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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

保険診療の患者数を制限してでも自費患者の接客時間を確保したいときの考え方

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2019.09.16 執筆者:和仁 達也

自費診療患者増やしたい!と考える歯科医院は多いと思います。

保険診療の患者さんの数をこなして売り上げを伸ばすのではなく、自費診療の患者さんにしっかり時間をかけて接客もしたい。

しかし、毎日の忙しさと、自費枠を拡張することによって、失う利益を考えるとなかなか決断できない。

自費枠の時間を拡張するには?どうすればいいでしょうか?

この記事では、保険診療の患者数を制限してでも自費枠の時間を拡張するための考え方を解説しています。

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加藤院長はスタッフを引き連れて、以前から理想のクリニック像としてあこがれの存在だった、星が丘デンタルクリニックの医院見学に訪れた。自費診療100%のその医院で見聞きしたことは、どれも驚きと納得の連続。診療システム、技術力、患者さんとのやりとり、そしてスタッフの表情や動きに至るまで、「まさにホワイト歯科が目指そうとしている理想形がここにある!」と感じさせるものだった。とりわけ、患者さんをおもてなしする態度や、しっかり時間を確保して向き合う姿勢には、院長のみならず、全スタッフが衝撃を受けた様子だった。

その翌日、経営キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティングでのこと。
加藤院長は、昨日の興奮が冷めやまぬ様子でキャッシュフローコーチに話を持ちかけた。

「昨日の医院見学は、スタッフにとってもよい刺激になったようで、さっそく提案が上がってきました。それは、『今の患者数を少し減らしてでも、自費治療の患者さんの時間を伸ばして、もっときちんと説明をしてはどうか』というものでした。確かに、今は保険の患者さんも自費の患者さんも1人30分という枠で行っていて、チェア4台で1日45人を診ているのですが、今はスタッフ人数が少なくギリギリで回していることもあり、彼女たちの声ももっともな話だと思うんです」

キャッシュフローコーチはうなずきながら院長に問い返した。

「なるほど、具体的には、保険の患者さんを何人減らして、自費の患者さんの診療時間を30分から何分に引き上げたいと考えていますか?」

院長は頭の中で計算した数字を口にした。

「スタッフたちは、自費診療の患者さんには最低45分は確保したいと言っていて、わたしもそれくらいかな、と思っています。今、1日あたり45人いる患者さんのうち、保険の患者さんを2割ほど減らせば、それもできるかな、と。今日この後、全体ミーティングなので、それをみんなの前で承諾してよいか、ご相談したいと思いましてね」

ホワイト歯科は現在、自費率が40%と高めで、売上が1億円を超える規模。
今のペースで利益を生み続ければ、あと4~5年で完済の目途がついていることからも、経済的には余裕があると言える。

しかし、患者数を保険診療の患者さんだけとは言え2割も減らしたら、そこで減少する保険収入分を自費収入でまかなえるのか?
もしまかなえないとしたら、いくらの利益減となるのか?
また、借入の返済が滞ることにはならないのか?

それらの不安を解消するため、キャッシュフローコーチはホワイトボードに数字を書き込み始めた。

「加藤院長、保険診療の患者単価が1回あたり5千円だとして、患者数を2割減らすとしたら、いくらの売上減になるか計算してみましょう」

・1日45人のうち、自費診療の患者数が7人。保険診療の患者数が38人。
・38人の2割減となると、1日8人弱、減らすことになる。
・1カ月で22日診療日があるので、1カ月の売上の減少は、
8人×22日×@5千円=88万円

つまり1年間で、1,056万円もの売上の減少となる。

粗利率80%として、単純に年間800万円もの利益減となり、これでは今のホワイト歯科の返済原資を食いつぶすことになる。

キャッシュフローコーチは院長に向き直って尋ねた。

「これは単純に保険診療の患者数を2割減らした場合の売上減少額です。それによって自費診療の時間を30分から45分に増やすことで、自費収入はどのくらい増やせそうな見込みがありますか?」

加藤院長はしばらく考え込んだが、具体的な数字までは出せずにいた。
その様子を見て、キャッシュフローコーチは別の質問を投げかけた。

「では院長、今回のスタッフの申し出をもう一度確認しますが、『自費の患者さんに十分な時間を確保したいので、保険診療の患者数を制限したい』というのがそもそもの提案でしたよね?
では、実際に来院している人数の自費患者の枠を15分伸ばした場合、トータルで1日どれだけ必要になるのでしょう?」

加藤院長は手元のノートで計算をし始めた。

・1日の自費診療の患者数は7人なので、一人あたり15分伸ばしたとして、
トータルの拡張時間は1時間45分。

キャッシュフローコーチは続けた。

「これは、保険診療の患者さんを3~4人診る時間に相当しますね。つまり言いかえれば、『保険の患者数を4人減らすだけで、自費診療の患者さんの診療時間は45分確保できる』ということです」

それを聞いた院長の表情はみるみる明るくなった。

「なるほど!何も8人も保険診療の患者さんを減らす必要はないんですね。
スタッフも感覚的に『2割減らす』なんて言っていましたが、やっぱりちゃんとこうやって計算しないと、とんでもない判断をしてしまうものなんですね~」

キャッシュフローコーチは笑顔で答えた。

「そうですね。そして、これなら売上減少幅は半分の500万円なので、それを自費診療に時間とエネルギーを注ぐことで自費診療の売上でまかなうシナリオが組めればOKです。
そのあたりも含めて、今の計算でわかった数字をスタッフに説明してあげてはいかがでしょうか」

院長の頭の中では、十分な時間を確保することで、今まで機会損失していた分が十分まかなえるイメージが描けていたようだった。

 

【今回のレッスン】

◎ 売上の増減が伴う意思決定をするときは、感覚的な判断に頼らず、必ず数字を出してシミュ
レーションしてみよう。

◎ 具体的な数字が、適切な緊張感を生み、具体的なアイデアをもたらしてくれる。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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