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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

高めの患者数目標を目指す理由を、どう伝えるか? 目標を医院全体で納得し、共有するためのお金の話

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2019.02.03 執筆者:和仁 達也

院長とすれば、順調に伸びる患者数から、さらなる飛躍を考えて目標設定をして行くと思います。

その時に、院長目線では当然の目標ですが、スタッフ目線で考えて行くと、その目標を「もっと頑張らないといけないの?」なんでそれを私たちがやらないといけないのか?と感じるスタッフもいるかもしれません。

ただ院長が突っ走って、気合いで目標達成するぞ!とやってもスタッフは間違いなくついてきてくれません。

スタッフが納得して、同じ目線で目標を目指すために必要な考え方を解説していきます。

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今日は月に1回のホワイト歯科の全体ミーティングの日。とりわけ今日は、「なぜ当院が1日60人以上の患者数を診なければならないのか」をスタッフに理解してもらうことが、加藤院長にとって一番のゴールである。

「ウチもおかげさまでチェアが増え、設備も整え、産休後のスタッフも受け入れていくうちに、開業当初の2倍近くの規模になりました。これを維持するには、1日60人以上の患者数が必要なんですが、スタッフからは『そんなに予約を詰め込んだら、待ち時間が長くなってクレームになる』『そんなに数を診るなんて、無理』と、やる前から否定的な反応なんです。

でも、わたしの目から見たら、改善の余地はものすごくたくさんあって、段取りの工夫や動き方の改善、そして手の空いた人がサポートに入るなどで、1日60人はちゃんと診れるはずなんです」

加藤院長はため息をつきながらキャッシュフローコーチの和仁に伝えた。

「なるほど、そうなると今スタッフに伝えるべきは、『どうやって1日60人を達成するか?』の方法論ではありませんね。その前に、『なぜ1日60人を達成する必要があるのか?』をスタッフに理解してもらうことが先決です。なぜなら、人は理由に納得できないままでは、気持ちが前向きにならず、方法論が耳に入らないからです」

キャッシュフローコーチは院長にそう提案し、院長は「なるほど」とうなずいた。

午前の診療が終わったあと、スタッフルームに全員が集合した。院長から「1日60人以上の患者数を必達目標とする」ことを改めて伝えると、予想通り、スタッフからどよめきがおこった。

すかさず、その理由についてキャッシュフローコーチがホワイトボードを使いながら解説した。

「ホワイト歯科医院のお金の流れは、患者数が1日60人の場合の売上を100とすると、このようになっています」

<ホワイト歯科のお金の流れ:売上を100とすると>

「そして、1日平均60人の場合の経営状況は、利益は出ていますが、ここから借入を毎月計画通りに返済すると、ちょうどトントン。1円も残らない状態になります。本当なら、さらに将来の投資資金をストックしたり、万一の備えをしておきたいのですが、そこまでの余裕はありません。これが1日平均60人を達成した状態です。

現状は1日平均55人なので、利益はあるものの、返済が十分にできず、銀行から借りて返しています。それでも少しずつは借入は返済しているし、他の歯科医院に比べれば財務体質は良いほうです。しかし、院長は早く借金をなくして、スタッフのボーナスや休みを増やすなどの還元をしたいと考えています。そのためには、具体的には売上が月に720万円必要なんです。
これを具体的に分解すると、こうなります」

「この1と2をあわせて1ヶ月で720万円以上の売上があって初めて、みなさんの給料や医院の運営費、そして借入の返済までをすべてまかなえる状態になるのです。この状態を確立して、プラスαの売上を出せる状態になったときには、スタッフの教育費や懇親会などの福利厚生にあてたり、ボーナスや手当の原資にもなるし、休みを交互に取るという余裕も生まれてきます
逆に言えば、そこをクリアするまではギリギリでお金をまわす運営になるわけです。

このことを理解して、『それだったら、1日60人以上を実現する努力をしよう』と賛同してもらえるなら、院長から具体的にどんなアプローチができそうか、話をしていただきますが、どうですか?」

これまで「1日60人を診ると忙しくなる」と、現場視点だけで思い込んでいたスタッフも、経営者の目線で俯瞰してその意味をとらえることができた様子だった。少なくとも、院長がきちんとした根拠を持って提示した目標値であることは理解できたようだ。

そんなスタッフたちの様子を確認し、加藤院長はキャッシュフローコーチからバトンを受け、話を続けた。来院患者数を増やすためのアプローチ、1人あたりの診療時間を今より10~15%短縮する段取りの工夫、急なキャンセルを最小限に抑える工夫、治療が終わったらメンテナンスに来院する確率を引き上げる工夫、などなど。

院長は日頃からやりたいと考えていたことを、次々にリストアップした。その具体策については次のミーティングでスタッフからアイデアを出すよう、宿題とした。

そして、院長の話をメモしながら聞いているスタッフの様子を見ながら、院長は実感していた。

「スタッフを動かすには、結論だけじゃなく、ちゃんとその理由をスタッフにわかるように端折らずに伝えることが大切なんだな」と。

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【今回のレッスン】

◎ 人は、理由に納得できないままでは、気持ちが前向きにならず、方法論が耳に入らない

◎ そこで、スタッフが「ちょっと難しそう」と腰が引けそうな目標を掲げるときには、①なぜそれを達成する必要があるのか、②それを達成すると自分たちにとってどんな良いことがあるのか、の2点をまず伝える。そこを理解してもらった上で、具体的な方法論を伝える(または一緒に考える)

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎ビジョンや理念をスタッフが実現するツール「クレド」を浸透させて、スタッフが一人ひとりの患者さんに、もっと興味を持つ方法

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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