金の状態とは、中央線を境に、左側がお金の“表現方法”、右側がその“実態”を
 表す。
◎自分でお金の実態を掴めていないと、資金繰りに余裕がなくなってはじめて
 「お金の使い方の間違い」に気づき、後で後悔する羽目になる。
 大きなお金が動く医院経営においては、きちんとお金の“流れ”と“状態”を
 把握するため、損益計算書と貸借対照表をあわせてチェックする。
 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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