「売れないなら値下げした方がマシ」に、どう答える?
2026.10.13 執筆者:和仁 達也
キャッシュフローコーチ価格設定
こんにちは、和仁です。
キャッシュフローコーチとして実践を始めると、
「こういうとき、どうクライアントの相談に乗ればいいんだろう?」
という場面が必ず出てきます。
知識として理解していても、
実際の現場では、会社ごとに事情も背景も違います。
そんなときに大切なのは、
すぐに答えを出すことより、
どこに着眼して話を整理するか。
今回は、営業現場でよく起こる
「値下げ」をテーマに、会社の基準を
どう整えていくかを考えてみます。
以下は、塾生Aさん&Bさんと和仁の対話です。
Contents
「売れないなら、値下げした方がいいですよね?」
Aさん:
クライアント企業の営業社員に、
お金のブロックパズルを使って粗利の重要性を説明しました。
すると、ある営業マンから、
「定価で売れなくて売上ゼロになるくらいなら、
値下げしてでも売った方がいいですよね?」
と言われたんです。
粗利の大切さは説明したのですが、
どうも腹落ちしていない感じがあって。
どう伝えればよいでしょうか?
和仁:
なるほど。これは営業現場では、よくある話ですね。
まず確認したいんですが、その会社には、
値下げをせず標準価格で売れている
営業マンもいるんですか?
Aさん:
はい。幹部クラスの営業マンは、しっかり売れています。
和仁:
だったら、そこに宝がありますね。
わたしなら最初に、その売れている
営業マンと1対1で話します。
「お客様に何を伝えているのか?」
「どんな事例を使っているのか?」
「どんな言葉で価値を感じてもらっているのか?」
を、細かく聞いていくんです。
本人は感覚的にやっていて、
うまく説明できないかもしれません。
でも、そこをキャッシュフローコーチが言語化する。
すると、
「この商品は標準価格では売れない」
という見方から、
「標準価格で売る方法は、すでに社内に存在している」
という見方に変わります。
この違いは大きいです。
コンサルタント自身が、
「まあ、値下げも仕方ないよね」
と思っていたら、その空気は相手にも伝わります。
一方で、
「ちゃんと売れている人がいる。なら、やり方はある」
と思えていれば、その前提で会話できます。
まずは、支援する側がその確信を持つ
ことが大事だと思います。
10%の値下げで、利益が消える?
和仁:
そのうえで、営業会議では最初に
“どの土俵で話すか”をそろえておくといいです。
たとえば、
「10%値下げすると、この会社の利益は
どれくらい減ると思いますか?」
と、お金のブロックパズルで考えてもらいます。
売上100、粗利80、固定費70、利益10
の会社があったとします。
ここで10%値下げして、粗利が10減ると、粗利は70。
固定費70を引けば、利益はゼロになります。
営業マンの感覚としては、
「たった10%値下げしただけ」
かもしれません。
でも、経営の数字で見ると、
「利益が全部消えた」
ということが起こる。
ここまで見えると、値下げの見え方が変わります。
そこで、
「安易な値下げを続ける会社と、
価値を伝えて標準価格で売る力を身につける会社。
うちは、どちらを目指しますか?」
と確認する。
この前提をそろえてから、
「では、どうやって標準価格で売る力をつけるか?」
を考えていきます。
ここがポイントなんですよね。
前提をそろえないまま具体策に入ると、途中でまた、
「でも、売れないよりはマシですよね」
という話に戻りやすい。
なので最初に、
「今日は、値下げせずに売る方法を考える
時間にしましょう」
と、会話の土俵を決めておく。
この前置きが、あとで効いてきます。
社長自身が値下げを認めていたら?
ここで、別の塾生Bさんから質問が出ました。
Bさん:
実際には社長自身が、
「若手はまだ実力がないんだから、
多少値引きしてでも売ればいい。そのうち
成長して定価で売れるようになればいい」
と考えている会社もあります。
その場合、営業マンに「標準価格で売ろう」
と伝えても、後ろで社長が値下げを認めてしまいます。
こういうケースでは、どう考えればいいでしょうか?
