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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフ1人採用したら、いくらの売上アップが必要か? 医院に利益をもたらすための必達売上目標とは?

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2018.08.01 執筆者:和仁 達也

スタッフの採用にかかる人件費は、人手不足によりどの業種でも高騰しています。
人手不足倒産は、過去最高を記録し、今後も増えていくでしょう。

そんな中、「スタッフ1人の採用で、どれくらいの売上をつくればいいのか」ということは考えたことがあるでしょうか?

厳密に言えば、「売上」からではなく、「粗利」に見合った人件費を考えなくてはいけません。

経営者の多くは、「粗利に対して人件費をいくら分配すればいいのか」(=労働分配率)を知らずに、経営をしている場合が多いのです。

つまり、どんぶり経営ですね。

粗利から支払う人件費やその他の固定費を最適に分配していくこと、そして、
利益を正しく再投資して、資金をコントロールすることが重要なのです。

その中で一番、大きな比重を占めるのが、人件費です。

この記事では、「スタッフ一人採用すればどれくらいのコストがかかり、どれくらいの売上をあげればいいのか?」をお知らせしたいと思います。

経営者が人を雇う不安とリスクとは?

「じゃ、来週から来てください。それまでにあなたのユニフォームその他一式は揃えておくから」
「はい、わかりました。よろしくお願いします」

加藤院長は、面接者がおじぎをして院長室を出たのを確認すると、椅子にドカっと深く座り、大きく息をついた。新しく採用するスタッフが決まった。
仕事はこのところ順調で、スタッフの補充を急いでいた。今の人員でもやっていけないことはない。だが、毎日遅くまで残業させているこの状況を続けていては、誰かが病気にでもなったら医院はまわらなくなるだろう。今のうちにスタッフを補充して、余裕のある勤務体制を組んでいくことが急務だった。

「でもなぁ・・・」加藤院長は腕を組みながら、つぶやいた。

「いまでも決して経済的にラクなわけじゃない。ここで1人スタッフを入れるとなると、今以上に売上をつくらなければ、いずれ立ち行かなくなるのは明らかだ。でも、スタッフ1人の増加でいくら売上が増えたら採算が合うのだろうか?単純に給料分、売上が増えればいいのか?それだったら話は簡単なんだが・・・」

漠然とした不安がぬぐえないまま、その日の夜は更けていった。

固定費が増えるときは、それに伴う支出も考える

翌朝、加藤院長は診療が始まる前に、キャッシュフローコーチの和仁に電話を入れた。

「昨日、スタッフの採用を決めました。当然固定費が増えるのですが、利益を今より減らす訳にはいきません。彼女の採用にともなって、売上はいくらアップする必要があるでしょうか?」

キャッシュフローコーチは院長に尋ね返した。

「直接増える固定費と同時に、それに伴って増える支出にも目を向ける必要があります。新しいスタッフの報酬は、給料とボーナスあわせて年間いくらですか?」

院長は電卓をたたいて答えた。

「ざっと300万円です。それだけ売上が増えればいい、という訳にはいかないんでしょうね?」

「そうです。院長、よくわかっているじゃないですか」

キャッシュフローコーチは微笑みながら続けた。

「スタッフを採用すれば、当然その人が使うモノにもお金がかかります。ユニフォーム代、医院まで通う通勤費、電話代、備品や消耗品、研修に派遣した場合の教育費、忘年会や懇親会などを行うならば福利厚生費・・・といった具合です。きわめて大雑把に言うと、人件費の30%程度は「人件費以外の固定費」が増えると思っておいたほうがいいでしょう」

「たしかにそうかも知れません。ということは、390万円の固定費がかかるのか」

「ええ。そしてその固定費は“売上”じゃなく“粗利”でまかなわれる必要があります。ですから材料代や外注技工料といった変動費まで考慮すると、売上はもっと必要ですよ」

「あ、そうか。ウチの医院は粗利率が80%だから、390万円÷0.8=年間487万5千円、月々41万円ほどの売上アップが必要になるわけですね」

キャッシュフローコーチは続けた。

「そうですね。月41万円ということは、加藤歯科の保険診療の平均患者単価は@6千円なので、1か月22日診療日として、1日3人の増加が見込めるか、という感じです。あるいは、自費診療の@3万円ですから、1~2日に1人分の自費診療の増加に相当しますね」

その数字を聞いた瞬間、加藤院長の表情に笑顔が戻った。

「そうか!自費診療はともかくとして、保険診療で1日3人程度なら、アポイントを前倒しで入れたり、無断キャンセルの予防でハガキや電話でフォローすることで十分可能な範囲内です」

キャッシュフローコーチもうなずきながら続けた。

「それにスタッフが増えれば、院長がかねてからやりたいと言っていたように、初診の患者さんに医院のスタンスをしっかりと説明する時間も確保できて、自費率もアップしていくんじゃないですか?スタッフの勤務時間も余裕ができることで、今までより勉強に時間を割くこともできるでしょうしね」

院長は今のタイミングで採用した判断に間違いがなかったことがわかり、気持ちが前向きになっていくのを感じ取っていた。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎人件費の考え方を解説!労働分配率から人件費をいくらまで出せるのかコントロールしよう!

今回のレッスン

スタッフを雇ったときにかかるコストは、給料・ボーナスだけではない。その他の固定費も考慮して、人件費プラス30%の固定費がかかる前提で見通しを立てておこう。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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