会社のナンバー2をつくりたいが該当者がいない時の考え方とは?
2025.12.04 執筆者:和仁 達也
コミュニケーションパートナー型着眼点
社員が数人のうちは、社長がすべてを統括するワンマン体制が機能します。
しかし社員10人を超えたあたりから、社長の負担が一気に増え、本来の経営業にエネルギーを注ぐことが難しくなりがちです。
そこで、社内にナンバー2を置きたいと望むのですが、今いる社員を見渡しても該当者が見つからない。
営業の成績は良くても、社員とのコミュニケーションに課題があったり、逆に、社内での意思疎通はうまくやれるが、成績がイマイチで説得力がなかったり。
そんな状況に頭を悩ます社長の相談にキャッシュフローコーチ(和仁)が乗り、意外な選択肢を見つけた事例を紹介します。
さて社長、今日のテーマは「会社のナンバー2をつくるには?」ですね。
まず、現状の会社の組織構造を教えていただけますか?
はい。今は社員数が10名ほどの電気工事業で、施工と営業を行っています。
ただ、営業は僕ともう1人。他はほぼ施工スタッフです。
この営業のAさんは売上の5割をつくるくらいの力があります。
ただ、ナンバー2としての力は足りないんです。
その方、何歳くらいですか?
44歳で、会社には7年ほど在籍しています。
僕以外の社員は、彼が入ってから採用したので、古株でもあります。
実力的にはナンバー2になり得るけれど、何か足りない。具体的には?
人格的な問題じゃないんですが、、、財務や会計、経営全体を見る力がないんです。
さらに、何かと否定的な見方で相手を攻撃してしまう。
社員に対してもマウントを取り、勝ち負けの構造をつくってしまうんですね。
なるほど。経営者は勝ち負けじゃなく「引き上げる」側に立たないといけないですもんね。
そうなんです。例えば、後輩営業が育ちそうになると、
張り合ってしまったり。
「自分が一番」という思い込みが強くて、人を育てる姿勢がないんです。
本人はそのことに気づいてますか?
気づいてないですね。僕と面談していても、時には僕とすら対立構造をつくるくらいで。
なるほど、営業力はあるけど、経営数字を見て先の見通しを立てたり、
社員とよい関係性を築いて、社長のビジョンを社内に浸透させる手助けをする力は弱い、と。
ナンバー2になるなら、営業で実績を出すだけじゃなく、人として社内からリスペクトされる必要がありますよね。「やり方」と同時に「あり方」も問われる、といいますか。
ところで、そもそも社長が考える理想のナンバー2像って、どんな人ですか?
社長の代わりに厳しいことを言える人ですね。
たとえば、「会社のビジョンや方針から外れた言動をする社員に遠慮せず注意をする」とか、
「当社らしいものの考え方の教育をする」こともできたら任せたいです。
今だと、社長の僕しか社員に厳しく言える人がいないので。
あとは、社長の考えを社員にわかりやすく伝える「繋ぎ役」。
この点については、社長の考えをきちんと理解して、社員に伝わるように目線を合わせて話をしてもらいたいです。今のままだと、社長や会社が成長すると、社員とのギャップがどんどん広がっていきそうで。その架け橋となる役割をナンバー2に任せたいです。
さらに、取引先や外注先との付き合いを任せられると、僕の時間をより有意義なことに使えて助かりますね。
一定の頻度でそういう役割を果たしてくれると理想ですね。
整理すると、社長が考える「ナンバー2に期待したいこと」は次の3つでしょうか。
1)会社のビジョンや方針に沿った言動をできるよう、社員を教育できる人
2)社長の考えを社員にわかりやすく伝え、ベクトルを揃えられる人
3)取引先や外注先など業界関係者との付き合いの場に行ける人
この条件を満たす人材、今の社員の中にいますか?
いないですね。今、話していて思ったのですが、この3つすべてを一人が担う必要はないかも知れません。
特に、3)については仕事の出来不出来はあまり関係ないので、業績は良くないけど人当たりのよいBさんなら、こういった外交的なことを任せられそうです。
とすると、1)と2)をどうするか、ですが、一つ確認させてください。
「会社のビジョンや方針に沿った言動をできるよう、社員を教育できる人」や
「社長の考えを社員にわかりやすく伝え、ベクトルを揃えられる人」は、
社内の人でなきゃ、ダメですか?
あっ、いや、そんなことはないです。
むしろ、これを社内の人に任せられるイメージが全く湧かないです。
スピードを考えると社外採用のほうが早いですね。
ただ、社外から来る場合は既存社員との関係づくりが重要で、人柄やコミュニケーション力は絶対必要です。
なるほど。数字を扱える軍師的役割と、社内調整力。この両輪がそろう人だと良い、と。
今日の話で、ナンバー2候補の条件がかなり整理できましたね。
はい。頭の中が複雑になってたんですが、話していくうちに優先順位が明確になりました。
やっぱり一人で考えるより、こうして話すのが大事ですね。
<社長と和仁の対話はここまで>
今回の事例は、「社長が理想のナンバー2に求める要件」を言語化することで、見落としていた盲点に気づくことができたケースでした。
その盲点とは、
1)1人にすべての役割を任せるのではなく、複数人に分散できること。
2)社内の人ではなく、社外の人に任せる道があること。
の2つです。これは、1人で考えていると気づきにくいことですが、
第三者と対話しながら思考整理することで、たどり着きやすくなります。
とくに1人で何役もこなす忙しい経営者は、このような相談相手となる第三者を身近に置くことをお勧めします。
追伸、
「キャッシュフローコーチの役割について」
キャッシュフローコーチは、「お金」の相談だけでなく今回のような「人や組織」、さらには「ビジョンややりがい」の相談にも乗ることがあります。
特に、今回の事例にあるような「社外の幹部として社長のビジョン実現をサポートする役回り」はキャッシュフローコーチが得意とするところです。
関心がある方は、こちらのサイトが参考になります。









































