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社員を巻き込みビジョンを実現する キャッシュフロー経営って?

たった1枚の図で会社のお金の流れはすべてわかる! お金のブロックパズルとは?

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2018.09.01 執筆者:和仁 達也

自社の収支構造を20分で覚えよう!

みなさんの中には、お金や数字の話になると、得意な人もいれば、どちらかと言うと苦手だと言う人も多いと思いますが、これは苦手な人を対象にしたお話です。

わたしはこれまでセミナーや書籍でお伝えしてきたのですが、経営者にとって、この図は極めて重要です。なぜなら、会計全体のたった2割のことを知っておけば、経営判断において8割使える、という投資効果の高い図だからです。

そしてこの図は、会社の利益を2倍3倍に増やす着眼点をみなさんにもたらしてくれます。

今から、「会社にお金がどのように入ってきて、どのように出て行くのか、そしてどれだけ残るのか」について、図を描きながら、1つずつ順番にお話ししていきます。
これは、西順一郎先生が『戦略会計STRACⅡ』(ソーテック社)でご紹介されているSTRAC表(現・MQ会計表)をもとに、お金の流れの全体をわかりやすく図にしたもので、「お金のブロックパズル」と呼んでいるものです。

なにも経営者は簿記の専門家になる必要はありません。経営判断に使えるお金の話だけ理解していればいいのです。 そして、それを図で表現したのが、今からお話しするお金のブロックパズルというものです。

これで、一体何がわかるのか?

例えば、借金をしようと思ったら、「いくらまで借りていいか?」という基準があったほうがいいですね。銀行が貸してくれると言っても、分不相応に高額な借金をしたら、あとが大変です。借りたものは当然、あとで返さなきゃいけないし、利息も多く支払わなきゃいけないから、利益を圧迫します。そこで「いくらまで借りていいか」の上限、これを自分で決められるようになります。

それから、人件費の上限の基準、「スタッフを何人まで雇っていいのか?」の基準もあった方がいいですよね。例えば、すごく頑張っている社員がいるから「彼らに臨時ボーナスを支払ってあげよう」と思うのはいいとして、いくらまでなら払っても大丈夫なのか。
この基準がないと、後で「しまった!払いすぎた!!」となっては、取り返しがつきません。この、人件費の上限も自分で決められるようになります。

また、売上目標の作り方も知っていたほうが良いでしょう。新年度になって売上目標を作るときに、みなさんはどうしていますか?「去年より10%アップで」とか「ライバル会社がこれくらいだからそれより上回りたい」みたいな過去対比や他社対比で、何となく決めているケースが多いんじゃないでしょうか。

もちろん、それでもないよりはあった方が良いのですが、それって根拠があるようであまりないですよね? 「なぜこの売上目標を達成する必要があるのか?」という根拠があった方が、社員にも理解されやすいし、その達成にこだわれると思います。
この売上目標の根拠の決め方もわかるようになります。

・ ・・と、このように、およそ経営判断に必要なことには、お金が絡んできます。
それを、税理士任せとかコンサルタント任せではなく、経営者が自分の判断でまず決めるということが出来るようになります。

ただ、見落としている盲点があるかもしれないから、そのチェック役として税理士やコンサルタントに聞く、というように主導権を握って経営の舵取りができる。
それがこのお金のブロックパズルをマスターすることで出来るようになるので、それを今からお届けしたいと思います。

簡単な図なので、まずはこの図を覚えてしまいましょう。

では、改めて、次のページで会社経営におけるお金の流れの全体像を見ておきましょう。

 


実際に図を描いてみよう!

今、この図を見てピンとこなくても心配いりません。この図の意味を理解して使いこなせるようになるために、今から1つずつ、一緒に図を描いていきましょう。白紙の紙を用意してください。

用意ができたら、まず、ノートの左側に長方形を描きます。
これを、年間の【売上高】とします。数字が入っていたほうがわかりやすいので、ここでは100としましょう。


次に、その売上を2つに分解します。

 

【変動費】と【粗利】です。【変動費】とは、読んで字のごとく、売上高と連動して、増えたり減ったり変動する費用のことです。つまり、売上高が2倍になれば【変動費】も2倍、逆に半分になれば半分になる費用です。
具体的には、どんなものが当てはまると思いますか?

「材料代ですか?」

そうですね、それもあります。他には?

