上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
スタッフとの間の認識のズレを埋めるには?
2025.05.07 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方着眼点
仕事には、「本業直結の業務」と、「その周辺の業務」があります。
歯科医院なら、前者は診療行為、後者はニュースレターの作成などです。
後者の仕事を部下に任せる際に、上司が抱えがちなストレスと、
その解消法を紹介します。
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「診療以外のことでスタッフに仕事を依頼すると、
心理的に抵抗感があったり、やらずに済ませたい雰囲気が
スタッフの反応ににじみ出るのが気になるんです」
と、ある歯科院長から相談を受けました。
「なぜ、そんなことをやらなきゃいけないんですか?」
という疑問というか不満の声が、口には出さないものの、
スタッフの表情から伝わってくるそうです。
「どんな時にそれを感じるのですか」と尋ねると、
例えば年に数回行う「予防の院内セミナー」や
「物販のキャンペーン」「院内ニュースレターの作成」などを
依頼したときに、それを強く感じるとのこと。
このような体験をしたことがある院長は、
多いのではないでしょうか。
これは、院長にとって大きなストレスであると同時に、
スタッフにとっても同様にストレスであり、
できることなら解消したいですよね。
では、なぜこのようなことが起こるのでしょうか?
院長にとっては、
「それらの仕事は、診療と同等に“大切な仕事”」
と言う認識ですが、スタッフにとっては、
「それらは、診療の合間に行う“余計な仕事”」
と認識されています。
そして、この院長とスタッフの間の認識のズレが
顕在化するたびに、お互いにとってストレスとなります。
その認識のズレは、たいていの場合“情報量の不一致”によって生じます。
そこで、わたしは院長に質問しました。
「スタッフは『なぜ、これをやるのか?』が疑問なのですよね。
では、スタッフにその意味や価値が伝わるために、
どうだったらいいんでしょうね?
ちなみに普段、院長の頭の中にある“情報量”が
スタッフに伝わるために、どのように伝えていますか?」
複数の院長にこの質問をしたところ、ほとんどの場合、
「わたし(院長)は伝えたつもりだが、よく考えたら
スタッフにちゃんと背景や目的が伝わっていない気がする」
という回答でした。
もちろん、依頼するときに1対1で個別に説明は
しているのですが、改まって主旨を説明することなく、
場当たり的で断片的な説明になりがち。
「それをする背景」や「目的」、
「なぜあなたに依頼するのか」までは言語化しておらず、
ただ「医院に必要なことだから、やってほしい」という感じで、
言葉は丁寧だけど、上から命令する感じだったとのこと。
「診療と同等に“大切な仕事”」については
1対1の個別対応だけではなく、ミーティングで
スタッフ全員に対して丁寧に伝え、お互いの情報量を
一致させておくことが認識のズレを解消するカギになりそうです。