和仁:
そうですね。
まず、社長には社長なりの理由があるはずです。
なので、わたしなら先に聞きます。
「どうして、そう考えているんですか?」
「過去にどんなことがあったんですか?」
「その若手営業マンを、今どんなふうに見ていますか?」
すると、
「以前、値下げ禁止にしたら
若手が全く売れなくなった」
「まずは成功体験を積ませたい」
「いきなりベテランと同じレベルを
求めるのは酷だと思っている」
といった背景が出てくるかもしれません。
そこまで聞くと、
「ああ、そういう事情があって、
今の判断なんですね」
と理解できます。
そのうえで、こちらが持っている
情報を伝えます。
値下げが利益にどれだけ影響するのか。
標準価格で売れている人は何をしているのか。
若手がそのやり方を習得するには、何が必要なのか。
お互いの情報がそろったところで、
「では、どうしましょうか?」
と一緒に考えていくんです。
「今はOK。ただし、ずっとは続けない」
和仁:
ここで大事なのが、時間軸です。
たとえば、
「明日から値下げ一切禁止」
だと、現場には無理が出るかもしれません。
だったら、
「3カ月間は5%までの値下げを認める。
その間に標準価格で売る方法を学び、
3カ月後から値下げに頼らない営業へ移る」
という形にしてもいい。
これなら、今の実力も踏まえつつ、
会社として目指す方向もはっきりします。
わたしたちがよく使う
「脱★完璧主義」は、こういう場面でも有効です。
30点の人に、いきなり100点を求めなくていい。
まず50点へ。
そこから70点、80点へ。
ただ、30点のままでいいという話でもありません。
「今はここまででOK。次はここを目指そう」
と、階段をつくる。
その会社に合った階段を一緒に設計していくんです。
同じ「値下げ問題」でも、答えは変わる
Bさん:
なるほど。時間軸を入れると、現実的になりますね。
和仁:
そうなんです。
同じ「値下げをなくしたい」というテーマでも、
若手がまだ未熟なのか。
売れている人のやり方が共有されていないのか。
商品の価値がうまく言語化されていないのか。
社長が値下げを認めているのか。
そもそも価格設定自体に無理があるのか。
現状によって打ち手は変わります。
だから、わたしはコンサルは
「正しい現状把握が9割」
だと思っています。
少し話を聞いただけで結論を出すより、
まず相手の頭の中をこちらにも
再現できるくらい聞いていく。
すると、その会社に合った答えが見えやすくなります。
ここがパートナー型コンサルの醍醐味なんですよね。
会社の「当たり前」を、どこに置くか
値下げの問題をたどっていくと、
最後は会社の「基準」に行き着きます。
「売れなければ値下げするのが当たり前」
なのか、
「価値を伝えて標準価格で売る方法を
考えるのが当たり前」
なのか。
日々の判断は、この“当たり前”に引っ張られます。
だからこそ、数字で現実を見える化し、
できている人のやり方を言語化する。
そして、社長の考えも丁寧に聞く。
そして、
「うちは、どんな営業を当たり前にする会社にしたいのか?」
を一緒に決めていく。
一度で完璧に変わる必要はありません。
方向をそろえ、現実的な階段を一段ずつ上がっていく。
そんなプロセスに伴走できることが、
キャッシュフローコーチの価値の一つだと思います。
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キャッシュフローコーチ養成塾では、
このように
「学んだことを、どう現場で実践するか?」
も一緒に考え、成果を出せるところまで
導くようにしています。
<キャッシュフローコーチ養成塾で磨いているもの>
今回ご紹介したやり取りは、養成塾の延長戦で
交わされた、ほんの一場面です。
養成塾では、お金のブロックパズルや
ビジョナリーコーチングといったメソッドを
学ぶだけではなく、
実際にクライアントと向き合う中で
生まれた疑問や迷いを持ち寄り、
「この場面なら、どう考えるか?」
「相手にどんな問いを投げかけるか?」
「本当のお困りごとは何か?」
そんなことを、みんなで考え続けています。
わたしも、一方的に答えを教えるのではなく、
塾生と一緒に思考整理をしながら、
その人らしい答えを見つけていく時間を
大切にしています。
今後も引き続き、現場で実際に起きた相談を
題材にしながら、経営者の未来を支える
キャッシュフローコーチを育てていきたいと思います。
最後に。
このような関わり方をサポートする
のに関心がある方なら、
CFコーチが合うかも知れません。
そんな方には、
養成塾への参加を検討してもらえたら
いいなと思っています。
キャッシュフローコーチ養成塾の
内容や日程、金額などの詳細はこちらです。
■ファシリテーター講座
(和仁の講義動画を使ってファシリテーターが解説)











































