コンサルタント&士業が適正報酬で長期関与が続く オンライン版 コンサルタントの教科書コンサルタント&士業が適正報酬で長期関与が続く オンライン版 コンサルタントの教科書

歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

院長の診療単価が勤務医より高いことの納得感を得るには? 価格の差がもたらすものを考える

22

2026.02.15 執筆者:和仁 達也

 

歯科医院や美容院、マッサージのように、
施術者と経営者を兼任する場合、勤務するスタッフよりも
高単価になるケースは多々あります。

ただ、その根拠をきちんと理解した上で価格設定したいところ。
今回はその点について歯科医院の事例で紹介します。

*****************************

ホワイト歯科では、加藤院長のほかに勤務医の力もついてきて、
人員体制が充実してきた。

それに伴い、自費診療の価格の見直しをする必要性を感じていた。

特に、
「院長と勤務医の自費診療の単価が、(経験数や技術力が異なるのに)
同じ金額である」と言うことに違和感を感じ始めていた。

とは言え、そこに差をつけるとした場合、
「いくらの差をつけるのか」
「またその根拠は何か」
をきちんと言語化しておきたいところ。

そこで今月のキャッシュフローコーチの和仁との
定例ミーティングではそれをテーマにした。

加藤院長はさっそく話をもちかけた。

「当院の自費診療の価格について、院長が担当した場合と
勤務医の場合とで差をつけていくことについてご相談したいです。

異業種では、役職者や経験値、技術レベルによって
単価が違うケースはよく見ます。
例えばインストラクターでも上級のシニア・インストラクターがつくと、
その下のジュニア・インストラクターより単価が2〜3割高いと言うように。

また、美容室でもトップスタイリストは割高になるように。

歯科医院でもそのような違いを作っても良いのではないか
と思っているのですが、どうでしょう?」

キャッシュフローコーチは、話を聞きながら質問を返した。

「確かにそれは検討の余地ありですよね。
ちなみに、加藤院長が勤務医との価格差をつけたい狙いや理由は、
どんな感じですか?」

加藤院長は答えた。

「1つには、勤務医の実力も十分についてきたので、
院長指名を減らして、勤務医に活躍の場を作りたいと言うことです。

『価格が同じなら院長にお願いしたい』と思う人は多いでしょう。
しかしそこに何割かの価格差があれば、
『それなら勤務医の方にお願いしたい』と言う人もいるはずです。
それによって空いた時間を、私は医院経営を考える時間に当てたり、
医院の認知度アップのための活動に時間を割けると思うんです」

キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

「なるほど、確かにそうですね。では、まず考えたいことは、
院長と勤務医で価格が異なることの”正当性””納得感”についてです。
両者の価格に違いがあるとすれば、その理由には何がありますか?

例えば一般論として思いつくのは、
”診療件数の経験値”や”診療年数の長さ”、
その治療技術の”資格の有無”、”希少性”などでしょうか」

加藤院長は答えた。

「はい、そんなところだと思います。
今気がついたのですが、院長と勤務医の単価の差は、
診療内容によって異なる方が良さそうです。
と言うのは、経験値が価値として反映しやすい診療もあれば、
それほど差がつかないものもあるからです。

また、これは医院側の事情ですが、
積極的に勤務医にやってもらいたいメニューについては、
勤務医の価格を院長より割安にすると言う道もあると思います。

分野としては歯周病、インプラント、クラウン、ブリッジ、
矯正、義歯、自費の修復、エンドなどがあります。

この中の3つは主に院長が担当して、
それ以外はなるべく勤務医に任せる方向性にしたいです」

キャッシュフローコーチは話を整理しながら確認した。

「と言うことは、院長と勤務医の単価の差が大きいか否か
を決める要素には2つあると言う事ですね。

1つは、
院長の優位性が診療の価値に反映するものは
院長の単価を高くして差を大きくする。

もう1つは、
勤務医に積極的に任せたい診療は、
勤務医の単価を割安となるようにする。

この2つの視点をもとに、今の診療メニューの価格表を
見直していくのはどうでしょうか?」

加藤院長は大きくうなずいた。

「今話しながら気づいたのですが、私の本音として、
残りのドクター人生の中で、私が力を発揮できることに
注力したいのだと思います。

他の勤務医でも十分にできることはなるべく任せて、
私でなければならない高度な診療やクリエイティビティを
問われる診療にこそ、私の時間とエネルギーを投入していきたい。

それによって、ホワイト歯科の価値がさらに高まり、
来院してくださる患者さんへの貢献にもつながると思いました。

今日いろいろお話ししながら、単価設定は単なる数字の操作ではなく、
そのような医院としての姿勢あり方から考えるべきなんだな
と言う気づきがありました」

キャッシュフローコーチはうなずきながら、まとめた。

「価格設定においては、診療を受ける患者さんにもたらす価値と、
診療を提供する医院側の事情をすべて出し尽くして
決めることが重要となります。

医院の都合だけを押し付けて、患者離れを招くことがないよう、
慎重に取り組んでいきたいものですね」

 

【今回のレッスン】

◎担当者によって価格に違いを出す時は、
 「いくらの差をつけるのか」「またその根拠は何か」を
 きちんと言語化しておく。
◎院長の優位性が診療の価値に反映するものは、
 院長の単価を高くして差を大きくする。
◎勤務医に積極的に任せたい診療は、勤務医の単価を割安となるようにする。

 

 

この記事の内容が役に立ったと思ったらSNSで共有してくださいね!
22
  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

新着記事を毎週メールでお届け!

中小企業の社長が抱える、
お金やコミュニケーションの
“お困りごと”を解決する知恵
をお届けします。
有料記事も無料で公開。