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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

売上が落ちている時のスタッフの過剰不安をやわらげる!医院の経営状況の共有法とは?

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2020.07.02 執筆者:和仁 達也

売上が下がってきていることが目に見えてわかると、
院長も落ち着かなくなってきてしまいます。

予約人数が目に見えて減っていることは
当然スタッフもわかるので、不安を感じているでしょう。

常に危機意識を持ちなさいと教育しているスタッフであれば、
過剰な不安を感じてしまうこともあります。

しかし、不安を感じたまま営業をしていると、
その不安はお客様に伝わってしまうこともあります。

経営状況を共有し、スタッフの不安を和らげる方法をお伝えいたします。

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開業6年目を迎えるホワイト歯科は、あるカベに直面していた。

これまで順調に患者数を増やし、売上を伸ばしてきた
当院だったが、勤務ドクターの独立開業が続き、
患者離れが起きていたのだ。

実際、この直近の2カ月はアポの空きが目立つようになっていた。

受付スタッフがなんとか空きを埋めようとアポの前倒しを促していたが、
それでも1日平均80人だった患者数が、
日によっては60人を割り込むことも。

日頃から院長から「医療と経営は両輪だ」と言い聞かされてきた
スタッフは、現場の実感から強い危機感を感じていた。

ただ、その危機感をもって仕事をしてくれていること自体は、
加藤院長としても頼もしく、また誇らしくも感じていた。

ところが、今月の定例ミーティングの前日、
チーフ衛生士の鈴木から院長に打診があった。

「院長先生、明日の院内ミーティングですが、
できたら少し長めに時間をとっていただけないでしょうか?

みんな、今の経営状況で大丈夫なのか、また、
院長はどこまで実態を把握されているのか、
不安なようなのです。

院長先生から直接、今医院がどんな状況で、
どこに患者数減少の原因があり、どんな対策を考えていらっしゃるか、
をお話ししていただければ、みんな安心すると思うんです」

加藤院長は、その申し出を聞いて、少々戸惑いを覚えた。

「それは経営者がする心配ではないか。
なぜスタッフがそこまで心配しているんだろう?

それに、当然ながら院長としてすでにいくつも手を打っているのに、
何か不信感でもあるんだろうか?」

翌日。
定例ミーティングの1時間前に、
キャッシュフローコーチの和仁が院長室に入ってきた。

チーフ衛生士からの打診について院長から話を聞くと、
キャッシュフローコーチは答えた。

「それは、おそらくスタッフのみなさんは、
過剰に不安を感じているのではないでしょうか?

というのも、当院は経営の勉強もしていて、

『自分たちの給料は粗利からの分配なので、
給料の3倍以上の粗利を稼ぐことが大切』とか、

『売上が目標をどのくらい下回ると赤字になるのか』とか、

『利益はなぜ必要なのか』といったことを日々学んでいますよね。

それは、危機感をもって仕事をする上ではとても有効なのですが、
一方で不安を助長させる一面もあります。

というのは、具体的な数字を知らずにその概念だけが先にきて、
しかも現場感覚では患者数が減っているのを
肌身に感じている彼女たちは、

『このままでは、医院は赤字になり、自分たちの給料や
ボーナスはカットされるんじゃないか?』

『場合によってはリストラされるんじゃないか?』
という連想をしているのかも知れません。

そのあたり、いかがですか?」

なるほど、と加藤院長はうなずいた。

「たしかにそれはあるかも知れません。
わたしが日頃から

『みんなの雇用を守るためにも、
ちゃんと利益を出すことが大事だ』

と口癖のように言っているので、その逆を見れば、

『利益が出なければ雇用は確保されない』

となって、不安が先にきて、それをスタッフ同士が
口にしあうことはあるかも知れませんね。

そういえば、最近スタッフたちの表情が暗い感じがしたのは、
そこに原因があったのかも」

事情を理解したキャッシュフローコーチは、
毎月の経営データをすばやくチェックした。

「わかりました。では、まず
院長とスタッフの認識のズレを解消することが必要ですね。

直近2カ月を昨年同月比でみて、

『患者数の増減はどの程度か?』

『売上の増減はどの程度か?』

『メンテナンス患者の増減はどの程度か?』

について、確認しましょう。

それぞれチーフ衛生士はどんな認識でいると思いますか?」

加藤院長は腕組みしながら少し考えて、答えた。

「そうですね・・・。
患者数はアポの空きが目立ってきたので、
10~20%の減少、売上も同じくそのくらい減っていて、
メンテナンスは多少は増えている、と感じているんじゃないでしょうか。

わたしもそんな感じに思っていますし」

その院長の返答に対して、
キャッシュフローコーチは意外なデータを口にした。

「やはり、実際のデータと現場感覚の間にギャップがあるようです。
実はそこまで悪くはありません。

直近2ヶ月の患者数は前年同月比で4%の減少、
売上は10〜20万円程度の減少でその大半は
物販収入の落ち込みによるものです。

そして、メンテナンスの来院数と比率は
前年同月が25%だったのに対して、
今年は29%と4ポイントアップ、人数も増えています。

これを聞いて、どう思いましたか?」

加藤院長は、軽い驚きを覚えつつも、
わからなくもない、という表情になった。

「たしかに以前はアポが1週間以上先でないと
入れられない状況だったのが、
最近は簡単に入れられるようになったので、
患者数が減っていることを実感していました。

ただ、だからこそスタッフが前倒しでアポを入れてくれているから、
結果的にはそこそこ来院数は確保できていたんですね。

また、以前はスタッフ数が足りない中頑張っていたのが、
今は人手がそろっているし、

忙しさの中で鍛えられた彼女たちからすると、
『野球でいえば150キロの豪速球に見慣れて
140キロの球が超スローボールに見える』
みたいなことがあるかも知れませんね。

いずれにせよ、売上が下がっていることには
違いがないので危機感は必要ですが、
過剰な不安をもつ必要はないことは、
このデータを示しながら伝えた方が良さそうです」

実際のデータと現場感覚の間にギャップが生まれ、
院長やスタッフが過剰な不安を抱くことはめずらしいことではない。

不安を感じたときのはじめの一歩は、

「正しい事実(データ)を把握」

すること。

そこを端折って対策に走っても、たいていは徒労に終わる。
なぜなら、

「現状を正しく把握しないままの対策は、
それをやり続けなきゃ行けない理由が不鮮明なので、
最後まで完遂されない」

からである。

改善のはじめの一歩は、「正しい事実(データ)を把握」
という基本を改めて実感した加藤院長は、スッキリした表情になった。

 

【今回のレッスン】

◎ 不安が生じたときにはじめに行うべきことは、
「正しい事実(データ)を把握する」こと。

◎ 患者数が減ってきた、と感じたときには、
「患者数」「メンテナンス数」「売上(自費売上、保険売上、物販売上)」
が、前年同月比でどれだけ増減しているか、をきちんとつきとめる。

◎ 現状を正しく把握しないままの対策は、
それをやり続けなきゃ行けない理由が不鮮明なので、最後まで完遂されない。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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