上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
指摘をするときは、注意ではなく“質問形”で
2019.01.23 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり
指摘をされることを嫌がる人は多いです。
子供の頃に、「宿題やったの?と母親に言われ、今からやろうと思っていた!」とムッとしたことがあるという経験はないですか?
夫婦生活でも、妻に「脱いだら脱ぎっぱなし!」「お茶はちゃんと冷蔵庫をしまって!」「お皿はここに片付けて」など細かく指摘されてしまうことを嫌う人は多いのではないでしょうか。
良かれと思って行う指摘ですが、された側はあまり良い受け取り方をしない場合が多いです。
職場の中では、同僚や部下に指摘しないといけないこともあると思います。
感情の浮き沈みが激しくて、同僚や先輩がちょっと注意をすると、すぐにムカっとした表情をする人、いませんか?
その表情を見ているとこちらもイライラしてきて、つい口数を少なくしてしまうのですが、注意すべきことを放置するわけにもいきません。
感情の浮き沈みが激しくて、同僚や先輩がちょっと注意をすると、すぐにムカっとした表情をする人、いませんか?その表情を見ているとこちらもイライラしてきて、つい口数を少なくしてしまうのですが、注意すべきことを放置するわけにもいきません。
そんなとき、どのような伝え方をするといいのでしょう? 今回は今すぐできるちょっとした工夫をご紹介します。
それは、「要求したい指摘をすべて質問形で言う」のです。上司としては、すぐに結論をいいたい、つまり注意をしたいもの。でも目的を果たさなければ何の意味もありませんね。では、目的とは何でしょう?それは 「本人に気づかせ、態度ややり方を変えようと決意させること」です。
たとえばこんなシーンを想像してみてください。ある衛生士のスケーリングのやり方が非常に雑で、患者さんが嫌そうな表情をしています。そして、先輩であるあなたはその現場を目撃しました。その衛生士に悪気はないので、おそらく雑にやっているという意識はないものと思われます。
そして、あなたが指摘しない限り、その衛生士は今後もずっとそのような雑なやり方を続けるでしょう。そこで、あなたが先輩としてそのスタッフを呼びつけて、「加藤さん、あなたのスケーリングのやり方、ちょっと雑すぎるよ。患者さんが痛そうな感じで、何度か身体がビクっとしていたし、嫌そうな顔をしていたよ。もう少し丁寧にやらなきゃ」と言ったとします。
先輩の言っていることはおそらく正しいので、その衛生士も一応、うなずきますが、あまり反省した様子には見えません。むしろ「わかってるわよ」と反発しています。(「わかっている」のと「できる」は別なんですが・・・)その意外なリアクションに、先輩は、ムッとします。
こうして、コミュニケーションのミゾは拡大していきます。そういうときに、先輩が冒頭で紹介したように、質問形で言うと、どうなるでしょうか?
「さっき見ていて気になったことがあるから、1つ聞いていいかな?スケーリングのときに、患者さんが痛がらないように配慮しながらやることが大切なことはわかっていると思うけど、加藤さん、どのくらい意識してやってる?」
この表現だと、「痛みを与えないように丁寧にスケーリングをやるべき」ということはすでにわかっている前提で、話をしています。しかも直接的に注意はされておらず、意識している度合いを聞かれただけなので、上司に対してスタッフは悪態をつきにくいことになります。
相手を変えるのは簡単ではありませんよね。ならば、こちらがちょっと言い方を工夫することで相手の反応が変わってくれるなら、その表現を工夫してみるのも手ではないでしょうか。