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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

もっと働きたいのに扶養から外れると損をする?と手取りが減ることに不安を感じているパートスタッフへの提案法

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2020.01.16 執筆者:和仁 達也

よくできるパートさんがいて、院長側でももっと働いて欲しいという思いはあり、
パートさんがもっと働きたい!と希望を口にも出してくれてはいるけど、
扶養から外れると手取りが減ることに不安を感じて、勤務時間の調整などをしている。

このように、もっと働きたいのに扶養から外れると損をする?と考えているパートは結構います。

この記事では、もっと働きたい!」と考えているパートスタッフへの提案法をお伝えしています。

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ホワイト歯科には勤務歴5年~10年のパートスタッフが
何人も活躍している。

その中でも、開業3年目に入社した衛生士の加藤さんの
活躍は目覚ましく、通常の衛生士業務のほかに、
院長の学会発表用のスライド作成や医院のマニュアルづくり、
さらにはパートスタッフのとりまとめまで
多岐にわたって力を発揮してくれていた。

そんな中、加藤院長には1つ不満があった。
それは、加藤さんがパートスタッフであるが故に、
長時間働けないことだった。

本人は子供も成長して手離れしたこともあり、
また仕事に情熱を持っているので、
「できることならもっと働きたい」という希望がある。

しかし、パートスタッフに付き物の
「扶養控除から外れると手取り収入が減る」ことを恐れて、
毎年下旬になると仕事量を減らして調整していたのだった。

「これって変な話じゃないですか?だって、本人も働きたいと
言っていて、院長ももっと働いてもらいたいのに、それが叶わないなんて・・・」

加藤院長は半ば愚痴っぽい口調で、キャッシュフローコーチの和仁に言った。

キャッシュフローコーチは、そうですよね~と同意しながらも、
状況を確認する質問をした。

「でも院長、それならパートではなく正社員になってもらえば、
そもそも扶養控除がどうこう言うレベルじゃなく、
加藤さんは長く働ける上に一家の手取りは増えるんじゃないですか?」

「ええ、確かにそうなんですけどね。
ただ子供が手離れしたとは言え、毎朝子どもの弁当をつくって
家のことをやって出勤すると、当院の出社時刻には
間に合わないらしいんですよ。

わたしは『その分帰りの時間で調整すればいいから
正社員にならないか?』って尋ねたんですが、
それでは他のスタッフに悪いからって気兼ねして、
常勤の正社員よりパートスタッフのままがいい、って言うんです」

「なるほど、責任感の強い加藤さんらしい考え方ですね」

キャッシュフローコーチは少し考えて、別の案を口にした。

「院長、わたしは税理士ではないので詳しいことはわかりませんが、
確かにパートスタッフが年収103万円を超えると、
扶養控除から外れるので、一家の手取りが減るようです。

ただ、本人はできればもっと働きたいわけですよね。
だったら、いくら以上の給料分を稼げば、扶養から外れても
一家の手取りは増えることになるのでしょうかね?」

加藤院長は一瞬、ハッとした表情で言葉を探した。

「そうか、『扶養から外れるから長時間は働けない』ことが
前提になっていて、その発想をしていませんでした。

たしかにどこかに分岐点がありそうですね。
顧問税理士に電話で聞いてみましょう」

言うやいなや、加藤院長は顧問税理士に電話をかけ、
質問を投げかけた。

電話を置いて10分後、税理士からメールが届いた。

「夫の年収が600万円の場合の、妻の収入と世帯手取りの推移を
シミュレーション表にまとめてみました。

実際は個別事情を踏まえて算出する必要がありますが、
一般論としての目安にはなると思います」

その表を見ると、妻である加藤さんの年収が
103万円までは世帯手取りは増えていくが、
それを超えると扶養から外れて減額する。

たとえば加藤さんの年収が150万円のとき、
さらに健康保険や厚生年金などの支出が発生して、
世帯手取り額は社会保険などの支出がない
年収130万円未満のときより減っていた。

「20万円分も余分に働いた結果、
世帯手取り額が逆に減ったら、それはやる気がなくなるよな・・・」

加藤院長はつぶやきながら、税理士のメールの返答の続きを読んだ。

「この表によると、妻が180万円以上働くと、
夫の減額の影響はほとんど受けなくなると思います」

たしかにシミュレーションによると、
加藤さんの年収が180万円のとき、世帯手取り額は
130万円のときより20万円近く増えている。

つまり夫の年収が600万円の加藤さんの場合、
年収150万円前後だったら扶養に収まっていたほうが
手取り額は得だが、180万円を超えて働けるのであれば、
扶養からは外れるが世帯手取り額は増えるので、
経済的には余裕が生まれるということになる。

もちろん実際には、もう少し緻密なシミュレーションを
したほうがよさそうだが、少なくとも優秀なパートスタッフが
「もっと働きたい。でも、扶養控除から外れることのデメリットが不安」
と漠然と思っていた場合の選択肢は提示できそうだ。

「わかりました。この話を加藤にしてみます。
実情にあわせてシミュレーションの表もつくって、
その上で、ご主人と相談してもらいます。

もし180万円以上働いてくれるのなら、
医院としてもうれしいし、彼女にとってもよい話だと思いますからね」

(注)前提となる個別事情や法改正などにより、実際の数値は異なり、判断も変わってきます。
この記事はあくまで参考程度にとどめ、実際の意思決定の際には必ず顧問税理士に
ご相談ください。

 

【今回のレッスン】

◎ 「パートスタッフは年収103万円まででストップしないと、
 手取りが減る」というフレーズに惑わされている
 院長やスタッフは少なくない。

◎ パートスタッフがせっかく長く働きたいのに、
 扶養から外れることがブレーキになっている場合は、
 「いくら以上の給料分を稼げば、扶養から外れても
 一家の手取りは増えることになるのか?」
 を算出して具体的な話し合いをしよう。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎パートスタッフへの不満の出ない役職手当の考え方

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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