上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
「離職を防ぐ」先輩が後輩にキツくあたる理由と対策
2021.08.22 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり
ある歯科医院で、新人の衛生士が3か月しないうちに
辞めていくことが続きました。
はじめは、院長も「最近の子はこらえ性がないな」
ぐらいに思っていました。
しかし3年前の開業以来、そんなことが続くことは
初めてだっただけに不思議に思い、調べてみると、
意外なことが判明しました。
それは、開業当初から活躍していた能力の高い
歯科助手のAさんが、スタッフの入れ替わりがあったあたりから、
新人に対してかなり厳しくあたっていることがわかりました。
それを知った院長は、
「信頼しているAさんがまさか、新人いじめをしているなんて!?」
と、ショックを受けました。
その助手Aさんは、とてもコミュニケーション能力が高く、
患者さんの顔と名前を覚えているだけでなく、
生活背景などもさりげなく引き出し、それをうまく会話に盛り込みながら
親しみある関係を患者さんとの間に築いていました。
そのため、患者さんからの指名も少なくありません。
そんなAさんが、新人が辞めたくなるほどキツイ接し方をしているとは
(そんな二面性があるとは)信じられなかったのです。
そこで、わたしがAさんと個別に話をしたところ、
その真相がわかりました。
能力が高いAさんは、いい加減な姿勢で仕事に臨む
(ようにみえる)新人の姿勢が許せません。
しかも、自分にはない「歯科衛生士」の資格があるにも
関わらず責任感の感じられない言動が癇に障ります。
それが積み重なった結果、とげとげしい表情や言葉使いが
エスカレートし、指導の仕方がキツくなり、
それが表面的には「新人いじめ」のような形になっていたのでした。
Aさんはコミュニケーション能力は人一倍あるだけに、
衛生士の資格がないことのジレンマを、
実力の劣る新人衛生士に「無意識のうちに」ぶつけていた
のかもしれません。
この「無意識に」というのが曲者です。
本人はその自覚がないので、悪意はまったくないのに、
繰り返してしまいます。
このような状況を予防するために、
医院として予め取り組みたいことがあります。
それは、院長が双方に個別にホットラインをつくり、
真相を早期に把握することです。
具体的には、個別にランチをとりながら、
「最近どう?」とざっくばらんに聞く、というのがよいでしょう。
そして、エネルギーを持て余している先輩スタッフには、
新たなプロジェクトのリーダーを任命して、
エネルギーの矛先を医院の発展に集中させるのも良いようです。
サインは小さなうちに見つけて、すみやかに手を打ちたいものです。
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