「外注業者に委託しているフィーも当てはまりますか?」

それも当てはまります。外注加工費といいます。その他、商品売上があれば、当然その仕入も【変動費】です。

「たとえば、ウチは運送会社ですが、売上高が移動距離と比例するので、ガソリン代や高速道路代なども【変動費】と考えればいいですか?」

その通り。つまり、【変動費】は業界によっても違いますが、一般には「材料費」「外注加工費」「商品仕入」などのことをいいます。ここでは【変動費】を20としましょう。

売上は実は「見せかけの収入」だった!

売上高から変動費を差し引いた残りを【粗利】といいます。

売上100から変動費20を引くと80です。この【粗利】は、売上以上に重要な数値です。

「え、どうしてですか? 売上のほうが重要なんじゃないですか」

売上として入ってくるお金のうち、変動費分はヨソに素通りして出て行ってしまいます。だから、実質的に会社に入る収入は、売上高ではなく【粗利】なんです。
ちなみに、売上高に対する【粗利】の割合のことを【粗利率】といいます。

通常、コンサルタントや歯科医院、美容院などのようにサービスを提供する業種の場合、70~90%と高めの【粗利率】になり、商品を仕入れてそれを販売する小売業の場合、20~50%、卸売り業の場合、20%以下と低くなります。
この【粗利率】は高ければ高い程、会社の実質の実入りが大きいことになるので、好ましいと言えます。

「では、【粗利率】をいかに高めるか、が大切なんですね」

そうです。そのためにはサービスを追加したり、クオリティアップを図ったり、という経営努力が必要です。一方、【粗利率】を引き下げるのは簡単です。値引きをしたり、価格競争に巻き込まれると、あっという間に粗利率は低下しますから。

コストには、売上と連動するものとしないものがある

次に、粗利を2つに分解します。【固定費】と利益です。ここでは【固定費】70とします。

 

【固定費】は、先ほどご説明した変動費と反対の性質の費用と考えてください。つまり、売上高が増えても減っても、基本的に変わらず固定なので、【固定費】といいます。
具体的に【固定費】には何があるか、わかりますか?

「事務所の家賃ですか?」

そうですね。他には?

「コピー機やコンピューターのリース代もそうですよね。それから、スタッフの給料も【固定費】ですか?」

そうですね。成果連動型の歩合制であれば別ですが、通常、スタッフに支払う給料は毎月一定ですよね。その他にも、水道光熱費とか事務用品費、保険料などいろいろあります。変動費以外の費用はすべて【固定費】と考えてよいでしょう。

ところで、ここでは固定費を大きく2つに分けて考えましょう。

 

 

【人件費】と【その他の固定費】の2つです。ここでいう【人件費】には、社長の生活費も含めて考えます。そうすると、多くの場合、固定費の半分程度は【人件費】になるでしょう。

ちなみに、決算書上のルールでは、個人事業の代表者の給料は、「可処分所得」として「利益」に含めて表示されます

しかし、ドンブリから脱出するには、会社の利益と社長個人の給料は分けて考えることが重要ですので、決算書のルールはここでは忘れて、社長の個人的な給料はすべて【人件費】に含めると考えてください。
ここでは【人件費】を40とします。

ところで、この人件費について、1つ重要な指標があります。粗利のうち労働に対してどれだけ分配しているかを示す指標で、【労働分配率】といいます。

 

この図では、粗利80に対して人件費40なので、50%です。この比率が低ければ低いほど、会社としては生産性が高い(つまり、少ない人件費で多くの粗利を生み出している)と言えます。

「では、【労働分配率】が低ければ低いほど、よいのですね?」

そうです。ただ、これが極端に低過ぎる場合は、スタッフを安い給料で酷使していないかと振り返ってみましょう。
「こんなに会社に貢献しているのに、なぜ私たちの報酬はこんなに低いんだ!?」
と不満を抱いてはいないでしょうか?

その場合はスタッフの働きがいを考えて、もう少しボーナスで還元してあげるか、人手を増やしてもよいかも知れません。

【労働分配率】の適正値は、会社の規模や業種、借入の返済額などによって、当然違うので、唯一絶対の正解はありません。

誤解を恐れずに言えば、ちゃんと必要な利益が出ていて、経営がうまくいっているのであれば、そのときの労働分配率が適正値なのです。つまり、「わが社では、必要な利益を確保するには、労働分配率は何%が適切かを知る」ことが重要です。

