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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

目先の売上げではなく将来の成長を目指す為に必要なこととは?

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2018.10.03 執筆者:和仁 達也

売上をあげることは経営していく為には必要なのですが、目先の売上げばかりを気にして、本来やりたい理想の経営ができずにモヤモヤしたま経営を続けているという会社は結構あります。

歯科医院でも、自費診療をしっかりやって、メンテナンスなども行なっていきたいとは思いつつ、目先の売上げがなくなることを気にして、なかなか決断できないという院も多いでしょう。

そんな方に知ってほしいことは、「目先の売上に目を奪われ過ぎていないか!? いま一番、優先しなければならないことは何か?」ということです。


加藤院長は、大学時代の後輩の相談に乗っていた。開業して15年が経ち、このところ、同業者からの相談に乗ることが増えてきた。経営キャッシュフローコーチから学んだことと、自身の実践の経験が、まわりの役に立つことがうれしかった。
後輩の佐藤院長は開業して10年目、売上が伸び悩み、今後の方向性について悩んでいるという話だった。

「今、往診を週3日やっていて、そこそこの売上にはなるんです。でも、このままでは自分のやりたい方向性にはいかない気がして・・・。医院にいるよりも、確実に売上は見込めるし、私が来るのを待ってくれている患者さんもいるので、やめるにやめれなくて」

佐藤院長は、精彩を欠いた表情で話し始めた。状況はこうだった。

ドクター1人、衛生士2人(うち1人はパート)、チェアは3台あるが、3台とも埋まることはなく、チェアの稼働は6割程度。院長は週3日は往診に出ており、月に36時間を往診にあてる計算で、売上は50万円ほどになる。悪い話ではなさそうだが、院長が不在の間は医院は閉めているので、医院としての売上は十分とは言い難い。

同じ36時間を、チェア3台フル体制で診療していれば、1人あたりの患者単価が6千円で、1人の診療に平均1時間かかるとして、6千円×3台×36時間=65万円。実際には1時間もかからず、また自費診療の患者さんもいることを考えると、その分の売上は80~90万円以上にはなる計算だ。

また、本当の問題はお金のことよりも、スタッフが育たないことにある。院長が院内にいる時間が限られるため、スタッフを常勤で雇うことができず、パートでまわしている。人件費的には割安で済んでいるようだが、人手が足りないことも多く、院長が受付や電話対応までこなしてバタバタする日も珍しくない。これでは、診療に集中できないし、理想としていた「患者さん一人ひとりと向き合い、納得の自費診療ができる歯科医院」は夢物語でしかない。

「目の前にある往診よりも、本当はスタッフをちゃんと正社員で雇って教育し、医院の中を充実させることが大事だとはわかっているんですが、、、。」

一通り話を聞くと、加藤院長は、問いかけた。

「たしかに待ってくれている往診の患者さんがいると、そちらに気が向いてしまうのは、ドクターとして気持ちはわかるよ。それなりの売上にもなるから、なおさらだよね。
ところで、1つ質問なんだけど、もし往診をやらなかったら、経営的にはどんなリスクやデメリットがあるのかな?

佐藤院長は考えながら、デメリットをあげていった。

「まず、往診を待ってくれている患者さんを自分が診れないことが1つ。それから、月50万円前後の売上が見込めているのが、なくなること。その2つだと思います」

「なるほど、じゃあ、往診をやらなかったら、その月50万円の売上はゼロになるの?」

「え・・・?いや、その場合は医院内で診療をするので、ゼロにはなりません。でも、いくらかは下がると思いますし、その間のスタッフの時給も発生するので、やはり収入は減ると思うんです」

加藤院長は、うなずくと、紙を取り出して、簡単な計算を始めた。

●月36時間の往診をやめて院内で診療をしたら、いくらの利益減となるか?

まず、往診の場合、売上が50万円だから、粗利率80%として、粗利は40万円。院長一人の稼ぎでスタッフの人件費はかからないから、これがまるごと利益となる。

次に、医院を開いて診療した場合、控えめにみても1時間に2人は来院し、診療できる。スタッフは2人は必要だ。すると患者単価が6千円として、売上は6千円×2人×36時間=43万円。粗利率80%とすると、粗利は約35万円。さらに、スタッフの時給が1,200円だとすると、その間の人件費は1,200円×2人×36時間=約9万円。
すると、利益は35万円-9万円=24万円。

つまり、往診なら月に40万円の利益が入るのが、院内で診療すると、半分強の24万円程度になる恐れがあるというわけだ。つまり、月16万円の利益減。

「これをどう受け止めるか、という問題なんだけど、この数字を見て、どう思う?」

佐藤院長は腕組をして、その計算が書かれた紙をしばらく凝視した。

「う~ん、漠然と不安に思っていたんですが、具体的に計算してみると、実際のリスクは思ったほど大きくはないですね。月16万円なら、1年で192万円か。

今、幸い借金は多くないし、1年だけ192万円を目減りさせる覚悟ができればいいわけですよね。その間にスタッフをパートじゃなく常勤にして、ちゃんと教育して受付業務や患者さんとのコミュニケーションをきちんと取れるようにできれば、僕の理想の医院に近づくような気がします」

「うん、そうだね。最悪の想定をして、それを受け止められる覚悟さえ持てたら、思い切ってやってみたらいいんじゃないかな。」

佐藤院長の表情は、すっきり明るくなっていた。

漠然としたままだと不安が先に来て動き出せない。でも、そのリスクを具体的に計算してみると、その不安の正体がはっきりする。そしてそれは決して太刀打ち不可能ではないと気づくことは多いものだ。

加藤院長は、かつての自分がよくおちいっていた状況を今日の佐藤院長の姿にダブらせて、思い出していた。

今回のレッスン

◎漠然とした不安が先に来て、理想に向かって進めないときは、「どんなリスクやデメリットがありえるのか?」を書き出してみよう。

◎お金が関係するときは、選択肢Aと選択肢Bで、それぞれいくらの収入の違いとなるのかを計算してみる。思っていたほどのリスクではないことに驚くことはよくあること。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。