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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

医療機器はリースか、借入による買い取りか、どっちがお得?

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2018.08.17 執筆者:和仁 達也

リースと購入はどちらがいいのか?

医療器械を調達する場合、高額であることが多いため、リース契約がいいのか、設備投資の為、借入をし買い取った方がいいのか?を迷ってしまう場合が多いと思います。

リースか購入かどのように判断をすればいいのでしょうか?

リース契約で考えるべきこととは?

加藤院長は、ある書類をじっと見つめながら、もうかれこれ30分以上、考えこんでいた。

以前から購入を考えていた診療機器を、リースで買うか、それとも銀行に借入をして一括で買い取るか、迷っていたのだ。

「う~ん、どっちでも良さそうだが、月々いくらって決めて固定で予算化できる分、リース契約のほうが便利かもな…」

どちらとも決めかねた院長は、キャッシュフローコーチの和仁に電話を入れた。

「あ、和仁さん?例の設備投資の件で相談したいのですが、リースにするか、銀行借入で買い取るか、どっちがいいんでしょうかね?」

キャッシュフローコーチはコホンと咳ばらいを一つして答えた。

「院長、ちょうどいい機会なので、リース契約とは何か、ということからお話ししましょう。それが明確になれば、院長の場合はどちらが得か、自然とはっきりしますから。

リース契約というのは、リース会社が新品を購入して賃貸する取引形態ですよね。つまり、所有者は、院長ではなくリース会社ということになります。

この場合、その物品を借りている院長が期限前に解約すると、リース会社に違約金として、『残リース期間×リース料金+多少の違約金』を支払う契約になっていることが一般的なんです。
そういう意味では、所有者はリース会社だけど、『途中でいらなくなったから、返します』というわけにはいかず、実質的には全額支払う義務が発生します。つまり、買い取った場合と同じリスクが発生するわけです。そこは、一時的に借りるだけのレンタルとの違いですね」

「うんうん、わかります」

加藤院長は、電話越しにうなずいた。

「そして、リースの期限が切れたら、元のリース設定額よりも格段に安く再リース、つまり再契約をすることが可能です。あるいは、リース会社と契約している会社がその商品を買い取る契約になっていることもありますから、リース期限後にどうなるかは、一度確認したほうがいいです」

「え?リース期限が切れたら、わたしのモノになるんじゃないんですか?」

院長は思わず聞き返した。

「はい、あくまで所有権はリース会社にあります。といっても、リース期限が切れたときには、1回分のリース料で1年間利用できるなど、かなり負担は減りますけどね。いずれにしても、そこはちゃんと確認したほうがいいでしょう。

それから、月額のリース料金ですが、これは、次の式で決まります。

■月額のリース料金=( 物件価格 + 期間固定資産税 + 金利 + 動産総合保険保険料 + リース会社の利益 + 対象企業によるリスク利率 ) ÷ リース期間(月数)

つまり、リース会社は相応の利益を上乗せしてリース料を決めてきます。

一方、銀行からお金を借りて買い取りした場合は、銀行の利益、すなわち『利息』が上乗せされることになります。よって、毎月いくらか、だけじゃなく、トータルの支出がいくらになるのかを双方について確認しておいたほうがいいでしょう。もし銀行の条件がよくて低い利率で借りられるのであれば、借入して買い取ったほうがお得ですよね」

「ということは、どっちにしても、150万円の機械を買うには、150万円以上を支払わないといけないってことですか」

院長は少し不満そうな表情で尋ねた。

「そうです。もし最低限の出費で調達したければ、方法は1つあります」

「え、なんですか、それは?」

「手持ちの現金で買うことです。そうすれば、リース会社にも銀行にも余分な支払いは発生せず、販売会社に純粋に機械代金だけを支払えば済みます」

「そうかぁ~、まあウチは今なら手元に300万円の預金があるから、これで買っちゃおうかな?」

「いえいえ、院長。それを使ったら、結局は毎月の運転資金が足りなくなって、結局は運転資金を銀行から調達することになりませんか?だったら、“銀行から借りて買う”のと同じことですよ?」

キャッシュフローコーチは慌てて釘を刺した。

「あと、リースの場合、リース期間の途中でも上位機種に切り替えがしやすかったり、毎月いくらかの枠を決めておけば、その予算に組み込んでしまえば小難しいことを考えずに済む(=精神的にラク)など、便利な側面もあります。ただ、それでも大切なことは、“長期的にみて、いくらのお金を支払うことになるのか?”をちゃんと確認しておきたいですね」

「なるほどね~、わかりました」

院長はいったん受話器を置くと、再び受話器を握り、販売会社に電話を入れた。そして、「リースと借入での買い取り、それぞれの支払い総額はいくらか?また、当院にとっての、それぞれのメリット・デメリットはどうか?」を宿題として営業マンに投げかけ、受話器を置いた。

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今回のレッスン

◎設備投資の際に、一番支出が小さいのは、「手持ちの現金で買い取る」こと。それが困難であれば、リース契約か、銀行借入による買い取りを選択することになる。

◎その場合、月々の負担だけに気を取られないようにしよう。「それを何年続けるのか?」そして、「最終的に総額でいくらの出費となるのか?」をわかった上で決断したい。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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