無理な要求にエレガントに対応するには?
2025.11.04 執筆者:和仁 達也
コミュニケーション伝え方着眼点聞き方
お客さんや上司からのリクエストに対して「それは無理な要求だ」
と感じた時に、反射的に断る人がいます。
一方で、無理な要求の中身の解像度を高めることで
エレガントに対応する方法もあります。そんな事例をお話します。
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あるコンサルタントから、悩みを持ちかけられました。
関与し始めたクライアントから
「月1回のコンサルではなく、もっとガッツリ関わって欲しい。
少なくとも週3日は来社して、ウチのプロジェクトを引っ張って欲しい」
と言われたとのこと。
その分、報酬もアップしてくれるそうだが、
彼にしてみればお金の問題というよりは、時間の問題で、
他のクライアントもいる手前、週3日(=月12日)勤務は厳しい。
もはや休みもなくなり、家族との時間も削られ、
睡眠時間もちゃんと取れなくなりそう。
そこで、「なんと言って交渉すれば良いでしょうか?」という相談でした、
そこでわたしはこう答えました。
「交渉なんて、する必要はないよ」と。
そして質問しました。
「社長が期待していることって、具体的にはどんなことなの?」
彼の答えはこうでした。
A・新たに取り組むプロジェクトの短期と中長期のプランをつくり、
それがちゃんと実行されるように、社員の進捗チェックを
こまめにして欲しい。
B・社長が望んでいることをタイムリーに把握して、
社長と社員の思いや方向性にズレが出ないよう、架け橋になって欲しい。
C・当面3ヶ月程度は、社員はそのプロジェクトを進めるにあたっての
基本的な知識やスキルが不足しているので、まとまった教育を施して欲しい。
これらに必要な時間を見積もって整理すると、
Aは、週に1回2時間のミーティングをやる
Bは、月に1回2時間の面談をやる
Cは、週に2回の研修を3ヶ月限定でやる
ことによって、カバーできることが判明。
これをギュッとまとめると、
「はじめの3ヶ月は月8回、それ以降は月4回の訪問で対応できる」
ことがわかりました。
その瞬間、彼の表情はパーっと晴れやかになり、
「これなら社長にも納得してもらえそうだし、
わたしも無理なくやれそうです」とのこと。
「無理な要求をされた」と感じたときは、
相手に言われたことを、そのまま真に受けるのではなく、
「相手が何を期待しているか」を高解像度で言語化してみること。
それが、お互いの認識を揃えて双方ハッピーになるための
大切な条件であることを改めて実感しました。










































