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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「スタッフが足りない!」でも増えたスタッフの人件費をカバーできるだけの売上がつくれるのか不安と感じている経営者に知って欲しいスタッフを増やす時の判断基準とは?

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2019.06.16 執筆者:和仁 達也

今は空前の人手不足を感じている企業が多く、
どの企業も人出が足りていないと感じています。

しかし、同時に、「スタッフが足りない!でも採用した挙げ句に売上が減ったらどうする?」
と言う不安も経営者ならありますよね。

今までの中小企業は、売り上げの減少などでの倒産が多かったのですが、
これからは人手不足倒産がより増えるとも言われています。

売り上げ不足と人手不足がダブルでくると….

考えただけでもゾッとしますよね。

このような不安を漠然と感じてしまうと、なかなかスタッフを増やして、
売り上げも上げようと言う「攻め」の姿勢は取りにくくなってしまいます。

そして、このような問題をお困りごととして感じている経営者の方も多いため、
今日は、「売上の不安とスタッフ不足の狭間で揺れ動いたときの判断とは?」をテーマに解説したいと思います。
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ホワイト歯科は、ここ3カ月ほど、患者数が減っていた。幸い、たまたま高額のインプラント治療などがかさなり、
売上自体はキープしているが、患者数は前年同月比で5ー10%ほど減っていることが院長の気がかりだった。

「このままだと、患者数はさらに減り、売上が下がっていくのではないか?」

漠然とした不安にかられた状態で、経営キャッシュフローコーチの和仁との面談を迎えた。

「患者数が下がっている理由について、どう考えていますか?」

という問いに対して、加藤院長は、実はその理由がわかっていた。
周りに新しい歯科医院が増えたのも患者数が減っている理由の1つだ。

しかし、最大の理由は、スタッフの結婚や出産による退職が続き、スタッフ不足の中なんとかまわしているため、
受付スタッフが意図的にアポイント数を減らしているからだ。

経営上、もっとアポを入れたいところだが、クオリティを落とすわけにもいかない。

そのため、やむを得ず受付が人数を制限しているのを黙認していた。

その結果、しばらくするとスタッフもそれに慣れ、それが常態化していた。

しかし、このまま売上が低いところで安定してしまうことが怖い。

「だからこそ、早くスタッフを採用して万全の態勢を整えたいのです」

加藤院長はそう訴えたが、その心の裏には、別の不安があった。それを察したキャッシュフローコーチは問いかけた。

「チェアをフル稼働させるためには、あと2人雇えると理想的ですね。

仮に希望した人数を雇えるとしましょう。それを本気でやるとしたら、どんな不安がありますか?」

加藤院長は一瞬、天井を見上げ、答えた。

「それは正直言って、増えたスタッフの人件費をカバーできるだけの売上がつくれるのか、が不安です」

加藤院長は、ここでシーソー状態になっていた。

スタッフは入れたい。でもそうしたら、毎月の固定費がグっと増える。

それに見合う売上をつくりだせるのか?
万が一、横ばい、あるいは減少したら、、、と想像すると、及び腰になってしまっていた。

そこでキャッシュフローコーチは1つ提案をした。

「以前お話ししたことがありますが、重要なことなので、改めてお尋ねしますね。
歯科医院において、
①スタッフ過剰で人件費負担が増えるリスクと、
②スタッフ不足で十分な稼働ができない機会損失リスクを比べると、どちらのリスクがより大きいと思いますか?」

加藤院長は、はっとした表情で答えた。

「たしか、②の機会損失リスクのほうが大きいですよね」

キャッシュフローコーチはうなずいて続けた。

「そうです。それは歯科は高額なチェアや設備を借金して買っているので、それを遊ばせてしまうと、売上が減少し、返済に必要な利益をねん出できなくなって、資金繰りが悪化するからでしたね。

しかも、メンテナンスなどを専属でできる衛生士がいることで、場合によってはドクターよりも生産性(給料に対する収入の割合)は格段に高くなるから、衛生士は投資効果の高い存在なんですね」

ホワイト歯科は幸い、人手が十分にあればアポを前倒しで入れることで、人件費に見合う売上は期待できることがわかった。

漠然とした不安の正体がわかった以上、ここはスタッフの募集を進めよう。

しかし同時に、加藤院長の頭にもう1つの不安がよぎった。
いざ歯科衛生士の募集対策としてホームページで採用告知をしても、なかなか問い合わせが来ないことだ。

「ホームページや募集サイトでの告知」「ハローワークへの求人案内」「知人への呼びかけ」
など、スタッフ募集対策として行っていることを一通り確認した上で、キャッシュフローコーチは尋ねた。

「来院する患者さんにスタッフを募集していることを伝えていますか?」

加藤院長にとって、それは盲点だった。

「たしかに、以前患者さんのほうから『わたし、前に歯科医院で働いていて、
子供も手離れしたので、ここで働きたいのですが』という申し出を受けたことがありました。

そのときは人が足りていたので、丁重にお断りしたんですけどね。
でも、やみくもに告知するのも、うちの医院はスタッフの定着が悪いと誤解されないか不安で、どうかと・・・」

「ならば、家族構成がわかっていて、たとえば今、衛生士学校に通っている娘さんがいる患者さんに、
『当院で、スタッフを募集している』ということをさりげなく伝えたら、どうでしょう?

信頼している医院だからこそ通ってくれているわけで、大事な娘を預けるなら、
自分が信頼している医院で働かせてあげたいと思うのでは?」

加藤院長はなるほどとうなずいた。

「そうか、何も全員に告知しなくても、そういう方たちを把握しておけば、雑談まじりに話せますね」

「そうです。院長が直接口頭で伝えたら、患者さんとして悪い気はしないでしょうし、
ピンポイントに話ができるので、余計な悪印象は避けられるのでは?

あとは、患者さんのほうから声をかけやすくするきっかけづくりとして
期限を決めて掲示板などにスタッフ募集の告知をしてもいいですね」

スタッフを採用することへのブレーキが外れたと思ったら、その次は告知することへのブレーキが。

加藤院長は何重にも自分にブレーキをかけていることに気づき、苦笑いした。

 

【今回のレッスン】

◎歯科医院経営においては、「スタッフ過剰で人件費負担が増えるリスク」以上に、
「スタッフ不足で十分な稼働ができない機会損失リスク」のほうに注意する必要がある。

◎当院を慕って来院してくださる患者さんは、患者さんを紹介してくれるだけではなく、
未来のスタッフを紹介してくれるキーパーソンにもなりえる。その前提で日頃から情報を収集しておく。

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▶︎人件費の考え方を解説!労働分配率から人件費をいくらまで出せるのかコントロールしよう!

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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