上司と部下のコミュニケーションギャップを解消するコミュニケーション術
スタッフの言動が後ろ向きになった、意外な理由。
2024.07.22 執筆者:和仁 達也コミュニケーション伝え方着眼点
それまでよく働いてくれていたスタッフが、最近なぜか後ろ向きな
言動が目立つようになってきた。
そんな時に、不用意に注意すると関係性が悪化したり、
最悪の場合、辞めてしまうことも。そんな事態を防ぐために
ある歯科医院の事例を紹介します。
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タナカ歯科(仮名)で長年、歯科衛生士長として
活躍してくれていたスタッフが出産退職して2ヶ月が経った頃、
院長には気がかりなことがありました。
それは、それまで7年間に渡って勤めていたスタッフの言動が
目に見えて後ろ向きになり、表情も暗くなっていたことです。
そこで院長はコンサルタントに相談を持ちかけました。
「このままだと、他のスタッフにも悪影響を与えるし、
医院の雰囲気も暗くなります。
どうしたらいいでしょうか?」
するとコンサルタントは、直接的なアドバイスをする代わりに、
1つリクエストで返しました。
■コンサル
「院長、その相談ごとにタイトルを付けるとしたら、どうなりますか?
例えば、『◯◯を◯◯するには?』みたいな表現にするとしたら、
どうなるでしょうか?」
□院長
「えっと、、、。衛生士長の退職後にあからさまに不平不満を
言うようになったスタッフを前向きにするには?って感じでしょうか、、、」
■コンサル
「なるほど、明快ですね。では、1つ質問です。
彼女がそのような言動をするようになった理由があるとしたら、
何だと思いますか?」
□院長
「衛生士長の仕事を残ったスタッフでまかなうため、
仕事が増えてストレスになっているんだと思います。
特に彼女は長年勤めていて頼られるので、その量も多いかも知れません」
■コンサル
「なるほど、では彼女にとって、そのストレスに見合うリターンは
ありますか?それは、必ずしもお金だけに限らず、
労いの言葉をかけられるとか、その仕事にやりがいがあって
成長できる実感があるとか、どんなことでもいいのですが」
□院長
「・・・! その発想はありませんでした。
スタッフが減ったなら、残りのスタッフでカバーするのが
当たり前みたいに思っていて、特に労いの声もかけずにいました。
わたしとしても、新しいスタッフを探す方にばかり気を取られていて、、、」
■コンサル
「なるほどね。では、せめて院長が新しいスタッフを探すために
試行錯誤していることは、スタッフには伝わっていますか?」
□院長
「いえ、特に伝えていません。当然、スタッフ募集をしている
ことは知っているとは思います。ただ、いつ入社して、いつになれば
今の自分たちの業務負担が減るのか、全くわからないまま働いているのでしょう。
あぁ、これは、お恥ずかしい!
スタッフを変える前に、彼女たちに労いと感謝を伝えることが先でしたね。
明日、さっそく話をします」
スタッフの言動が後ろ向きになった時、そこには理由があります。
言動を正すことも大切ですが、その理由を突き止めることが
先決なケースもあるようです。
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