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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

売上アップのアドバイスを求められたときの対応方法とは?具体的なアイデアを出す前に、切り口を提示する

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2025.04.15 執筆者:和仁 達也

 

人からアドバイスを求められた時に、真正面から答えたのに
報われないケースは少なくありません。

具体的なアドバイスを出す前にやっておくべきことがあります。
今日はその対応法について、事例ストーリーで紹介します。

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ホワイト歯科の加藤院長は弁当屋を営む友人から相談を持ちかけられた。

医院でキャッシュフロー経営を実践するようになってから、
事業主の友人からビジネスの相談を持ちかけられる機会が増えた。

頼りにされていることに少なからず喜びを感じていた。

その弁当屋では感染症等の影響もあり、売上がダウン。
そしてより安いお店にお客を奪われているとのことだった。

加藤院長は、その場では状況を聞くにとどめて、

「ちょうど近々キャッシュフローコーチとの定例ミーティングがあるんだ。
そこで話したことで役に立てそうなことがあれば、後日シェアするよ」

と約束をして別れた。
数日後、キャッシュフローコーチの和仁が定例ミーティングに
訪れると、加藤院長は友人から聞いた話を共有した。

 

「友人が弁当の販売会社を経営しています。
1つ500円前後で販売し、法人契約も含めて月に
250万円位の売上だったのですが、感染症の影響も
あって前年より売上が2〜3割下がっているようです。

社長はお米にこだわりを持っていて、ご飯のうまさには
定評がありますが、より安い弁当等に販売先を侵食されています。

販売ルートの変更や販売先の開拓も随時やっているようで、
チラシを作って販売先に配るなどの営業努力もしています。

弁当の内容も、野菜を多く使う等、メニュー研究も欠かしません。

また社長は堅実タイプで、必要以上の無駄は今のところない
ようですが、それでも赤字経営が続いているそうです。

今期も6か月過ぎて400万円弱の赤字となっています。
そんな中、経営を立て直す方法をどう考えていけばいいか?
という相談でした」

 

キャッシュフローコーチは話を一通り聞いた上で話し始めた。

「そのような相談を持ちかけられるとは、
加藤院長も経営者として頼りにされている証拠ですね!

加藤院長にとっても、他の医院や他の業種の相談に乗るのは
とても有益だと思います。というのもそれはそのままご自身の
医院のアイデアとして転用できることもあるからです。

自分のことはよく見えなくても他人のことは
客観的に冷静に見て考えられたりしますからね。

さて、このように『売上を増やすにはどうしたら良いか』
と言う相談を受けたときに、
“1番やってはいけないこと”があります。

何だと思いますか?」

 

加藤院長が答えを考えあぐねているのを見て、話を続けた。

「それは、“いきなり売上アップの具体策を提示すること”です。

例えば、『値下げキャンペーンでお客を集めてみては』とか
『お客の声をアンケートで募集してはどうだろう』と言うような提案です。

これをやると大抵の場合

『それはもうやりました』

『それもやりました』

『それは自分には無理です』

と言う反応が続き、

『他には?もっともっと』

という感じで、アイデアの量産化を求められる流れになることでしょう。

そして相手がピンとくるまで考えさせられた末に、
相手も結局は外から与えられたアイデアでは腹落せず、
何も行動しない。これでは、どちらも報われませんよね?

そこでまず、行うのは

『先方がやった打ち手をすべて出してもらう』

ことです。

その上で、『具体的なアドバイスではなく、
“考える視点”を提示する』が次に来ます。

いきなり

『アンケートを取ってみてはどうか』

『弁当に名前を付けてはどうか』

と具体的なアイデアを言うのではなく、
少し視座を引き上げた視点を提示して、一緒に具体策を考えるのです。

 

今回のように『売上をアップするには?』なら、これを分解して、
①客数、②客単価、③リピートの3つの切り口を提示
して、それぞれについて何ができるかを一緒に考えます。

売上はこの3つの掛け算ですから。

そして、相手に問いかけながら、こちらも一緒に考えます。
ちょっと練習してみましょう。それぞれ何ができますかね?」

 

加藤院長はノートに書き出した。

 

①客数のアップ
・100円割引のチケットを配る
・弁当に名前をつけ紹介しやすくする

 

②客単価のアップ
・弁当におやつもセットで販売する
・職場へのお土産購入を促す

 

③リピートのアップ
・コーヒーチケットのような回数券を得る
・カロリー表示をしてダイエット需要を生み出す
・忙しいビジネスパーソンがすきま時間の10分で食べられるメニューを作る
・リピート客にアンケートをとり、顧客ニーズをつかんで次のアイデアのネタにする

 

キャッシュフローコーチはノートを眺めながらにっこりして声をかけた。

「いいですね。今いろいろ書いてみて何か感じたことはありますか?」

加藤院長は答えた。

「今、知人の弁当屋の売上アップ策を考えていたのですが、
うちの医院でもやれることがいくつかあると気づきました。

例えば『自費の予防メンテナンスのメニューに名前が付いていない』
ので、これだとオーダーしづらいし、紹介しづらいですよね。

また『その診療に何分かかるのかの所要時間を明示する』ことで
申し込みやすくなることもあるでしょう。

他社や異業種のことを考えていた方が発想が自由になり、
そこから自分の医院に転用できることが実感できました」

 

「情けは人のためならず」と言うが、他人のお困りごとの解決は
めぐりめぐって自分の医院の課題を解決するヒントになることを実感し、
加藤院長の筆はさらに進んだ。

 

【今回のレッスン】

◎『売上を増やすにはどうしたら良いか』と言う相談を受けたときに、
“1番やってはいけないこと”がある。
それは、“いきなり売上アップの具体策を提示すること”。

◎まず、行うのは『先方がやった打ち手をすべて出してもらう』こと。
その上で、『具体的なアドバイスではなく、“考える視点”を提示する』が次にくる。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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