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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

歯科医院継承「医院を継ぐのに経営はノープラン」とならないように、親から医院を継ぐ前に共有してお

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2021.06.02 執筆者:和仁 達也

歯科医院を親から子へと継承したい。
そう考えて続きなども検討しているが、

事業継承はただ屋号を継ぐのではなく、
経営も一緒に引き継がなければいけません。

それまでは親の院や他院でドクターとして
働き経営には直接関与していない人もいます。

実際に自分が継承する医院はどのような
経営状況になっているのか?

いざ継承したら赤字で大変!と言うことに
なりかねません。

そこで、この記事では、事業継承に大切な
「親から医院を継ぐ前に共有しておくべきこと」を解説します。

—————————————————-

連休に実家に帰省した加藤院長は、
歯科大学時代の旧友の伊藤を飲みに誘って、
昔話に花を咲かせていた。

お互いの近況報告がひと段落したところで、
伊藤が悩みを打ち明け始めた。

「実は、近々親父から医院を引き継ぐ予定なんだけど、
正直すごい不安なんだよね」

「と言うと?」

加藤院長はビールをあおりながら尋ねた。

「いや、今まで経営のことは何も知らされてこなかったし、
借金もまだ結構残っているはずなんだけど、
財布は母親が握っていて、教えてくれないんだよ。

余計な心配をさせたくないのか、それとも
実態がわかるとわたしが引き継ぐのを断るんじゃないかって
恐れているのか、、、」

状況を察した加藤院長は、
なるほど、と相づちを打ちながら、問いかけた。

「医院の数字を見せて欲しいって伝えたことはあるの?」

「うん、何度か伝えてきたし、先週もそんな話をしたんだけど、
タイミングが来たら教えるからってはぐらかされるんだよね」

「そうか、まあ、わからなくもないけどな〜」

加藤院長はビールをグイッと一気に飲み干し、
おかわりをオーダーした。

「僕も、以前は医院の数字が全然わかっていなくて、
漠然とした不安の中で医院をまわしていたんだ。

それで、このまま規模を拡大するのは危険だと思って、
ビジョンとお金の専門家でキャッシュフローコーチの
和仁さんって人に相談して、毎月来てもらうことにしたんだ。

まあ、今でこそ医院のお金の流れが見える化されているから、
お金の不安はなくて、課題が明快になっているけど、
以前の僕なら、もし後継者に数字を見せられるかって
聞かれたら、確かに躊躇しただろうからね」

「そうなんだ?
じゃあ、ウチの親父が数字を見せない理由って、何だと思う?」

伊藤は興味深げに尋ねた。

加藤院長は、スタッフが運んできたビールを喉に流し込むと、
いくつかの選択肢がある、と言って、思いつくことを列挙した。

A・院長自身もドンブリ経営で、漠然とした不安の中にいるので、
何をどう伝えていいかわからない。

B・中途半端な伝え方をすると、息子に余計な心配をさせるで、
知らせるのを何となく躊躇している

C・医院の数字を息子に見せる気はあるが、
もう少し借金を減らした上で、数字を公開しようと思っている
(しかし今はまだそのタイミングではない)

D・息子にはお金の心配をさせたくない、
医療に専念させたい、という親心から、数字を見せずにいる。

「ざっとそんなところは思いつくけど、どうかな?」

話を聞いていた伊藤が何やら苦笑いしているのを、
加藤院長は不思議そうな顔で見つめた。

「あ、いやゴメン!話を聞いていて、
めっちゃ重要なことに気づいたかも知れない、と思って」

加藤院長は、話を続けるよう促した。

「そもそも、どんな情報を知っていればいいのか?
また、それを知ったとしてどう解釈していいのか?
そもそも、そこから分からないって気がついたんだ。

だから、漠然と『ウチの医院の数字を教えて』と言ったところで、
親父もどうしていいのか、わからないのかも知れないな、と」

「なるほどな!確かに」

加藤院長は激しく同意すると、話を続けた。

「院長として、経営者として知っておくべき
お金の話がある一方で、経営者は知る必要がないお金の話もある。

そこを見誤ると、時間と労力ばかりかかって益なし、
なんてことにもなるからね。

最低でも知っておいた方がいいことは、
以前紹介した書籍『超★ドンブリ経営のすすめ』(ダイヤモンド社)
でも紹介されている、『お金のブロックパズル』の7つの数字、
つまり、
売上、粗利、変動費、固定費、人件費、その他の固定費、利益。
さらには、借金の残高の計8つ。

あとは、
それらの数字の直近3年間がわかると、
業績が上がり調子なのか下がり調子なのか、
またその程度がどのくらいのものか、がわかるので、
ざっくり医院の業績を把握するにはいいね」

加藤院長は、ブロックパズルを紙ナプキンに
サラサラっと書きながら、伊藤に手渡した。

「この図の中に、数字を100万円単位の概算でいいから、
書き入れてみるといいよ。

医院のお金の流れを把握する一番のコツは。
完璧主義にならず、脱・完璧主義で、ざっくりとでいいから、
全体像をつかんでしまうことだからね」

このくらいなら、すぐにわかりそうだし、
聞けば教えてくれそうだ。

伊藤はお礼を言うと、その紙ナプキンを
大切そうに畳んでポケットにしまった。

 

【今回のレッスン】

◎最低限、医院の数字でつかんでおくべきことは、
売上、粗利、変動費、固定費、人件費、その他の固定費、
利益、借金の残高の計8つ。

◎さらに、それらの数字の直近3年間がわかると、
業績が上がり調子なのか下がり調子なのか、
またその程度がどのくらいのものか、がわかる。

◎医院のお金の流れを把握する一番のコツは、
完璧主義にならず、脱・完璧主義で、
ざっくりとでいいから、全体像をつかんでしまうこと。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎お金のブロックパズルとは?たった1枚の図で会社のお金の流れはすべてわかる!

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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