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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

優秀なスタッフが医院で8時間は働けない時の対応法。 場所に縛られずクリエイティブな仕事で活躍するには?

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2026.09.15 執筆者:和仁 達也

 

家庭の事情で、従来通りの働き方ができないスタッフに、
無理なく働いてもらうにはどうすれば良いか?

その考え方のヒントを、ある歯科医院の事例ストーリーで紹介します。

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開業して10年目になるホワイト歯科では、スタッフが多く育ち始めていた。
医療従事者として優秀なだけではなく、スタッフをまとめるチーフとして
リーダーシップを発揮する人や、患者さんとのコミュニケーションに
秀でた人も複数人、活躍している。

その一方で、結婚や出産、親の介護など環境の変化に伴い、
従来通りの働き方ができないスタッフも現れ始めた。

アシスタントの佐藤はその1人で、これまでフルタイムで働いてきたが、
近々従来よりも2時間短縮した形になる旨の相談があった。

つまり、出社時刻が1時間遅く、退社時刻も1時間早い時間に
ならざるを得ない状況。そうなると、これまでなら正社員ではなく
パートスタッフの扱いとなり、稼働量が3割下がると同時に、
給料や待遇面も相応に下がることになる。

佐藤は院長からの信頼と評価も高く、院長の本音としては
「辞められるくらいなら、仮に稼働が3割ダウンになっても、
今までの報酬を支払ってでもウチにいてもらいたい」
といったところ。

しかし他のスタッフとの公平性を考えれば、そんなことは通用するわけもない。

そこで1つの方向性として
「医院にいなくても、自宅でもできる仕事を与えられないか?」
を考え始めていた。

そこで今月のキャッシュフローコーチとの定例ミーティングでは
「スタッフが場所に拘束されず、クリエイティビティを発揮して医院に貢献するには?」
をお題とした。

キャッシュフローコーチは、状況を理解すると質問を投げかけた。

「加藤院長が佐藤さんを高く評価していることがよくわかりました。
勤務時間が8時間から6時間に減る分、2時間相当を別の形で
活躍してもらえれば、社員として今まで通りの給料を支払える、
ということですね。
具体的にはどのような点で今後も活躍してほしいですか?」

加藤院長は答えた。

「佐藤さんの強みは、コミュニケーション力だと思います。
具体的には、患者さんへの説明を的確に行ったり、
ミーティングの場でもスタッフの”言葉にならない思い”を
うまく言語化してフォローすることができます。

なので、佐藤さんがミーティングに入ると、前向きで建設的な
意見交換ができるし、診療の現場では患者さんに安心して
診療メニューを選んでもらうことができ、結果として自費率も高くなってきました」

キャッシュフローコーチはうなずきながら答えた。

「なるほど、それは素晴らしい能力ですね。
物事の本質を見抜いて言葉にする力が長けているのでしょう。

そのようなクリエイティブなスキルは、もしかすると診療の現場だけではなく、
場所に拘束されずに発揮できるやり方があるかもしれませんね。

加藤院長としては、彼女に診療行為以外で何かを任せるとしたら、
どんなことが考えられますか?加藤院長はしばらく考えた上で答えた。

「まず、患者さんへの説明のトーク文は作ってもらえそうです。
医院としてのひながたはあるのですが、彼女はそれをさらに
伝わりやすい表現で説明してくれています。

それを他のスタッフでもやれるようにマニュアル化してくれたら、
医院全体のスキルアップにつながると思います。

また、患者さんの”言葉にならない不安や疑問”を引き出す
カウンセリングが上手なので、そのカウンセリング技術を伝授する
スタッフ教育をしてもらえたらとてもありがたいです。

これは場合によってはオンラインでやることもできそうです。

それから、これは本来は院長の仕事だと思うのですが、
医院の強みや価値を言葉にしてSNSやホームページ、
掲示物等で発信することもまだまだ伸びしろがあると思うんです。

そのあたりのことにも力を貸してもらえたら助かるな、と。
例えば、患者さんの声を集めて医院の価値を伝えることもできそうです」

キャッシュフローコーチは、ホワイトボードにメモしながら言った。

「なるほど、医院に居なくても色々と活躍できる余地がありそうですね。
佐藤さんとしても、医院で働ける時間が短くなることに罪悪感を持たず、
むしろ本人ならではの強みを医院の価値向上のために発揮できるとすれば、
それは幸せなことなのではないでしょうか。

そして周りのスタッフたちにもそのことをきちんと理解してもらえれば、
今後も同様のケースがあったときの希望になりそうですね」

加藤院長がうなずき手応えを感じているのを確認した上で、
キャッシュフローコーチは続けた。

「ところで、佐藤さんには具体的にどのように伝えていくと良いでしょうね?」

加藤院長は答えた。

「そうですね、まずは今お話ししたようなことをまとめて、
彼女にこんなことができるかと尋ねてみることからでしょうか」

するとキャッシュフローコーチは意外な提案を持ちかけた。

「はい、普通はそういう流れでしょうね。ただ今回の場合、
佐藤さんは自分で考える力がある方かと思います。

なので、本人の能動性を引き出す意味でも佐藤さんから院長に
ヒアリングさせてはどうでしょうか?

つまり院長の”言葉にならない思いや課題”、
佐藤さんにやってもらいたいと、漠然と思っていることなどを
引き出してもらうのです。

加藤院長としても、今お話ししたことが全てではないと思いますし、
佐藤さんから積極的に質問されることで思いつくアイディアも
あるのではないでしょうか。

そしてそのヒアリング内容をもとに佐藤さん自身が何ができるかを
院長に提案するのです。

一方で、加藤院長としても佐藤さんに何をしてもらいたいかを
書き留めておくと良いと思います。

そしてその両者の案を持ち寄って打ち合わせし、まずは3ヶ月程度で
『何をどのくらいのボリュームで行うか』の方針を決めて進めてみる。

もし途中で気にかかることがあれば、遠慮なく共有することも、
予め話しておくとスムーズですね」

加藤院長は大きくうなずきながら答えた。

「なるほど!佐藤さんが院長にヒアリングすることで、
彼女の能動性を引き出すと言うのは盲点でした。

そこから生まれたアイディアであれば、彼女も自分事として
取り組みやすくなるでしょう。

私もまとまっていない考えが引き出されて助かりますね。

しかもこれがうまくいけば、今後も同様に医院での勤務時間に
制約が出る人にとって家でも働ける希望にもなる重要な取り組みだと思います」

医院の規模が相応に発展し、スタッフの活躍できる範囲が
広がったからこそ、クリエイティビティを発揮する仕事をする余地が大きくなる。

そんな善循環の予兆に加藤院長は希望を感じていた。

 

【今回のレッスン】

◎スタッフが医院で働ける時間が短くなることに罪悪感を持たず、
 むしろ本人ならではの強みを医院の価値向上のために発揮できるとすれば、
 それは幸せなことと言える。
◎周りのスタッフたちにもそのことをきちんと理解してもらえれば、
 今後も同様のケースがあったときの希望になり得る。
◎院長側で任せることをリストアップしつつも、本人にインタビューしてもらうことで
 能動性を引き出すのも一案である。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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