ただ概算で目安を知りたい人には、「40%台なら優良、50%台ならまあまあよし、60%を超えると利益が出にくい収支構造です」と私はお伝えしています。

「利益はなぜ必要か?」を知らない社長の悲劇

そして、粗利から固定費を引いたものを、一般に【利益】といっています。粗利80から固定費70を引くと、【利益】は10です。

「私はときどき『ウチの【利益】は○○ぐらいだ』とか『【利益率】は○○%高まっている』と言っていましたが、どうも粗利や粗利率のことをいっていたようです」

そのように曖昧な言葉を使っている経営者は意外と多いですよ。でも、【利益】というのは、粗利から固定費を引いたものをいいますので、ご注意を。

「ウチの社員で、『【利益】をたくさん出しても、結局社長のポケットマネーになるんでしょ?』と勘違いしている者がいて、びっくりしました。私が私財を会社に投入してまでボーナスを払っているとも知らずに……」

ああ、それは社長としては歯がゆい発言ですね。ただ、社員は会社のお金の流れについて教わったことがないので、そういう勘違いをしている人は少なくないようです。
ちょっとお尋ねしますが、なぜ【利益】は必要なんでしょうか?

 

「それは、会社を継続させるために必要なものでしょう!?」

確かに、一般にはそう言われていますよね。では、あえて聞きますが、なぜ会社を継続させるために【利益】が必要なのでしょうか?

「そうやって改めて質問されると……。まあ、将来の事業資金として会社に残しておかないといけないからだと漠然と思っていましたが」

そうですね。将来的に大きな投資をしなければならない場合、毎年一定額を貯蓄していくことも大切です。では、設備投資のかからない事業の場合、どうでしょうか。貯蓄が必要ないから、【利益】はゼロでもよいのではないですか?

「う~ん、そう言われると、そんな気がしてきます。ちなみに、私の会社は昨年度は収支トントンでした。とはいえ、一応わずかながら黒字だったのですが、資金繰りはかなり苦しい感じがしていました。これは、どうしてでしょうか?」

そこにヒントがあるようです。つまり、【利益】がすべて会社に残るわけではなく、そこからさらに出て行く支出があるということです。

残った利益からさらに出て行くお金とは?

さて、【利益】がすべて会社に残るわけではなく、そこからさらに出て行くお金があるということでしたね。

図では売上高から変動費や固定費が差し引かれ、利益10が残りました。この利益10は、そのまま会社の預金残高に上乗せされると思いますか? それとも、他にもお金の支出があるでしょうか?

 

「何かあるような気がします。でも、変動費も固定費もすべて出ましたよ」

その通りです。つまり、経費と見なさない支出があるか、ないか、ということです。

「そうか、利益があれば、【税金】を払いますよね!」

正解です。したがって、次の図のようになります。
ここでは、税率が約40%として、10のうち4を【税金】(所得税あるいは法人税)としておきましょう。自社の【税金】を知りたい場合は、顧問税理士に確認すれば教えてくれます(なお、個人事業の場合、ここで説明するところの社長の報酬と利益の合計に対して、所得税がかかります)。

ここで少しだけ難しい話をします。税引後利益が6となっていますが、実はキャッシュフロー(現金)ベースでいうと、もっとお金が手元に残っているのです。

それは、【減価償却費の繰り戻し】といいます。「その他の固定費」の中には、設備投資をした際に発生する【減価償却費】という費用があります。これは、実はお金の支出を伴わない費用なのです。したがって、キャッシュフローを見る際は、一度費用として「その他の固定費」に計上していた【減価償却費】を繰り戻して、税引き後利益に加える必要があるのです。

 

「え? 意味がよくわからないのですが……」

そうですよね、これはちょっとわかりにくいところです。だから、ここでは理解できなくても、全然気にしないでください。ただ、もう少しだけ説明をしておきましょう。

例えば、3年前に300万円の車を事業用に購入したとします。
税法上、一定額以上の備品は資産扱いになりますので、300万円を丸ごと経費に計上することはできません。また、車はその購入した年で使い切るものではなく、何年にも渡って使うものですから、経費ではなく、資産として扱うのです。
この点は理解できますか?

