上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
言いにくいことでも言える環境をつくる為には経営者がどんな会社にしたいのかというビジョンをしっかり共有すること
2018.08.10 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方
院内でちょっと気になることがあったとき、どうしていますか?
たとえば、同僚のスタッフが診療の開始時刻になっても診療室に来なかったり、他のスタッフが忙しそうにしているのに、自分が暇でも全く手伝わない、ということで不満を感じたとき。あるいは、新しく入った代診の先生の治療や患者さんへの接し方が雑だな~と思ったとき。
院長や上司の立場からすると、「そういう、あきらかに問題と感じることを発見したら、すぐに報告してよ」と言いたくなります。
ところが、実際にはそういう報告が上がってくるのはかなり時間が経ってからだったり、患者さんからのクレームなど具体的に問題が起こってからだったりします。なぜ、そのようなタイムラグが発生するのでしょうか?
その理由の1つは、「こんなことを院長に言うと、“仲間のことを院長に陰口した(学生風に言うと、“チクッた”)イヤな奴“と思われるのがイヤ」とスタッフが考えているからです。
「え、それは陰口とは違うじゃないか!医院の改善のために必要な提案や報告であって、むしろ院長に報告しないほうが医院にとって問題だぞ」というのが院長の言い分です。
言われてみればスタッフも「それはそうだな」と気づくのですが、本人の中では葛藤があるのです。そこで、予めミーティングの場で、「医院の改善のために必要なことに気づいたら、院長に報告してください」と認識をあわせておくことが大切です。
とは言っても、それでも躊躇する人もいます。そこで、手っ取り早いのは「言いにくいことでも言える“環境”をつくる」ことです。
たとえば、面と向かって言いにくいことでも、紙に書くことならできるかも知れません。そこで、ある医院では、全スタッフが、思いついたアイデアをポストイットに書いて、休憩室の壁に掲示した「改善提案ボード」に貼っています。
あるいは、「日誌」を書く手もあります。日誌で、特定の人に対してではなく、全員に呼びかけをすることで、結果的に特定の人の目にも触れ、気づかせることができます。
個人攻撃ではなく、医院の改善のための情報共有がスムーズにできる「環境づくり」の仕方を考えてみてはいかがでしょうか。
環境作りは、まずはトップであるあなた自身のビジョンが重要です
経営者の明確なビジョンをスタッフ全員に共有し、どんな医院にしたいのか?という意図を示すことが重要です。
その為には、漠然とした「売上アップ」という目標ではなく、患者様にどんな価値提供をスタッフ含め医院全体でしていくのか?
そのようなビジョンを院長であるあなた自身がスタッフ全員へ浸透させた上で、医院の目的を共有し、「言いにくいことでも言える環境をつくる」ことが大切です。
そうすることで、スタッフ自身が、何が問題で、問題があればそれぞれが確実に改善へ向けての行動を自主的にしてくれるようになります。
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