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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフ教育で勉強させる習慣をつけるには?研修教育費にお金をかける前に、考えておきたいこと

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2019.05.16 執筆者:和仁 達也

スタッフ教育は、歯科経営を左右するとも言える大切なことです。

患者さんの治療で忙しい先生は、スタッフが自ら気づき、動いてくれたら….
と日々感じているのではないでしょうか。

しかし、注意をした時はやってくれるけど、なかなか続かない。

あまり厳しすぎてやめられても困るしなぁと考えると、お金を出して研修などもした方がいいのだろうか?
と考えている先生もいると思います。

研修費をかける前に考えてほしい大切なことがあります。
この記事では、スタッフが習慣的に勉強できるようになる考え方を解説しています。
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スタッフの定着率の良いホワイト歯科だが、ここ数ヶ月で結婚や出産による退職が続いた。
そこで数年ぶりに新卒のスタッフを採用し、1ヶ月が経とうとしていた。

「どうですか、新人の田中さんと伊藤さんの調子は?」

キャッシュフローコーチの和仁が尋ねると、加藤院長は苦笑いしながら答えた。

「いや〜、新しいスタッフを入れるのは久しぶりだからかも知れませんが、ちょっと戸惑っています。というのも、『え、ここまで医院で教えないといけないの?』ということも度々あって。

これまで自分で考えて動いてくれるスタッフばかりだったので、体系的な教育の仕組みもありませんし。その場その場で先輩やわたしが指導しているんですが、根本的に対策が必要かな、と思い始めているところなんです。セミナーに派遣するとか、、、。」

「具体的にはどんな面で教育が必要とお考えですか?たとえば、衛生士としてのスキルや知識面でしょうか?」

「はい、それもありますが、どちらかというと、もっと基本的なところですね。
『笑顔でのあいさつ』とか、『指示されたことの報告をきちんとする』とか、『社会人として必要なマナーや礼儀・言葉遣い』とか。その上で、衛生士としての正しい知識を身につけてほしいし、さらには『勉強の習慣』そのものも、この機会にうちのスタッフ全員にはもってもらいたいんです」

「なるほど、具体的にどうしたいか、考えがありますか?」

「ひとつ考えているのは、東京でやっているスタッフ向けの研修会にスタッフを送り込もうかと。ただ、もう1つは逆に講師に医院に来てもらって院内研修を行うのも手かな、とも思っていまして、そのあたり、どちらがよいでしょうね?」

キャッシュフローコーチはお茶をひとすすりすると、口を開いた。

「加藤院長は、どうやら“スタッフ教育に望むこと”ははっきりしているようなので、話は早いと思います。というのも、『ただ漠然とスタッフを教育しよう』と考えて、研修会や講師にスタッフを丸投げしてしまう院長も少なくないものですから。

すると、院長は「社会人としてのマナー習得」を期待し、スタッフは「衛生士としての知識習得」を期待していて、一方講師は「ある程度高度なカウンセリング技術を教える」というようなちぐはぐなことが起きたりするんです。

それだと、院長の期待と結果とが食い違ってしまい、院長もスタッフも、そして講師も不幸ですよね。

その点、加藤院長は望みが明確なので、その場合の投資効果の高い教育プランを考えましょう。

外部講師の力を借りて研修会を開く方法として、公開型の研修にスタッフを送り込むか、
自院に講師を招いて、院内研修を開催するか。どちらも一長一短あって、一概にどちらがよいとは言えませんので、ホワイト歯科の場合で考えてみましょう」

キャッシュフローコーチは、紙を取り出して、その費用対効果を計算し始めた。

1)公開型研修にスタッフ(新人3人)を送り込む場合のコスト
・スタッフの参加費:2万円×3人=6万円、旅費:往復2万円×3人=6万円
→計12万円

2)講師を招いて院内研修を開く場合のコスト
・講師料:15万円、講師の医院までの旅費:2万円
→計17万円

費用だけを見れば、公開型研修に新人3人を送り込んだほうがよさそうだが、目に見えないコストやメリットも考慮する必要がある。

公開型研修の場合、新人3人しかその内容を受講できないが、院内研修なら、先輩スタッフも受講できる。よって、情報量のズレが生じず、むしろ共通言語が生まれて仕事がスムーズになりそうだ。

さらに院内研修なら、もし講師の了解が得られれば、ビデオ撮影をさせてもらって“ホワイト歯科オリジナルの新人教育教材”として何度も復習できる上に、今後の新人スタッフにもそれを利用できる。そうなると、生涯コストとしては割安になるかも知れない。

一方で、院内研修を開いている間は診療ができないので、その間の機会損失も考慮する必要がある。ホワイト歯科の場合は、毎月の定例ミーティングの時間を研修にあてることで、そこは問題にはならないと判断した。

「こう考えると、当院では院内研修を開くのがよさそうですね。まずは、わたしが候補として考えている講師の先生がいるので、一度その方の研修に参加してみます。その上で、うちの条件にあった形で来ていただけるかを相談してみようと思います」

キャッシュフローコーチはうなずきながら、最後のひと言、アドバイスをつけ加えた。

「それはよいですね。最後に1つ、ぜひこれはおやりになるといいことがあります。
それは、あらかじめアウトプットの場を用意しておく、というものです。
たとえば、院内研修会を開いた後、必ず「どんな学びがあったか」を参加者に発表させてみる。あるいは、スタッフに『今後新しくスタッフが入ったときには、あなたが講師としてその内容の一部を教えるように』と、今のうちから予告してもいいでしょう。教えるつもりで見るので、効果が高まりますよ。アウトプットの場をつくることで、目的意識をもってインプットするよう促すのです」

院長はなるほとどうなずきながら、院内研修会のスケジュールを組み立て始めた。

 

【今回のレッスン】

◎ 教育につかうお金は時間軸を引き延ばして判断する。そのスタッフだけの学びで終わらせるのではなく、他にもリターンを求めてみよう。

◎ 最高の教育はアウトプットの場を設けること。教える人が一番学ぶ人でもあるのだから。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」
▶︎「スタッフの生産性」を高める意外な方法とは?

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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