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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

営業マンの「毎月のランニング・コストが下がります」は本当か? リースの買い替えにはご注意を!

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2018.11.18 執筆者:和仁 達也

歯科医院は設備投資のコストなども経営をしていく上では考えないといけない問題でもあります。

その時に、リースがいいのか、買い換えてしまった方がいいのかは非常に悩みますよね。

医院を経営していると毎日のように営業電話や飛び込み営業などもあります。

そこで、よく言われる営業トークに「毎月のランニングコストが下がりますよ!」という営業トークに心が揺れることがあるのではないでしょうか。

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ホワイト歯科へのコンサルティング訪問の3日前。

経営キャッシュフローコーチの和仁のもとに加藤院長から1本のメールが届いた。

「複合コピー機がそろそろ古くなってきたな、と思っていたら、ちょうど先日営業マンが提案に来ました。毎月のランニング・コストが減って、印刷スピードはアップするらしいので、購入しようと思うのですが、銀行借入して買い取るか、リース契約にするか、どちらがいいでしょうか?」

それを読んで、ピンときたキャッシュフローコーチは、すぐに返信を送った。

「院長、買い取りかリースか、の前に確認したいことがあるので、3日後に訪問するまで、契約書には判を押さないでください。それから、当日、その営業マンにも来てもらってください」

3日後の定例会議の日。院長室で加藤院長は、コピー会社の資料をテーブルに広げてキャッシュフローコーチに説明をした。

「営業マンの話はこうです。

『高額の複合コピー機が特別に50%オフ。リースの残債もあわせて、毎月の支払額が、現状の3万円から2.5万円に5千円減るように、リースを組みます。さらに、コピー部数変動型の保守料を特別に半額にさせていただきます。したがって、ダブルで毎月のランニング・コストが下がります。さらに、印刷スピードがアップするので、事務効率もよくなります』

悪い話じゃないと思うんですが、何か気になることがありますか?」

院長が問いかけたところで、ちょうどコピー機販売の営業マンが現れた。

「すみません、遅くなりまして…」と、ハンカチで汗をぬぐいながら、院長とキャッシュフローコーチの向かいの席に腰かけた。

さっそくキャッシュフローコーチは、彼にいくつかの質問を投げかけた。

その回答は、次の通りだった。

「ふむ・・・」

キャッシュフローコーチはさらに質問を続けた。

「これって、今のコピーのリース残債25万円と新しいコピーのあわせて105万円を、単に支払い期間を引き延ばして、月々の支払い額を下げた形式にしているだけですよね?」

キャッシュフローコーチは予想通りだったようで、しばらく間をおいた。
営業マンの額からは、さらに汗がしたたり落ちていた。

「すると、今のコピー機を故障するまで使い倒せば、1年後にはタダになるわけですよね?
それなのに、今わざわざ80万円を余分に払わせようとするのは、なぜですか?」

そこまでのやりとりを聞いて、加藤院長もキャッシュフローコーチの意図がようやく理解できたようだ。

「う~ん、月々のランニング・コストに気をとられて、トータルのコストを見落としていたなあ。別に今のコピー機でも性能的には不満はないし、まだまだ何年も使えそうなのに、今、買い替える意味があるんだろうか?」

営業マンは、額からほとばしる汗をしきりに拭き取りながら、やっとの思いで声を絞り出した。

「すみません、機能がアップするし、月々の負担が減るので、院長にメリットがあるかと思っていましたが、そこまで考えていなくて…。出直していいですか?」

そそくさと提案書をカバンにしまって出ていく営業マンを尻目に、キャッシュフローコーチは紙に図を描いて、院長に説明を始めた。

「加藤院長もお気づきになったように、高額の買い物をするときは、月の支払いだけではなく、総額をちゃんと把握することが大切です。そして、モトをとれる買い方をすること。

たとえば、100万円の機器を4年スパンで買い替える人と、6年スパンで買い替える人がいたとすると、30年の間に支払う額は、このようになるんです」

「う~ん、なんと1.5倍ですか・・・」

加藤院長は、腕を組み、思わずうなり声をあげた。
キャッシュフローコーチはうなずきながら、念押しをした。

「こういうことに気づかず、営業マンに言われるままに、何百万円もの投資をしてしまうドクターは、少なくありません。この経済情勢の厳しいときに、こんなお金の使い方をしていたら、あっという間に手元のお金はなくなってしまいます。10年、20年という長期スパンで考える視点を持つことが大切ですね。医療機関は、1つ1つの買い物が高額なので、なおさらです。『リースで月々●万円』という予算枠の概念に付け込んでくる営業マンには、注意したいですね」

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎医療機器はリースか、借入による買い取りか、どっちがお得?

今回のレッスン

◎ 高額の買い物をするときは、それが医療の質や粗利アップにつながるかどうか考える。

◎ もしそうでなければ、極力、支出を抑える。それは、毎月のランニング・コストだけでなく、10年、20年という長期スパンで考える。

◎ とりわけ、すでにある機器の買い替えの際には、営業マンの提案内容の裏を読みとり、「性能面、資金面において、短期的・長期的なメリットは何か?」をきちんと聞き出そう。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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