人が正論で動かない本当の理由は、思考が一足飛びだから。
2020.11.04 執筆者:和仁 達也コミュニケーション着眼点
正しいことを相手に言っているはずなのに、相手は全く動いてくれない。
むしろへそを曲げてしまうことはありませんか?
どう考えても自分の主張は正論のはずだけど、
一向に相手は動いてくれない。
たとえば、こちらが何か意見を言ったり、
提案した後に、「うーん」と言って黙る。
また、意見を言うと「そうじゃなくて」
「て言うか」といった否定語で返答される。
これは職場でもよく起こることでしょうし、
夫婦間でもよくある話だと思います。
私は、コンサルタント向けの養成塾で、クライアントの成果を
引き出す技術をお伝えしています。
そこには、マーケティング、財務、法務、企業再建と
あらゆる分野で活躍する専門家が集まっています。
すでにプレイヤーとしては成功していて、
周りからも一目置かれている彼らが、
なぜこの塾に参加してくださるのか?
その理由の1つは、
「クライアントが動いて結果を出すための秘訣を知りたい」
でした。それはすなわち
「正解を教えてもクライアントが動いてくれない
本当の理由と、動いてもらう秘訣を知りたい」
ということです。
そこで今日は、なぜ正しいことを言っているのに動いてくれないのか?
その理由の1つをお話しします。
それはわたしが考えるに「思考が一足飛びだから」です。
たとえば、「仕事で忙しいが、妻や子どもとふれあう
時間が欲しい」という人に、
「家族との予定を先にスケジュールに書き込むといいよ」
とアドバイスをしたとします。
優先順位の高いことを先に決めておけば、
確実にそれを確保できる。一見、正論です。
だから、本人も「やる」と返事をするのですが、
実際にはやらない。
なぜでしょうか?
それは、
「仕事で忙しいが、妻や子どもとふれあう時間が欲しい」と、
「家族との予定を先にスケジュールに書き込むといいよ」
の間が一足飛びになっているからです。
たとえば、次のような対話が間にあったとしたら、
どうでしょう?(青文字は第三者の声)
「仕事で忙しいが、妻や子どもとふれあう時間が欲しい」
→「ところで、仕事や趣味、家族などいろいろある
中で、人生における優先順位は?」
→「まず、家族との親密な関係、そして仕事、
趣味はその次でしょうか」
→「なぜ、そう考えるの?」
→「仕事中毒なくらい仕事好きなんだけど、
本当のところは家で待っている“家族”を幸せ
にしたいという思いがあるから、仕事に身が入る。
だから、①家族、②仕事、なんです。ただ、
それだけじゃ味気ないから、その次に趣味も大切にしたいです」
→「なるほど、家族との時間はそれだけ優先順位が高いんだね。
だったら、家族との予定を先にスケジュールに書き込むといいよ」
彼は、優先順位が不鮮明になっていました。
だから、そこを掘り下げた上で提案をすることで、
それをやる動機が格段に高まったのです。
この会話は飛ばしても意味は通じるし、
彼も反論も思い当たらないので「やる」と答えていたに過ぎない。
そこは一足飛びにせず、きちんとおさえておきたいことですね。
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