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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

「そろそろ分院を」と考えている院長必読! あなたの医院の強みは何か?

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2018.08.16 執筆者:和仁 達也

開業してから、予約待ちも増え、常に院にあるチェアーもフル稼働している。

もっと広かったらもっと多くの患者さんに治療をすることができるけど、手狭な為それも現実的ではない。

常に予約でいっぱいだから当然予約の取りこぼしも気になっってくるし….

と感じ新たに分院をすればもっと売上を伸ばせるのではないかと分院を検討している。

順調に伸びてきたときにみなさん分院展開を当然ながら考えると思います。

しかし、なぜ、あなたの院が今予約でいっぱいで、患者さんに支持されているのかはご存知でしょうか?

実は、ここを知らないまま分院展開してしまうと、「こんなはずじゃなかった…」という事態を招く恐れがあるかもしれません。

分院展開を考えている院長はこれからお伝えする記事をしっかり読んでみてください。

分院展開を考え始めた院長の話

「そうかぁ、頑張っているなあ。うん、また一度、医院に見学に行かせてもらうよ。じゃあ」

受話器を置きながら、ふぅと一息ついた。
大学時代の友人が、先月2件目の分院をオープンした。オペレーションが大変と言いつつも、順調にがんばっている様子が電話越しに伝わってきた。

今日は午後から、月に1度の経営会議。今日のテーマは「今後の医院の拡張について」だ。
まもなく、経営キャッシュフローコーチの和仁が院長室のドアをノックした。
部屋に招き入れ、淹れたてのコーヒーを差し出すと、僕は早々に切り出した。

「そろそろ、分院を考えているんです」

開業して4年目、予想以上に順調に患者さんも増え、チェア4台で今日も予約でいっぱいの状況。スペースの余裕があれば、もう1台チェアを増設したいところだが、物理的に無理。なんとかならないか、と思っていた矢先、2件となりのビルに55坪の物件情報が飛び込んできた。

「この物件を2件目の分院にして、通常のチェアのほかに、オペ室、スタッフルーム、研修室も設置して、自費専門にする。今の医院はこのままチェア4台で保険中心で勤務医に任せる。そんな風に考えているんですが、どうでしょう?」

キャッシュフローコーチは、コーヒーを口にしてから聞き返してきた。

「たしかに加藤歯科は、これまで順調に患者さんも増え、予約待ちが続いていますね。
ところで、これだけたくさんの患者さんが医院に来てくれている最大の理由は、なんだと思いますか?」

思いがけない質問に、おもわず考え込んだ。

治療技術かな?たしかに最先端の診療を提供するためにコースに通い、情報収集は積極的に行っているし、周りのドクターからの評価も良い。でも、僕より腕のあるベテランの歯科は周りにもいくつかある。ということは、それだけじゃないなぁ。
院内の雰囲気か?それはあるかも知れない。スタッフの仲の良さからくる一体感や院内の活気は、患者さんの緊張を和らげているし、実際に患者さんからも直接、「ここは居心地がよくて」と何度か言われたこともある。

思いついたことをキャッシュフローコーチに伝えると、彼は思いがけない指摘を投げかけた。

「たしかにそれもあるでしょう。しかし、たくさんの患者さんが来てくれている本当の理由は、『院長の人柄』にひかれて来ているんじゃないですか?」

え、僕の人柄?それは思ってもみない視点だった。

「院長が日ごろ、患者さんにかけている温かい言葉、スタッフに対するねぎらい、そして表情や雰囲気。そういう言葉や態度を含めた院長の人柄が、院内の空気を“快”にしていると思うんです」

面と向かって褒められているようで、ちょっと気恥ずかしかったが、言わんとすることは理解できた。

「分院を出すということは、院長が両方の医院を見ることはできなくなるわけですよね。
場所がわかれて、院長の目が行きとどかなくても、ちゃんとクオリティを維持できるシステムになっていますか?」

「クオリティを維持できるシステム?」

「そう。たとえば、ベテランのリーダーがいてちゃんと統括しているとか、ひとりひとりのスタッフが自立していて完全に任せられるとか、自分たちで話し合って日常のことは解決できるようになっている、とか」

スタッフを思い出しながら、考えてみた。たしかにみんな、頑張ってくれている。ただ、僕がそばにいるときは問題ないが、まだまだ自立できているとは言い難い。いま僕が抜けたら、かなりのクオリティダウンは避けられないだろう。

それに、言われてみれば、僕を慕って来てくれている患者さんの割合はかなり多い。勤務医に任せて、本当にちゃんとやっていけるのか、正直、不安はぬぐい去れない。

そんな僕の心情を察してか、キャッシュフローコーチは、うむとうなずきながら話を続けた。

「場所が分かれるということは、エネルギーが分散することになります。それは、はじめのうちは大きな影響を与えることがあるでしょう。数字の面でもそこを計算して、どれくらい利益を圧迫する可能性があるのか、シミュレーションをしておく必要がありますね。
実際に、ある医院では、分院を出して数か月後には、既存の患者さんが不満で離れていったり、新規患者の広がりも想定ほどは見込めなくて、設備投資を回収するどころか逆に利益が目減りして、資金繰りが行き詰ったケースもあります。そして、そういう例は、1つや2つではなく結構あるんですよ。
そもそも、これだけ周りに歯科医院が増えていて、その中で頭一つ抜き出た人気医院になること自体、希少なことなんです。だから、これからの時代は、やみくもな拡大路線、それも急激に広げることは、あまりお勧めしません」

彼はコーヒーを一気に飲みほすと、話を続けた。

「ただ、加藤院長の場合、たしかに今の医院では手狭でしょう。こうされてはどうですか。
まず、その新しい物件は契約する。そして、分院を出すのではなく、そちらに移転する。当然、いまよりも広いので、チェア数は増やし、あくまで院長がその医院を仕切る。そして、今までの手狭な医院は、スタッフルーム、院長室、研修室、オペ室として、通常の診療以外の目的で利用する。そうすれば、受け入れ体制は拡大し、診療については院長がすべてに目が行きとどき、スタッフも安心、患者さんもうれしい。院長も、オペレーションの悩みに苦しむことは避けられるでしょう」

これは盲点だった。分院を出すことを前提にしていたが、たしかに患者さんを広く受け入れる体制ができるのであれば、1か所にまとまっていたほうが何かと都合がいい。

「その方向で考えてみます!」

次のステップにかけあがる姿を明確にイメージでき、思わず頬が緩んだ。

今回のレッスン

◎数ある医院の中で、患者さんが自院に来てくれている最大の理由は何か?

◎拡張するときは、その魅力を損なわない方法を最大限、考えてみよう。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎医院の拡張を決断する前に考えておきたい!Part.1歯科医院を大型化する際のメリット・デメリット

▶︎医院の拡張を決断する前に考えておきたい!Part.2 歯科医院が分院展開する際のメリット・デメリット

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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