社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?
なぜ、ドンブリ経営に陥るのか?3つの罠
2018.08.21 執筆者:和仁 達也お金のブロックパズルキャッシュフロー経営ドンブリ経営
Contents
会社の中をお金はどのように流れているのか
「会社の中をお金がどのように流れているのか」という全体像を今からお話します。
お金が売上として入ってきて、いろいろな経費が出て行って、最終的にどれだけ残るのか。みなさんはその構造について、人に説明ができますか?
「いえ、入りと出を関連づけて理解しているわけじゃないので、上手く説明できないと思います」
会社経営において、お金がどう入ってどう出て行き、そしてどれだけ残るのか。
そのお金の構造については、意外なことに、知らない人が多いはずです。
なぜなら、これまで私たちは、売上の話、人事労務の話、銀行借入の話、コスト削減の話、というように、それぞれの分野について分断された状態で議論しているからです。
そうすると、たとえば、
「『社員の報酬体系を整備しなくては!』と人事コンサルタントを雇い、立派な賃金システムを導入した」
「しかし、その前提としていくらの売上、利益が必要なのかがスッポリ抜け落ちていた」
「そのため、その分厚い賃金規定マニュアルは実際には機能せず、社長室の机の奥に何年も眠ったままになっている」
というような悲しいことが起こるのです。
つまり、実際の会社の活動としては、それらはすべて連動しているので、全体の構造を知り、入りと出のつながりを常に考えることが重要なのです。
このサイトを通してそれを理解すれば、みなさんは次のような質問に対して回答を導き出す手段を得られます。
Q わが社にとって人件費の上限はいくらだろうか?
Q わが社が来年度、必ず達成しなければならない売上高はいくらだろうか?
Q わが社が借金をしてもよい上限はいくらまでだろうか?
Q この営業マンが提案してきた商品は購入しても後悔しないだろうか?
Q 社長が受け取れる報酬はいくらまでだろうか?
みなさんはこれらの質問に自信を持って答えられますか?
多くの人がドンブリ経営に陥る3つの罠
「実は、私はドンブリ経営真っ只中なのですが、周りの経営者仲間に聞くと、ほとんどの人が私と大差ないようです。決算書も読めないし、税理士に相談したくても何を聞いていいのかもわからないのです」
誰も好き好んでドンブリ経営に陥っているわけではありませんよね。
ちゃんと財務の本を読んでみたり、税理士に話を聞いたことがある人もいます。それでも結局は理解できず、あきらめてしまうようです。そのような人に見受けられる3つの共通パターンがあります。
もし、みなさんがこのいずれかのパターンにはまりそうになったら、注意してみてください。
ドンブリパターン① 全体を見ずに、部分から入りたがる
売上の話、人事労務の話、銀行借入の話、コスト削減の話、というように、それぞれの分野について分断した状態で焦点をあてている。その結果、全体として経営全体の数字がどうなっているのかがつかめないままなのです。
「これは、たしかにその通りです。ただ、決算書を見てもよくわからないし、そもそもお金の流れの全体像を把握したくてもできないんですよ」
確かに、『知る機会がないから知らずにきた』、というのが実態かも知れません。
そのため、売上とか利益とか、自分に直接関係があるところだけ関心を持ち、それ以外が見えないのです。
ドンブリパターン② 入りと出の関連性に気がつかない
たとえば、スタッフに月々100万円の給与を支払うためには、それに見合う粗利を生み出さなければ赤字になります。また、借金をしていて月々20万円の返済をするためには、相応の利益を確保しなければなりません。
そのような入りと出の関連性を無視して、給与の支払い方だけに焦点を当てながら「いかにスタッフのモチベーションを高める人事制度を確立するか」などと議論しても、絵に描いた餅に終わります。
「スタッフのやる気を引き出したくてボーナスを積算していくと、とんでもない金額になるんですよね。もし本当にそれだけ払ったら、利益がふっとんで赤字になってしまうから、出すに出せないんです」
それは、出て行くお金に見合った入金が必要なわけで、そのつながりとバランスを無視するわけにはいかない、ということでしょう。それをスタッフにも知ってもらうことが必要です。
ドンブリパターン③ 正確に知りたがる
完璧主義の人は、会計本を読んだり、税理士に相談する際に、ついつい「より正確に知ろう」と真面目に考えて細部に渡って勉強しようとしてしまいます。
すると、枝葉末節と大幹とがごちゃ混ぜになり、かえってつかみどころがなく諦めてしまうのです。
「これもまさに私のことを言われているようですが、大切なところと切り捨ててよいところの区分けがうまくできないのです。全部大切なことのように思えてきて……」
慣れないことを学んだときは、誰だってそうですよ。だからこそ、大幹を一気に吸収し、枝葉末節は後でゆっくり学べばいい、と割り切ることです。
0か100かという極端な議論ではなく、『自分に必要なことをざっくりと理解できればいい』という割り切りも時として大切なことです。
以上の3つの罠に陥らないために、みなさんに「お金の流れのすべてをつかむ3つの重要な鍵」をお渡しします。それは次の通りです。
お金の流れのすべてをつかむ3つの重要な鍵
このサイトを読み進めるにあたり、次の『3つの鍵』を手にギュッと握り締めておいてください。これは、数字の話に限らず、新しい分野のことを学ぶ上で共通して参考になるコツでもあります。
第1の鍵 はじめに全体像を知る
1つ1つの部分を詳しく知る前に、全体としてどういう形をしているのか。それをイメージとしてつかんでしまいましょう。
第2の鍵 入りと出のつながりとバランスを知る
入りと出の関係を知ることで、お金が会社を循環するイメージがつかめます。
はじめに全体像を知り、次に部分を知ることは、それぞれの関連性を理解する上でもとても便利です。
第3の鍵 アバウトに知る(8割の結果をもたらす2割の知識だけを吸収する)
多少の間違いがあったとしても、「要するにこういうことです」と説明できるレベルになることを目指しましょう。それが自分に達成感を与え、自信になります。細かな間違いは後で訂正していけばよいのです。
「この『3つの鍵』を意識しながら、次の記事を読めばいいのですね」
そうです。次の記事から、この3つの重要な鍵をふまえて、会社の中をお金がどのように流れるのか、その全体像をお話しします。図を描きながら、1つ1つ解説していきますので、簡単に理解できます。今はドンブリを自認しているみなさんでも、20分後には人に説明できるレベルになっていることでしょう。
ただし、1つだけ気をつけたいことがあります。これからの話の中には、【変動費】【固定費】【粗利】など、決算書には出てこない言葉があります。したがって、ある程度の経理知識がある人はかえって戸惑うかもしれません。
そこで、次のページに進む前に、一度頭の中をリセットし、真っ白な素直な気持ちで読み進めてみてください。新しい発見がいくつかあると思います。
できることなら、次の記事は1回目は軽く読み流し、2回目は私と一緒に図を描きながら、3回目は再び読み流すつもりで読むことをおすすめします。
では、軽く深呼吸をしてから次の記事をどうぞ。