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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

院長がコンサルタントと契約する時、スタッフの反発を防ぐ為に伝えるべきこととは?

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2019.12.03 執筆者:和仁 達也

歯科経営でもさらに成長を考えた時に、自分だけの力ではなく、外部の専門家の力が必要になる時があります。

その時に、院長は経営のことを考えるがあまり、独断で契約をして、内部には事後報告と言った場合もあると思います。

スタッフは「いきなり外部の専門家を登用すると言われても・・・」と言った気持ちになるのは当然かもしれません。

スタッフの皆さんは、院をよくしようと毎日頑張ってくれているはずです。

それをいきなり外部からきて口を出されるのですから良い気はしませんよね。

そのように反発を買ってしまう前に、スタッフさんに伝えて欲しいことがあります。

これからお伝えすることを伝えると、外部の専門家も同じ仲間として成長に向けて進んでいくことができます。

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加藤院長は院長室で一人、頭を抱えていた。

医院で立ち上げている複数のプロジェクトを一気に推し進めるため、外部の専門家をコンサルタントとして登用することにしたのだが、スタッフの反発を招いていたのだった。

初診の患者さんが当院の仕組みを理解し、またこちらも患者さんの考え方や生活背景を理解するために、双方の情報量を一致させるためのカウンセリングの仕組みを導入しよう、という意図だったが、スタッフが予想以上に違和感を訴えてきた。

とりわけ、開業当初からのベテラン衛生士の伊藤はまったく受け付けない様子で、個別面談も拒否。そしてそのコンサルタントを入れるといった院長に対しても敵意をむき出しにするのだった。

「顔も、観たくない」とのこと。

話を聞くと、要するに彼女の言い分は、
「今までわたしが作ってきた医院を、外からいきなり土足で入ってきて勝手に変えられちゃうなんて、許せない」ということだった。

そんな悩みを抱えながら、歯学部同期の歯科院長の鈴木に相談を持ちかけた。
鈴木とは年に数回、なじみのバーで情報交換する関係だ。

昔ながらの友人だけあって、すぐに加藤院長の状況を察して声をかけた。

「よくわかるよ。ウチの医院でもよく似たことが以前、あったからね。そのときに1つ大切なことに気がついたんだ。今でも気をつけている教訓と言ってもいいことなんだけどね」
「教訓?それは一体、なに?」

鈴木はビールをぐびっと飲んだ後、加藤院長の顔を見て、言い放った。
「それは、『意味づけ』と『やり方』は2つでセット、ってことだよ」

加藤院長が要領を得ないでいる様子を見て、鈴木は話を続けた。

「想像するに、加藤先生は、スタッフに対して『これから何をしていくか』『コンサルタントに何をやってもらうか』ばかりしゃべっているんじゃないかな?」
加藤院長がうなずくのを確認すると、鈴木はビールを飲み干し、バーテンにおかわりをオーダーした後、さらに続けた。

「それを聞いたスタッフは、たしかに理解はできるかもしれない。でも、感情的に納得できていないんだよ。なぜなら、それをやる意味がわからないから。特に、『自分にとっての意味』がね」

そこで、鈴木は「意味づけとやり方をセットにした話し方」について6つの視点で順序立てて骨子をアドバイスした。加藤院長はそれにもとづいて、自分の考えを整理し、スタッフにどう伝えるかのシナリオを書き出してみた。

 

1)もともと加藤院長が目指していたことはなにか(院長とスタッフにとっての意味づけ)

私は来院者が自分の人生を最大限に楽しんでいただけるよう、お口の健康を通じて来院者と親しく関わりたいと考えています。そのためには、治療して終わりではなく、二度と治療しなくて済む状況を二人三脚でつくっていく予防管理型の仕組みを医院の柱にしたいと考えてきました。

その場合、健康な人をサポートするので、そこには痛みや不快な事は起こりません。

自然と来院者は笑顔に、そしてスタッフには感謝の言葉がもたらされます。
それはスタッフの皆さんにとってかけがえのないやりがいとなると思います。

 

2)その実現のために自力でやったことと、限界を感じて専門家の協力を得ることにした経緯

それをこの1年間、我流でやろうとしてきましたが、気持ちばかりが先行して、何をどの順番でやればいいのかもわからず、時間ばかりが過ぎてしまいました。そんなときに、当院をよく知ってくれている信頼する人から、その分野の優秀なコンサルタントを紹介してもらいました。

彼と話をして、その実績と誠実な考え方に触れて「このコンサルタントの力を借りれば、やりたかったことがやれる」と確信しました。

 

3)その過程において、入口を間違えたことのお詫び

とは言え、コンサルタントを導入するのは当院として初めての経験です。

わたし自身も具体的にどうコンサルタントを活用していけばいいのか、よくかわらない面もありました。そんな中、スタッフのみんなに「なぜコンサルタントを登用したのか?」また「どういう位置づけで活用するのか?」をきちんと伝えることを怠っていました

コンサルタントがいくら人格者であっても、みんなにとっては部外者なわけで、いきなり医院の問題点について話しなさい、と言っても、それはハードルが高かったと思います。そんなみんなの気持ちを察することなく、不安や戸惑いを感じさせてしまったこと、申し訳なかったと反省しています。

 

4)そのコンサルタントに「やってもらうこと」と「やってもらわないこと」

このコンサルタントは、これまでに全国100医院以上のコンサルティングを行い、院長からの信頼も厚いと聞いています。彼にお願いすることは、「予防管理型歯科医院を実現するための仕組みづくり」です。逆に、みんながこれまでにやってきた工夫の数々はこれからも継続してもらいたいし、それを否定するものでは決してありません

 

5)コンサルタントの協力を得ることによる、院長とスタッフにとってのメリット

彼と面談を続けながら、わたしの言葉にならない思いをカタチにしていくことができる。そのことが私にとっての最大のメリットです。

そして、みんなが患者さんから感謝の言葉をもっともっと多くいただける仕組み、環境をつくりたい。そしてわたしも含めスタッフのみんなにとって、「仕事が楽しい」「患者さんと会うのが楽しみ」と感じられる職場をつくっていきます。

 

6)これから目指したいこと

患者さんが、虫歯の痛みで顔が歪んだ状態ではなく、笑顔で来院してもらえるように貢献することで、わたしたちも元気で、いきいきと仕事ができるクリニックをつくっていきたい

そういう主旨のもとの取り組みなので、みんなで協力してやっていきたいと思いますが、どうでしょうか。

鈴木の投げかける視点に基づいて、加藤院長の頭の中では、明日の朝礼でスタッフに伝えたいメッセージが具体的に描けていた。

 

【今回のレッスン】

◎ 新しい取り組みをするとき、そして人に動いてもらうときに大切な教訓。
『意味づけ』と『やり方』は2つでセット。

◎ 往々にして、「どうやるか?」にばかりフォーカスしがちだが、それを訴えるのは「なぜやるのか?」を明確にしてから。人は、意味を理解し、そこに共感したときに動いてくれる。

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▶︎歯科医師が失敗しないための、上手な経営コンサルタントの見つけ方

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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