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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

客単価アップを院長が納得して実現する為には異業種から学ぶ事 !スタッフ1時間あたりの価格設定は?

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2018.08.01 執筆者:和仁 達也

今日は休診日。加藤院長は、一人院長室にこもり、もうかれこれ1時間以上、考え込んでいた。
来月からスタートする自費の虫歯予防プログラムの価格設定のことだ。衛生士が1時間程度かけて行うサービスに、いくらをチャージすればいいのか?

保険診療で対応できることであれば、3割負担の患者さんは、本当は7千円の治療でも2,100円の支払いで済んだ。それが、自費診療では全額、患者さんの自腹。
そうすると、患者さんの感覚としては、保険と自費では、3倍以上の価格差を感じ取ることになるのだろう。かと言って、「患者さんの負担を保険診療と変わらないように」なんて考えたら、医院の収入が3分の1になってしまう。それでは医院経営がなりたたない。

「う~ん、何か基準になるものがないかなあ・・・」

まわりの同業者の中には、まだ自費の予防プログラムを実践している医院は見当たらなかった。

煮詰まった院長は、気分転換に毎月通っているマッサージ店に足を運んだ。
いつもは「全身マッサージ60分コース(6千円)」を選んでいるが、この日はちょっとリッチにアロマオイルを使った「アロママッサージ60分コース(8千円)」にしてみた。

マッサージが始まると、ものの3分もたたないうちに、院長は深い眠りに落ちていった。
気がつくと、セラピストに肩をトントンと軽く叩かれた。「あ、もう時間か・・・」
う~んと軽く伸びをして、首の骨をポキポキ鳴らしながら、服を着た。そしてカウンターに向かい、料金を支払った。8千円。

帰り道に、院長はつぶやいた。

「今日は疲れが溜まっていたんだな、ほとんど眠ってしまったなあ。それで8千円というのはもったいない気もするが、気持ちよかったんだから、まあいいか。それにしても、1時間で8千円って、いい商売だよなあ。ところで、この金額には根拠はあるんだろうか?」

翌日は、キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティングの日だった。
ランチを取りながら、院長は昨日のマッサージ店のことを話題にあげた。

「スタッフ1人が1時間対応して8千円。まあ、アロママッサージの場合、オイルとか、それをふき取るためのバスタオルのリネン代とかいろいろコストもかかるのでしょうが、普通のマッサージでも6千円かかる。この金額には、なにか根拠はあるんでしょうかねえ?」

「院長がこれから自費診療の価格を考える上で、異業種の価格設定は参考になると思います。医療機関以外のサービス業の価格というのは、すでに世間で認知され馴染みもあるわけですし、それでお店が成り立っているということは、ちゃんと収支のバランスも取れている可能性が高いですよね」

キャッシュフローコーチは、熱いコーヒーをひと口すすって続けた。

「わたしの経験則から言うと、専門知識を持つスタッフ(人)が直接対応するサービスの場合、1時間あたり6千円をベースに考えるといいです。あとは、昨日のマッサージ店であればアロマオイルやタオルのリネン代といった変動費、さらにはプラスαの付加価値がどれだけあるかによって、値付けは上乗せされていきますけどね。」

そういって、キャッシュフローコーチは紙ナプキンに、いつものお金の流れの図を描き始めた。

「たとえば、スタッフ3人がそれぞれ1日8人のお客さんに1時間6千円ずつ受け取ったとしましょうか。すると、1か月の売上は週休二日として月22日なので、317万円になります。仮に粗利率90%なら粗利は285万円。いっぽう、スタッフの人件費が月30万円だとして、福利厚生とかも含めると3人で月100万円。設備や家賃など人件費以外の固定費が仮に同じぐらいかかるとすると、固定費は月200万円。すると、粗利から固定費をひいて利益は月85万円。ただ今の計算には、経営者の報酬を入れていないからそれも差し引いて、税金を払ったあとにお店の初期投資を回収できれば、丁尻が合いますね」

院長はうなずいた。

「なるほど。こうやって、おおざっぱに考えるとわかりやすいですね。たとえばわたしが通っている美容院だと、1時間でカット・シャンプー・ブローで4,500円というのは割安な感じがしますね。まあ、あれは新人がシャンプーを担当して、ベテランの美容師さんがカットとブローをする、という役割分担があるからそれでも合うのでしょうか」

「そうですね。ベテランのスタッフが4,500円では安すぎるので、新人と組めば丁尻が合います。あと、美容院の場合、一定の割合でカラーやパーマをかける人もいますよね。あれで客単価はアップしますし、待ち時間中はスタッフの手はあくので、ちゃんと儲かっている美容院は全体として採算が合うような構造になっているはずです」

院長はその紙ナプキンを眺めながらうなずいた。

「そうか、スタッフが6千円なら、ドクターは当然、それ以上を請求できるようでないといけないなあ。それにしても、自分の医院だけを見ていると堂々巡りをしそうだけど、外をみるとちゃんとヒントがころがっているものなんですね」

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎高めの患者数目標を目指す理由を、どう伝えるか? 目標を医院全体で納得し、共有するためのお金の話

 

今回のレッスン

スタッフ1人の時間単価はいくらにするか?また、ドクター1人の時間単価は?自費診療を行っていくのであれば、その目標値は決めておこう。そのヒントは異業種にあり。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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