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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

保険改定の影響で売上ダウン!環境の変化に振り回されずに、納得の売上をつくるには?

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2020.05.02 執筆者:和仁 達也

歯科経営にかかわらず、経営は環境によっても
売上が左右される場合があります。

それは、災害の時などもそうですが、
国の規則と制度が変わった時にも
起こってしまいます。

医療系は保険の改定などがある度に
売上に直結してしまいます。

この記事では、保険の改定や環境の変化などに
左右されずに院長が納得して売上を作っていく
方法を解説しています。

—————————————————————————————–

ホワイト歯科では、4月以降の売上が減少していた。
大きな理由の1つは、4月の保険改定により、
往診の点数が下がった影響が大きいようだ。

診療にかける時間は変わらないのに、点数が下がっているため、
往診が単なる値下げと同じで「忙しいのに儲からない」
状態になっていた。

もともとホワイト歯科としては、
まだ患者数が少なかった新規開業当時に、
稼働力を高める狙いで空いた時間を往診に当てていたのが
往診をやるきっかけだった。

しかし、あれから時間も経ち、
医院に来院してくれる患者さんも増え、
根本的な対策に迫られる状況になっていた。

往診の割合を減らすべきか?

それでも、単価は下がったとは言え、
一定の仕事量と売上が約束されている往診を減らす
ことには不安もある。

そんな中、経営キャッシュフローコーチの和仁との
定例ミーティングが始まった。

キャッシュフローコーチは、話の主旨を耳に入れると、
いきなり直球の質問を投げかけた。

「加藤院長は、今後の医院の方向性として
予防メンテナンスに注力する、という考えでしたよね。

現時点で、治療が終わってメンテナンスで来院する割合は何%ですか?」

加藤院長は、直近のデータを確認しながら、15%だと答えた。

「ということは、まだまだ伸びしろはありそうですね。
もしこれが『すでに80%以上がメンテナンスに来ています』
となったら、別の話になるんですが。

さて、もう1つ質問させてください。
メンテナンスに来てくれた患者さんが、
3~4回目には来院が途絶えることはありませんか?」

加藤院長は、ハッとした表情で答えた。

「はい、まさに3~4回目のところで来なくなる人が多いのが
気になっていました。やっぱり、面倒くさくなるんでしょうね」

キャッシュフローコーチは状況を理解し、
コーヒーを一杯すすると話を続けた。

「そこは、まさにその通りで、普通にしていたら
『別に歯が痛いわけでもないし、仕事も忙しいから、
まあ行かなくていいか、面倒くさいし』
となっても不思議はないですね。

その”面倒くささ”の引力に引っ張られないだけの
強い引力を医院が発揮しない限りはね」

加藤院長は、苦虫をかみつぶした表情でつぶやいた。

「う~ん、それはそうなんですけど、
やれることはすでにやっていると思うんですけどね」

「それは、すでにやっている」という、加藤院長の言葉を聞いて、
キャッシュフローコーチは違和感を覚えた。

やるべきことを本当にきっちりとやれていたならば、
メンテナンス来院率が15%にとどまっているはずがないからだ。

おそらく、やれていることもあれば、やれていないこともある。
また、やれていることの中にも、もっと改善できる余地がある。
それを見極めるには、細分化して考える必要がありそうだ。

キャッシュフローコーチは、院長に提案をした。

「ここは、2つに分けて対策を考えてみましょう。
1つは、『治療からメンテナンスへの移行率のアップ対策』、
もう1つは『メンテナンス来院4回目以降の来院率のアップ対策』です。

1つめについて、初来院から完治、
そしてメンテナンス来院までを時間軸で考えると、
次の5段階に分けられます。

それぞれにおいて、やれることがないか考えてみましょう」

 

●治療からメンテナンスへの移行率のアップ対策

①初来院時の初診カウンセリングのトークの見直し
②治療途中でのメンテナンスの意味の伝達(トークとツールの見直し)
③治療が完了したときのメンテナンスに促すトークとツールの見直し
④その際の受付での次回のメンテナンス来院(たとえ3カ月後でも)のアポ取り
⑤メンテナンスの初回来院の数日前のハガキや電話でのフォローによるキャンセル予防策

キャッシュフローコーチがホワイトボードに書き出した項目を
メモしながら、加藤院長は「なるほど」と声をあげた。

「たしかにこうやって分解して1つ1つ振り返ると、
できていることもあるけど、不十分だな、と感じる点が
いくつもあります。

特に気になるのは、

①の初診カウンセリングのトークで必要なメッセージを
伝えきれていないことです。

これは、3カ月前にスタッフが入れ替わりがあって
バタバタしていたので手がつけられないでいましたが、
早急に内容を確認し、トレーニングしなおさなくては。

②の治療途中でのメンテナンスの動機づけも、
やったりやらなかったり、という感じでムラがあります。

③の完治したときのメンテナンスへの誘導は、
言葉では伝えていたけど、資料を渡したり、
画像を見せるなどのツールは意識していなかったな。

④のアポ取りと、⑤の事前の電話は今もやっています。

ただ、その伝えるセリフとタイミングについては
改善の余地があるかも知れません」

加藤院長が、個別・具体的に思考できたことを確認すると、
キャッシュフローコーチは続けた。

「いいですね。そんな感じで細かく分解していくと、
”やれていること・いないこと”、そして、
”やれているけど改善の余地があるところ”が浮き彫りになりますね。

これについては、
初来院から完治、そしてメンテナンス来院までを
時間軸での『メンテナンスの動機づけをする
コミュニケーション・プラン』の型をつくっておく
といいでしょう。

それから、もう1つの
『メンテナンス来院4回目以降の来院率のアップ対策』ですが、
こちらも同様で、1回目、2回目、3回目のメンテナンス来院時に
それぞれどんなメッセージを伝えるか、
場当たり的にやるのではなく、予めトークとツールの両面で
想定して用意しておきましょう。
そうすれば、モレなく安定して患者さんに伝えたいメッセージが届く体制ができますね」

なるほど、今までは、ものごとを大きくとらえたまま細分化していなかった。

こうやって時間軸で区切ってやるべきことを整理していけば、
伸びしろはありそうだ。そして、メンテナンス来院を増やすことは
医院の方向性と一致しているし、そちらの売上が十分に確保できれば、
往診にこだわる必要はなくなる。

往診はそれをやりたいほかの医院に任せて、
当院はメンテナンスを浸透させることが
医院の目指す姿に近づくことになりそうだ。

加藤院長は、納得しニッコリ笑顔を見せた。

 

【今回のレッスン】

◎ メンテナンスであれ、自費治療であれ、売上を増やしたいならば、
患者さんとのコミュニケーションを時間軸で細分化してみる。
それぞれのタイミングで、「やっていること・やっていないこと」
「やっているけど改善の余地があるところ」を見極めよう。

◎ コミュニケーションプランをつくる。
1回目、2回目、3回目、、、とその時々で伝えるメッセージを
明らかにして、それを伝えるトークとツールを予め用意する。
そうすれば、モレなく安定した患者さんに
伝えたいメッセージが届く体制ができる。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎売上が落ちている時のスタッフの過剰不安をやわらげる!医院の経営状況の共有法とは?

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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