「はい、それはわかります。」

そして、車の法定耐用年数は6年と決まっていて、つまり大雑把に言うと「6年で使い切ることを前提に、購入金額の6分の1を毎年経費として計上してよい」とされているのです。よって、1年に50万円ずつが経費となります。

「すると、どうなるのでしょうか?」

すると、固定費が50万円分増えますよね。その分、利益は50万円減ります。税金は利益の大きさに応じて決まるので、利益が減れば、税金も減るわけです。

そして、税金を引いた後に、税引後利益が会社に残るわけですが、3年前に買った車の【減価償却費】は、「お金の支出が伴わない経費」だと言った通り、本当にお金が減っているわけではないので、ここで繰り戻してやると、そこで本当に会社に残るお金がわかるのです。

「なるほど、なんとなくわかりました。」

ここでは、その程度の理解で十分です。もしよくわからなくても、ここでは大きな問題ではないので、読み流していただいても結構です。
今回の図では、減価償却費を2としたので、税引後利益6と減価償却費2で合計8が【本業で得られるキャッシュフロー(現金の入り)】となります。

 

「なるほど~、利益が出て終わりかと思ったら、それ以外にもいろんなお金が出入りするのですね」

でも、お金の流れの話はまだ終わりではないのです。

「え、まだ支出があるのですか?」

借金がある場合、その【返済】が必要です。業種によってどれだけ借金をするかは違いますが、設備投資を必要とする会社は多くの場合、事業をはじめる時に銀行から借入をします。本業での儲けから税金を払い、そこから銀行への借金の元本の【返済】をして、さらに設備投資をした上で、さらに残ったお金が来年に繰越できる資金となります。

「ちょっと基本的な質問をしたいんですけど……。借金は、税金を払った後にしか払えないんですか? 経費と同じように考えていたんですが。」

実はそういう誤解をしている人は決して少なくありません。
借金をした場合、元本(借りた借金そのもの)と、それにかかる利息を支払う必要がありますね。この支払利息は経費(固定費)となります。しかし、元本自体は経費ではなく資産の移動であって、税引後利益から支払うことになるのです。

 


「すると、もし利益が出なかったら、返済できない、ということ?」

そう考えて間違いありません。もっとも、減価償却費の繰戻しがあるので、仮に利益がゼロでも減価償却費が年間400万円あった場合、その会社は年間400万円までの返済はできることになります。

ただ、本質的なことを言うと、減価償却費というのは今使っている設備資産の価値が減っている分を経費にしているわけです。だから本当はちゃんと貯蓄しておいて、その資産価値がゼロになった時に、新しい設備投資ができる余力を蓄えておかないといけないのです。この発想は長期的なスパンでキャッシュフローを見なければ気がつかないので、多くの経営者があとになってあわてるところです。

「すると、本当なら、減価償却費の繰戻し分は、定期積立をして貯めておいて、それに頼らなくとも返済できる力をつけていく必要があるということですね」

そうです。そこまで余裕を持ったプランを立てられるかどうかは別として、それくらいの基準で考えておくと万全です。

「それにしても、こうやって図にして見ると、会社の中でお金がどう流れているか、一目瞭然でよくわかりますね。しかし、100の売上が、最終的にはたったの1になるなんて……。(なかなかお金が貯まらないはずだ)」

さて、今回はわかりやすさを最優先するため、【在庫】や【売掛金】の増減についてはあえて図に表現していませんが、これらが増えると本業で得られるキャッシュフローは減少します。よって、「利益があるのにお金がない」という場合、過剰【在庫】や【売掛金】の回収遅れなどもチェックすることが大切です。

また、税引き後利益からは本当は【株主への配当金】や【役員賞与】が発生する場合があります。しかし未上場の中小企業の場合、節税効果を考えてその形では報酬を受け取らないケースが多いので、あえて省略しました。

さて、ここまででお金の流れの全体像を把握することができました。
以前の記事でお伝えした、キャッシュフロー経営の3つの定義を覚えていますか?

①お金に目的別に色をつける
②お金の入りと出のバランスを考える
③逆算思考で目標を決める

この3つでしたね。実は、ここでお伝えしたことが、1つめの「お金に目的別に色をつける」ことなのです。

「支出」と、ひとくくりにしていたものを「変動費」と「固定費」に分け、さらに「固定費」を「人件費」と「その他の固定費」に分けました。さらに、「税金」や「返済」など、経費ではない支出もありました。このように目的ごとに色わけして区別することで、具体的にお金の使い方について対策を立てられるし、予算も組みやすくなるのです。

なお、この記事の内容をさらに理解したい人のために、拙著「お金の流れが一目でわかる! 超★ドンブリ経営のすすめ」が参考になります。お金のブロックパズルについて詳しく説明してます。

さらに、私が「お金のブロックパズル」をレクチャーした肉声をホームページ上でお聴きいただけます。本書を片手にどうぞ。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。