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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「しまった!こんな余計なモノを買うんじゃなかった」 とあとで後悔しないために契約書にサインする前に、必ず訊きたい3つの質問

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2018.07.25 執筆者:和仁 達也

「欲しい機械があるんですが、これ、買っても大丈夫でしょうか?」

加藤院長はパンフレットを手に握りしめて、キャッシュフローコーチの和仁に電話をかけた。
どうやら、それがあると新しい治療法をスムーズに導入できるらしい。言葉巧みな営業マンの強い勧めもあって、加藤院長は今すぐにでも契約書にサインをせんばかりの勢いだ。

しかし、これまでに余計な買い物をして、あとで後悔した経験は数知れず。
とくに今回は500万円もする高額な設備投資。
喉から手が出るほど欲しいものの、またここで無駄な買い物をする訳にはいかない。

ということで、背中を後押ししてもらいたい気持ちと、ブレーキをかけて欲しい気持ちが半々の中、お昼の休憩時間になるや否や、加藤院長は携帯を手に取った。

「あ、和仁さん。今、ちょうど欲しい機械があって、買おうと思っているんですが、いいでしょうか?」

少し高揚気味な加藤院長を制して、キャッシュフローコーチは答えた。

「院長、前にセミナーで、高額の買い物をするときには、3つの質問を自分に投げかけてみるようお話ししたのを覚えていますか?」

「そうでしたね、え~っと、たしか1つ目は『①その買い物をして発生する費用は、それによって生まれる粗利でカバーできるか?』でしたね。今回は、6年リースで考えていて、月々7万5千円のコストが発生します。ただ、それが粗利でカバーできるか、と言われると、正直わからないんです」

「なるほど。仮に月々7万5千円の粗利をカバーするには、粗利率が80%なら売上ベースで9万4千円以上が必要ですね。これは、保険あるいは自費の患者さん何人分に相当しますか?」

加藤院長は電卓のキーを叩きながら答えた。

「うちの保険診療の平均患者単価は@6千円で、自費診療だと@3万円ですから、保険患者なら月16人以上、自費患者なら月3~4人以上でペイします」

「では、2つめの質問です。『②その機械を導入することで、それだけの患者数が増える見込み、あるいは患者単価がアップしてコストを回収できる見込みはありますか?』

院長は腕を組んで考え込んだ。

「う~ん、この機械があれば、今までやれなかった診療ができるようになって、売上は増えるとは思うけど、そこまで患者さんが増えるとは正直、思えないです」

「ということは、その設備投資はコストアップの分だけ利益を圧迫するわけですね?だとすると、数字だけを見たら、それはお得な買い物とは言えませんね。とは言うものの、時には採算を度外視してでも医院の理念や加藤院長のこだわりとして、どうしても買いたい、ということもあるでしょう。そこで、3つ目の質問です。『③今、それだけの利益ダウンになったとして、医院の資金繰りに支障をきたす恐れはありませんか?』

加藤歯科は、決して資金繰りがラクとは言えない。毎月ギリギリでお金を回している状況である。いくら欲しい設備があるとは言え、それを買うことで金策に追われるようでは本末転倒だ。院長はしばらく考え込んで、答えた。

「わたしは目先の買い物だけに目を奪われていたけど、それが医院の収支にどう影響を与えるのか、ちゃんと把握しておかないとダメですね。たしかにこの機械を必要とはしていますが、今すぐでなくてもいい。もっとちゃんと医院のお金の流れを勉強します。その上で、さきほどの3つの質問に自信を持って答えられるよう、シミュレーションを練ってみます。ありがとうございました。」

キャッシュフローコーチは明るい声で答えた。

「それがいいと思いますよ。一番大切なことは、一歩先まで考えて納得のいく買い物をすることですからね」

そう答え、電話を切った。今回の相談が、加藤院長のキャッシュフローIQを高めるきっかけとなることを期待しつつ。

今回のレッスン

契約書にサインをする前に、ひとまず立ち止まって必ず訊きたい3つの質問

① その買い物をして発生する費用は、それによって生まれる粗利でカバーできるか?

② その機械を導入することで、それだけの患者数が増える見込み、あるいは患者単価がアップしてコストを回収できる見込みはあるか?

③ 今それだけの利益ダウンになったとして、医院は資金繰りに支障をきたす恐れはあるか?

※この記事は、(株)プラネットの会員歯科医院向けの有料記事を、同社の快諾を得て特別に公開しています。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書多数。