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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

チェアを増設する?それとも? 患者数が増えてきたときの、医院の稼働力の増やし方

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2019.01.16 執筆者:和仁 達也

ホワイト歯科は、開業7年目。順調に患者数は増えていて、借入の返済も進み、比較的安定した経営状況となっている。チェア4台もほぼ9割がた埋まっており、患者さんの受け入れ体制を強化するのも時間の問題となっていた。

そんな中、ベテラン衛生士の1人が結婚退職したのを機に、スタッフを募集したところ、数人の応募があった。そして、勤務経験5年の即戦力が1人と、衛生士学校を卒業したばかりの新人1人が最終選考に残った。本来なら1人を採用したいのだが、2人とも人間性がすばらしく、医院の方向性をよく理解してくれている。しかも、そう遠くない将来、スタッフの増員は必要だろう。そんな読みのもと、加藤院長は経営キャッシュフローコーチの和仁に、今後の舵取りを相談することにした。キャッシュフローコーチの回答は明快だった。

「今の財務体質と収支構造であれば、スタッフを先行投資的に1人多めに採用することは問題ありません。当面は1人あまる形になりますが、教育期間も必要だし、忙しいときにはメイン衛生士の補助に入ることで、診療スピードがアップして、1日に診られる患者数アップにもつなげられるでしょう」

加藤院長は、客観的な立場の専門家から背中を後押ししてもらって、ホッと胸を撫で下ろした。
そして、次の相談を投げかけた。

「それで、おかげさまで患者さんも増えていて、予約がかなり先になってしまうこともあるので、そろそろ医院の受け皿を広げなきゃ、と思っているんです。それで、チェアを1台入れるかな〜、と思っているのですが、スタッフを増やした上に、チェアまで増やして大丈夫か、ちょっと不安もありまして。

もう1つの方法として、スタッフが1人多くなるので、週休2日は確保しつつも、医院は1日診療日を増やして週6日とする、というのもありかな、と。そのあたり、どうでしょうか?」

キャッシュフローコーチはうなずきながら、医院のキャッシュフローを示す1枚のシートにしばらく目をやると、口を開いた。

「チェアを増やすか、あるいは今のままで診療日を増やすか、の選択ですね。
それぞれのメリットとデメリットを考えてみましょう」

「なるほど、チェアを入れると手っ取り早いが、お金がかかる。診療日を増やすと、お金はかからない代わりに、マネジメントの手間がかかる、ということか・・・」

考え込む院長に、キャッシュフローコーチが声をかけた。

「今のホワイト歯科の経営状態と、今後の見通しを考えると、今回はチェアを購入したほうが良いと思いますよ。スタッフが2人増えると、その教育も必要だし、それと同時に診療日を増やすとなると、相応のストレスがかかります。もちろん財務状態が厳しければ、それもやむを得ませんが、幸い、患者さんが増加傾向で資金繰りも余裕があるので、ホワイト歯科の場合はマネジメントの負担よりお金の負担をしたほうが良さそうです。

ただし、少し工夫が必要ですね。まず、チェアを買うタイミングを見計らうこと。
スタッフ2人、とくに新卒のスタッフが戦力化するには、数ヶ月から半年ほどかかるでしょう。早くチェアを導入しても、彼女が戦力化するまでは、遊ばせてしまうことになるので、もったいない。なので、彼女が戦力化する時期をメドに、患者さんの増え方も確認した上で導入しましょう。

それから、今1日50人の来医院数のうち、定期メンテナンスの方が7~8人いますよね。
初診カウンセリングも定着してきたし、近い将来、1日10人ぐらいになるでしょう。
すると、チェア1台がメンテナンスだけでフル稼働するぐらいの数になります。
そこで、次に導入するチェアは、メンテナンス専用にしてはどうでしょうか。
治療と違って、メンテナンスは使う器具も限られてくるので、フル装備で買う必要はありません。
必要最小限のイスは買うとして、周辺の器具は個別に必要なものだけをそろえることで、大幅にコストダウンできる
こともあります」

加藤院長は、なるほどと大きくうなずいた。

「どうせなら、一気に全部やってしまおう」としがちな大ざっぱな自分の性格を、しっかり読まれているな、と苦笑しながら。

【今回のレッスン】

◎ 診療の受け皿を広げるには、①チェアを増設する、②診療日数を増やす、の2つの道がある。
どちらがベターかは、医院の資金繰りや借入金の依存度、スタッフの協力体制によって決まる。

◎ 歯科医院にとってチェアの導入は数百万円単位の大きな投資となる。それは巡り巡って、結局は患者さんに診療費として負担させることになる。だからこそ、過剰な投資とならないための工夫をしたい。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。