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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

お金をかけずに紹介してくれた患者さんにお礼をするには?「仕入れコストゼロ」の医院資産の活かし方

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2019.01.03 執筆者:和仁 達也

「毎月、少しずつだけど増えているなあ」

ホワイト歯科の加藤院長は、感慨深げにパソコンの画面を眺めながらつぶやいた。
スクリーンには表計算ソフトの数字とグラフが並び、「紹介患者数の推移」とある。

このところ、ほとんど広告宣伝はしていないにも関わらず、安定した新規の来院があることに気づき、そのデータを記録するよう受付スタッフに依頼していた。そして、どうやら新規来院の8割は「家族や知人の紹介」で来院していたことがわかった。開業当初は駅前看板、数年前はホームページでの検索。時の流れとともに、来院する理由が変化していることに驚きを感じていた。

今日は午後から、経営キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティング。この「紹介」をさらに伸ばすための対策を話し合うことにした。

「こんな感じで、ありがたいことに紹介が増えているんです。今までは紹介してくれた方に、お礼のハガキを送る程度だったのですが、何かカタチのあるプレゼントもしたいと思いまして。
ただ、何を渡すのが良いか、迷っているんです」

紹介数の伸びを示す資料を確認しながら、キャッシュフローコーチは尋ねた。

「いま、プレゼントの景品候補は何がありますか?」

「スタッフにもアイデアを求めまして、今のところ考えているのは『焼き菓子』『アロマオイル』『入浴剤』といったところです。ただ、『アロマオイル』と『入浴剤』は香りの好みがあるので、選ぶのが難しく、『焼き菓子』だとありきたりで・・・。あるいはもっと、歯科に関連したモノのほうがいいんでしょうかね?」

「なるほど。ちなみに、医院で販売している商品をプレゼントすることは、考えましたか?」

「歯ブラシとか歯磨きですか?たしかにそれも一案ですが、お礼にしては安すぎるかな、という気がします。かと言って、『歯磨き10本』というのもどうかと思うし、電動歯ブラシだと1つ1万円以上もして逆に医院の仕入れコストが痛い・・・」

キャッシュフローコーチは言葉をはさんだ。

「プレゼント景品として、“一般的な商品”と、医院で販売している“歯科グッズ”のメリット・デメリットについて、整理しておきましょう。『歯科に関連しているか否か』という観点とは別に、採算面でいくと、歯科グッズのほうが医院にとってメリットがあります。なぜなら、『アロマオイル』や『入浴剤』『お菓子』は、おそらく普通に“売値”で買いますよね。でも歯科グッズなら『仕入れ値』で買えるからです。

例えば5,000円の商品をプレゼントするのに、『アロマオイル』なら5,000円かかります。でも、売価の70%で仕入れられる歯科グッズなら3,500円で済むわけです。 1人あたり1500円の差ですから、紹介者が月に10人いれば15,000円、20人いれば30,000円もの差になります。1年で考えると、結構な金額になりますね」

加藤院長は大きくうなずいた。

「なるほど〜、それは盲点でした。だったら、歯科に関連していて仕入れも安く済む歯科グッズのほうが良いです。ただ、何をプレゼントにあてるといいかな?」

キャッシュフローコーチは続けて提案をした。

「院長、実はもっと割のよいプレゼントがあります。それは、モノではなくサービスを売るのです。たとえば、『PMTC5,000円券』とか『フッ素塗布5,000円券』のように。この場合、仕入れがほぼゼロかせいぜい20%程度で済みますよね。しかも在庫はゼロ。医院の金銭負担が限りなくゼロに近い状態で、紹介してくださった患者さんに喜んでいただけます」

加藤院長の目が輝いた。

「あ、それはいいですね!これから自費の予防をアピールして浸透させようと思っていたので、ちょうどいいです」

「ただ、1つ気をつけないといけないことがあります」と、キャッシュフローコーチは続けた。

「チェアがガラ空きのヒマな医院なら、コストゼロでいけます。スタッフとチェアを遊ばせておくより、稼働させたほうがいいですからね。固定費は変わらないので。
ところが、ホワイト歯科のような行列待ちの人気医院の場合、本来有料の患者さんを診る枠に無料の患者さんを診ることになります。つまり、有料で5,000円いただける患者さんの枠を押しのけて、『紹介してくれた無料の患者さん』が入ってくるので、1人につき5,000円の機会損失(コスト)が発生するのです」

「・・・そうか、たしかに」 一瞬で、加藤院長の目が曇った。

「でもご安心ください。人気のホワイト歯科とは言え、常に満員というわけじゃないでしょ?」

再び加藤院長の目に力が戻った。

「そうか!ウチは夕方は忙しいのですが、午後一番と月曜日はいつもチェアの空きがあります。あと、スタッフのシフトが重なる土曜日も余裕があります。『月曜&土曜日、あるいは午後3時〜5時』の時間指定をしてチケットをプレゼントすればいいんですね」

キャッシュフローコーチは大きくうなずいて答えた。

「その通りです。眠ったまま価値を発揮しきれていない医院資産を稼働させることで、新たなコストを発生させずに、積極的に紹介をしてくださるお客さんに喜んでもらうことができます」

加藤院長は、さっそく受付スタッフを呼んで、おしゃれな無料プレゼント・チケットを作成する指示を出した。

【今回のレッスン】

◎ 一般的な商品をプレゼントすると100%売り値だが、一般的な歯科グッズなら60〜80%の仕入れ値で調達できる。5,000円の商品なら、1つあたり1,000円から2,000円の差となる。

◎ さらに、「商品」をプレゼントすると仕入れが発生するが、「サービス」なら仕入れがほとんど発生しない(材料代程度)。

◎ ただし、スタッフやチェアを一定時間拘束するという「機会損失(コスト)」の存在に注意しよう。稼働していない時間帯を狙い撃ちすれば、隠れた医院資産が価値を生み出す。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。