上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
会議の場で、こちらの意図を汲んだ発言を引き出すには?
2023.02.07 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方安心安全ポジティブな場づくり着眼点
会議でメンバーに質問を振るときに、ときに
こちらの意図とズレた形で返答がくることがあります。
それを頭ごなしに否定すると、次から誰も発言しなくなるので
切り返しには注意が必要です。
そこで、こちらの意図を汲んだ発言を引き出すコツを紹介します。
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ある歯科医院のミーティングで、スタッフから意見を出してもらう
場面がありました。お題は、
「あなたはクレームを受けた時、リーダーとして
どんな着眼点で考えて対策をうつか?」
この時は、
「医院としてこういう着眼点で対策を考えてほしい」
という落とし所を予め用意しつていました。
それば、
「そのクレームは、
①本当に当院に問題があるのか、
それとも何かの誤解によるものなのか、
②サービスそのものに問題があるのか、それとも事前期待が
大き過ぎたり間違った期待をさせたことによるものか、
③今回限りの一時的なものか、それとも今後も継続的に起こりうるものか、、、」
というようなもので、具体的な着眼点を共有するのが狙いでした。
ところがそのとき、2人のスタッフから次の発言がありました。
Aさん
「会社にとって利益があるようにしつつ、
お客様の不利益がないようにする」
Bさん
「クレームを起こした社員を責めずに、
その原因を突き止めて対策にフォーカスする」
それらは考え方としては正しいのですが、
こちらの求めていた回答とは、視点というか
階層がズレている感じがしました。
ここで上司が、
「いや、わたしが聞いているのはそういうことじゃなくて、、、」
と相手を正しにかかることがあります。
ところが、それをやるとスタッフはその後黙ってしまうかも知れません。
なぜなら、スタッフたちは(質問が曖昧な表現だったから、
そう答えたのに。答えて損した!もう黙っていよう)と
自己完結するからです。
こんな時に使えるのが、
「視点の階層化で包み込む」発想です。
紙に三本線を書きながら、次のように解説します。
「2人の意見はどちらもその通りだね。
この答えには3段階の階層があります。
まず大前提の階層1は、【基本スタンス】。
Aさんはこの階層を答えてくれた。そして、階層2は【アプローチ法】。
Bさんの答えはここです。その意味でどちらもその通り。
ただ、これだけだと具体的にどう考えて動けばいいか、
でまだ悩むかも知れませんね。
そこで、今回考えて欲しいのは、
この階層3の【着眼点】なんです。
これについて、院長の着眼点を紹介するので、
今後の参考にしてほしい」
と、用意していた回答案を解説します。
これなら、スタッフのせっかくの発言を否定することなく、
包み込みながら階層の違いがあることも認識させることができ、
本来伝えたかった考え方も伝わりやすくなります。
否定ではなく、包み込む。
この発想を持つだけでも、院内の衝突が軽減されるのではないでしょうか。