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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

院長が診療を休むのは悪いことなのか?スタッフに不満を抱かれずに理解してもらう方法

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2019.10.16 執筆者:和仁 達也

歯科医院の院長は診療だけが仕事ではなく、「経営」や「最新の診療技術」を学ぶなど診療だけが仕事ではなくやらないといけないことがたくさんありますよね。

しかし、診療日に休むのはスタッフに対して罪悪感じるという院長も少なくありません。

そんな院長が、スタッフに不安を抱かれることなく、休日をとることに罪悪感を感じない秘訣は、「先に言えば説明、後で言えば言い訳」です。

この記事では、医院の為に休日をとる院長をスタッフが支えてくれるようになる方法をお伝えしています。

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ホワイト医院は順調に発展していて、加藤院長の診療以外の仕事が増えつつあった。
今までは診療が終わってから夜遅くまでデスクワークをやってきたが、そろそろ限界にきていた。
そこで加藤院長は、院長の診療日数を減らして、診療以外の仕事に時間を割くことについて経営キャッシュフローコーチの和仁に相談をすることにした。

「勉強をしたり、今後の医院経営のことを考えたいので、院長として休みを多めにとりたいと思っているんですが、これって間違っていますか?具体的には、現在の週休2日を週休3~4日にしたいんです。あ、もちろん医院自体は週休2日のままで、ですよ」

「いえいえ、全然間違っていないと思いますよ。逆に、なぜそう感じるんですか?」

「やっぱり、診療室で忙しく働いているスタッフがいる中で、院長だけが休み、というのは、『わたしたちが忙しく働いているのに、院長だけズルイ』みたいになってモチベーションが下がるんじゃないか、と思って。また、よく周りから『加藤院長はどんどん先走るから、よく考えて動いた方がいいよ』と忠告されるので、これってわたしの独りよがりな要求なのかな、という気もして・・・」

「なるほど、罪悪感からくる不安があるわけですね。でも、その休みは、単に遊びのための休みじゃないんですよね?」

院長は真顔になって、やや強い口調で答えた。

「もちろんです。これからやりたい新しい診療方法を学びに研修を受けにいったり、銀行との交渉や、将来の医院の方向性を考えたり、やらなきゃいけないことはいくらでもあるんです。

それは、診療中にはやれないから、今まで平日の夜や、日曜祝日を削ってやってきたんです。
でも、そろそろ経営も安定してきたし、目先の資金繰りの心配もなくなってきた今だからこそ、堂々と休みをとっていいんじゃないか、と感じ始めているんです」

「ということは、それって全然、休みじゃないですよね(笑)。
れっきとした仕事じゃないですか?

加藤院長は、ハッとした表情でうなずいた。

「そうですよね。ただ、やっぱりわたしたち医療人は、院内で診療をしているときが仕事、みたいな思いこみがあるんですよ。そのあたりが、うちのスタッフにもわかってもらえればいいのですが・・・」

「なるほど、じゃあ、今度の全体ミーティングで、こんな話をしてみてはどうでしょうか?」

経営キャッシュフローコーチは、ペンを手にホワイトボードに絵を描きながら話を進めた。

「院長が責任をもっておこなう仕事には、ざっと数えてこれだけのことがあります」

A・医療:日常の医療を来院する患者さんに対して最善に行う。

B・ビジョン:医院の将来のビジョンや方向性を考え、それをスタッフに伝わる仕組みをつくる。

C・資金繰り:資金繰りがちゃんとまわるよう、お金の管理や銀行との折衝をする。

D・人の育成:新しいスタッフへの指導や、自発的に育つ仕組みをつくる。

E・広告宣伝:新しい患者さんが来院してくれるための仕組みをつくる。

F・患者教育:患者さんに適切な情報を届け、通い続けてくれる仕組みをつくる。

G・新しい医療:最先端の有益な医療技術を研修などで仕入れて、当院でやれるようにする。

「この見出しだけを、ホワイトボードにこんな感じで書き出して、スタッフと共有するんです」

「それで、ここからが大切なことですが、『これらのすべてが、医院を永続的に運営していくために大切な仕事である』ことを強調するんです。というのは、ふだん診療室の中だけで働いているスタッフには、「A・医療」だけが仕事で、あとのことは仕事ではない、と勘違いしている人もいるかも知れないからです。

でも実態は違いますね。その医療を継続的に行うには、そもそも患者さんが来てくれる必要があるし、その患者さんの症状に応じてこちらの技術や診療の幅も日々進化していくことも必要でしょう。そこにはスタッフのスキルアップも欠かせません。

そして、スタッフが安心して働き続けられるためには、お金がちゃんと入ってきて、遅延なく給料を払えるような体制をつくることも大事ですよね。

これらをトータルとしてバランスよく実現することの総責任者が経営者であり、院長の役割なんだ、ということを伝えるんです。

とは言え、これだけたくさんのことを一人でやるには無理があると思いませんか?と。

だから、一般の中小企業では、専務や営業部長がいて、それぞれの役割を分担してやっているのです。ホワイト歯科も、これまで少人数の間は院長一人のかじ取りでやってこれましたが、スタッフが増えて大所帯になるにつれて、組織づくりをしていくことが必要です。

いずれは院長の右腕、左腕的な存在を抜擢していくこともあるでしょう。

今は、まだその段階ではないので、とりあえず院長が全部をカバーしていますが、それにしても時間が必要なことは明らかなので、今後は「A・医療」の時間を週の3日行い、週の3日はB~Gの時間にあてようと考えています。体調管理も大切だから、最低1日は休むけどね、と。

そんなふうに、院長の仕事の全体像を共有することで、院長が何をやっているかを理解してもらえれば、スタッフも気持ち良く院長を支えようとしてくれるんじゃないでしょうか?」

加藤院長は何度もうなずきながら、キャッシュフローコーチのトークをメモし続けた。

「たしかに、この話を先にしておけば、スタッフも理解してもらえる気がします。よく和仁さんに教えてもらっている、『先に言えば説明、後で言えば言い訳』というのは、ここでも同じなんですね」

キャッシュフローコーチはにっこり笑ってうなずいた。

 

【今回のレッスン】

◎ 先に言えば説明、後で言えば言い訳、である。予め院長とスタッフの情報量を一致させて、その意図を伝えておくことで、お互い気持よく理解しあえる。

◎ とくに、医院経営においては、診療行為以外にも多くの仕事があることは、スタッフは知らない。その存在を知らせることは、スタッフの誤解を防ぐ大切なこと。

 

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

 

▶︎スタッフが医院のビジョンに賛同できない場合は、部外者の話をネタにして、社内で考えをすり合わせる。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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