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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

賃金アップだけが人手不足解消ではない!給料面以外の入社動機を打ち出しているか?

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2019.09.03 執筆者:和仁 達也

人手不足によって企業は人件費がどんどん上昇しています。

それによって、平均賃金も上昇し、そこに合わせないと採用できないのか?人件費が利益を圧迫してしまわないか?と悩む経営者も多いでしょう。

歯科業界でも、衛生士の求人条件、平均給料がウチより1万円高い!といった状況が出てきていたりします。

この記事では、賃金アップだけではなく、採用へ繋がる考え方をお伝えしています。

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来年の衛生士採用のリクルート活動として、衛生士の採用条件について話をしてきた、衛生士学校からの帰り道。加藤院長の足取りは重かった。というのも、その衛生士学校に募集をかけている他の医院350件の衛生士の平均初任給水準が、従来より1万円アップしていたからだ。

それは、ウチより1万円高いことを意味している。

今でも決して低すぎることはないと思っている。また、勤務年数と熟練度合いによって基本給をアップしたり、新たなプロジェクトを担当するごとに手当を支給しているので、決して悲観することはないのだが、何も知らない新人衛生士には、初任給の高さは魅力に映るだろう。

逆に、平均的な給料より低い医院は初めから目に留まらないかもしれない。

そんな不安を感じながら院長室に戻ると、午後からの定例ミーティングのために経営キャッシュフローコーチの和仁がソファで待ち構えていた。院長は、開口一番、衛生士の給料条件について話をもちかけた。

「やっぱり、うちも1万円、引き上げるべきでしょうか。今すぐ衛生士が必要というわけではありませんが、4月に結婚退職するスタッフがいるので、それにあわせてあと1人、できれば余裕を持って2人を採用したいんです」

キャッシュフローコーチは事情を把握すると、院長に確認をした。

「その募集告知の際には、学生には給料面以外の情報は伝えられないのですか?」

「いえ、給料以外の勤務条件などの情報も伝えることはできますが、診療時間とか休みの数、どんな雰囲気の医院か等、まあ大体、どこも似たり寄ったりです」

キャッシュフローコーチはうなずくと、1つ提案をもちかけた。

「加藤院長、それでは競争の軸を複数化しましょう。今は、衛生士を募集するための競争の軸が給料1点集中になっていますよね。でも、新人衛生士からすれば、たしかに給料は高いに越したことはありませんが、長く働く以上、そこ以外にも大切なことがありませんか?」

加藤院長は、腕組みして考えた。

「たしかに、“医院内の雰囲気がいい”、とか“やりがいのある仕事が任される”、とかいろいろありそうな気はします」

「そうですよね。では一度、ホワイト歯科で働くことのメリットを、”スタッフ目線”でリストアップしてみましょう。何がありますか?」

加藤院長は、ところどころつまりながらも、5つのメリットを挙げることができた。
それをキャッシュフローコーチが明快に言語化してホワイトボードに書き出していった。

1.学べる環境がある

当院は、スタッフの技術的成長、人間定期成長をサポートします。

具体的には、年1回の学会発表に全スタッフで参加して情報を共有したり、院内シンポジウムで各担当者のこの1年の学びを発表する場があります。また、外部研修に参加する際には研修費用を医院が負担しているので、勉強のために生活費を圧迫することがありません。

2.患者さんとうちとけた雰囲気がある

当院は、年に数回家族を巻き込んでのイベントをおこない、健康に関心の高い患者さんを育てるしくみがあります。そのため、日常の診療でも笑顔あふれるなごやか雰囲気の中でおこなえます。

3.スタッフ同士がフレンドリーにつきあえる環境がある

当院は、バーベキューや忘年会、ボーリング大会など、スタッフ同士が医院の外で交流する機会が年に数回あります。日ごろは真剣な表情で仕事をする院長や先輩スタッフも、仕事から離れた場で交流することで、精神的な距離感が近づきます。それによって、遠慮なく相談したり、依頼をすることができるフレンドリーな空気が生まれています。

4.院長が日本トップクラスの口腔外科の第一人者である

院長は口腔外科の第一人者で、年間●件の診療をこなしており、県外からも重症度の高い患者さんが多数来院されています。そのため、通常は体験できない多様な診療ケースを間近に見ることになり、他の追随を許さないほどの経験量が現場で得られます。

5.福利厚生も安心

医療法人化しているので、厚生年金や健康保険も完備。昼食も医院からの補助があり、有給も積極的に奨励しています。また、映画&本好きな院長の蔵書から自己啓発やベストセラー小説、映画のDVDなどお昼休みなどに楽しむことができます。

「こうやってみると、ウチの医院もなかなか悪くないですね」

ホワイトボードに書き出されたスタッフ目線の医院の特長を眺めながら、加藤院長はつぶやいた。それに、キャッシュフローコーチはひときわ大きな声で答えた。

「いや、かなり魅力的な医院だと思いますよ。当事者はそれが当たり前になりがちですが、ときにはこうやって客観的にウリを言語化することって、大切ですね。

これをホームページにも掲載しましょう。掲載が完了したら、それとなく今のスタッフさんにも見せてあげてはどうですか?自分たちが恵まれていることを、感じとってもらえるかも知れませんよ」

院長はさっそく募集用の原稿をまとめる段取りをすると共に、来週のミーティングで既存スタッフにこの話を伝えることを決意した。

 

【今回のレッスン】

◎ スタッフ採用のときは、給料の高さ以外にも「競争の軸」を複数化してアピールする。

◎ 当事者はそれが当たり前になりがちだが、スタッフ目線で客観的にウリを言語化することによって、本当に入社してもらいたい理想のスタッフの目に留まるようになる。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎人手不足時代に理想的なスタッフを雇うには?求人告知をするのと同時に、意外と忘れているもう1つのこと

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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