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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

なぜ、主婦はポイントカードに釘付けなのか?

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2019.01.01 執筆者:和仁 達也

先日、私が妻とドライブをしている帰り道、トイレットペーパーが切れていることをふと思い出し、妻に言いました。

「あそこにドラッグストアがあるから、寄って行こうよ」

すると妻はこう答えました。

「いや、マツナミドラッグ(仮名)のポイントカードがあるから、そっちで買いたいのよ」

私は「ああ、そう」と返事をしながらも、

「面倒くさいなあ。いいじゃないか、ここで買えば」

と内心ではつぶやき、目の前のドラッグストアを通り過ぎました。

これは、日常的によくある光景だと思います。

たとえば飛行機のチケットを手配する際、JALにするかANAにするか。

たまたまANAのポイントカードを持っていれば、そちらを優先したくなるものです。

さきほどのポイントカードでも、10日に1回、「ダブル・ポイント・デー」といって、2倍のポイントを押してもらえるとなると、主婦はここぞとばかりにその店に殺到するそうです。

ポイントが貯まると、商品券がもらえて得します。
だから、どうせ商品がどこで買っても同じだったら、「ポイントがたくさん貯まっているお店で買いたい」と思うのは人情でしょう。

そのとき、私はふと考えました。

「これはお店側からすると、どれぐらいの広告宣伝費(売上を作るための費用)に相当するのだろうか?」

と。

ポイントカードが貯まったら商品券で還元する、というのは、見せ方を変えた「値引き」のようなものです。

一体、何%の値引きに相当するのでしょうか?

そこで妻に尋ねました。

「そのポイントカードは、どれぐらい得なの?」

「ポイントが貯まると、500円の商品券がもらえるよ」

「じゃあ、いくら分買うと、500円の商品券がもらえるの?」

「え、そんなの知らないわよ」

聞くと、多くの主婦は

「いくら分の買い物をすると、その500円の商品券がもらえるのか、すなわちいくらの値引きに相当するのかを、イチイチ計算していない」

ということがわかりました。

つまり、感覚的なお得感でポイントカードを握り締めているのです。

そのことが気になった私は、具体的なことを聞き出しました。

100円以上で1ポイントもらえ、250ポイントで500円の商品券が買えるということは、 2万5000円以上買うと、500円の商品券がもらえるということです。

単純に割り算すると、500円÷2万5000円×100%=2%。

ただし、100円ごとに1ポイントなので、99円では0ポイント。
199円でも1ポイント。

つまり、実際には500円の商品券をもらうために、2万5000円どころではなく、総額で30000円とか35000円は使っているはず。

仮に3万5000円だとすると、500円÷3万5000円×100%=約1.4%。

「え!! たったのこれだけ!?」

『得したような気がする』という感覚がお客さんを引きつける

私は正直、ビックリしました。

私の妻を引きつけて離さないポイントカードの実態は、その程度の値引き効果でしかなかったのです。妻に尋ねてみました。

「計算してみるとこのポイントカードは1.4%~2%程度の値引き効果なんだけど、もし販売価格から1.4%~2%を常に値引きしていたとして、常連になる?」

「その程度の値引きでは、ならないと思うわよ」

「そうだよね~」

しかも、お店側からすれば、「現金」を返しているわけではありません。

あくまで「商品券」です。

つまり、お客さんは「500円をもらった」感覚で喜んでいますが、お店側が実際に負担すべきコストは、

「その500円の商品券と交換した商品の仕入原価(変動費)だけ」

です。

仮に仕入原価が販売価格の70%だとすると、500円×70%=350円。

なんと、お店としては、お客さんに2万5000円から3万5000円分を買わせておいて、350円をバックしているに過ぎないのです。

これは、 値引率として換算すると、1%~1.4%です。
限りなく小さなコストですみます
よね。

改めて妻に聞いてみました。

「1%の値引き効果だとわかっていたら、目の前のドラッグストアを素通りして、わざわざ遠くにあるポイントカードのドラッグストアに行く?」

「行くわけないでしょ!」

「そうだよね~」

「でも、そんなことを計算している人、あまりいないと思うわよ」

そこで気がつきました。

「実態がわからないから、『得したような気がする』という幻想がお客さんを引きつけるのだ」と。

お得感を「身体に覚えさせる」には?

一方で、その幻想を抱かせておくには、「感覚的に得した感じ」を与えなければなりません。

つまり、「ポイントカードが貯まって商品券と交換した」という成功体験をタイミングよく与えていくことが大切なのです。

もし、1年に1回程度しかもらえなかったら、そのポイントカードの存在自体を忘れてしまうでしょう。

でも、たとえば3カ月に1回ぐらい商品券がもらえたら、理屈はすっ飛ばして、そのお得感を「身体が覚えてしまう」のです。

実際、月5000円程度の買い物をする人が、ダブル・ポイント・デーやポイントが余計に貯まるキャンペーンなどを利用すれば、3カ月~4カ月程度で250ポイント貯まり、500円の商品券をゲットできる計算になります。

きっとドラッグストアはそのあたりも考え、巧妙な仕組みでお客さんを引きつけているのだろうと想像できます。

このことから、私が気づいたことは、自分がお客の立場の時に、

「見せかけのお得感で振り回されないようにしよう」

ということ。

そして、仕事においては、

「単純な値引きをするのではなく、お客さんに実質的な値引き率以上のお得感を与える工夫を考えよう」

ということです。

ストレートに値引きをしても、魅力は出しにくい。

ならば、いかに魅力的に見せるか? 

戦略的にコストを使うのであれば、実質的なコスト以上の効果のある販促策を考えたいですね。

その広告宣伝費は、いくらのコストがかかっているだろうか? 
そして、お客さんの立場では、どれだけのお得感を感じているだろうか? 

その両面からチェックしてみたいものです。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。