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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

ビジョンや理念をスタッフが実現するツール「クレド」を浸透させて、スタッフが一人ひとりの患者さんに、もっと興味を持つ方法

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2020.01.03 執筆者:和仁 達也

毎日スタッフさんは頑張ってくれているけど、
院長の思うように動いてくれていない。

もっと、こうしてくれたなぁと思っているけど、
なかなか伝わらずに、自分の考えや、院としての考えをもっと浸透させたい。

そのためには、伝わりやすい言葉で明文化する必要があるのではないでしょうか。

スタッフがわかりやすく、実践しやすい言葉で行動指針を決めることで、
医院のビジョンや理念をスタッフが実現できるツールがあります。

この記事は、医院のビジョンや理念をスタッフが実現できるツール「クレド」について解説しています。

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ホワイト歯科は開業5年目を迎え、
当初の計画に沿ってこれまで順調に医院は発展してきた。

経済的には決して余裕があるとは言えないが、
スタッフの給料や借金の返済もきっちり予定通り支払い、
将来の投資資金も少しずつではあるが、コツコツ貯めている。

そんな中、次のステージに医院を引き上げるべく、
加藤院長は、ホワイト歯科のクレドをつくり始めた。

クレドとは、医院の理念やビジョンの実現に向けて、
スタッフが具体的にどう動けばいいのか、を箇条書きにした行動指針のこと。

もっとも、ボキャブラリーに自信がない院長は、
その言語化をキャッシュフローコーチの和仁に助けてもらいながら、
1つ1つつくっていった。

今日の定例ミーティングでも、
スタッフの患者さんへの対応の仕方について、
クレドの1項目を作っているところだった。

「ウチのスタッフは、みんな頑張ってくれているんですが、
どこか患者さんとの間に緊張感というか、
心理的なカベがある感じがするんですよね~。

それから彼女たちは、患者さんに興味が薄いというか、
淡泊な感じなんです。

もっと、患者さんに言葉をかけたり、しゃべってほしいんですよね」

キャッシュフローコーチはうなずきながら提案した。

「なるほど。それは、この後の全体ミーティングで、
スタッフ自身はどう感じているのか、考えを共有してみたいですね」

院長とキャッシュフローコーチを含め全スタッフによる
ミーティングが始まり、院長は問題提起を始めた。

「・・・ということで、本来ならもっと患者さんと
うちとけて会話ができるといいと思うんだけど、
みんなはどう思っているか、聞かせてもらえますか?」

すると衛生士長の木村から次のような意見が出てきた。

「わたしもそれは薄々感じていたんですが、
正直どこまで踏み込んで会話をしていいかがわからず
戸惑っていたんです。

というのは、ウチは担当制じゃないですよね?
これは医院としては手の空いたスタッフが臨機応変に対応できて、
効率的でいいとは思うのですが、患者さんからすれば
毎回担当が違うと『あまりプライベートなこととか
必要以上のことはしゃべらないでおこう』って思うような気がして。

逆に院長にそのあたりはどう考えておられるか、教えて欲しいです」

院長はなるほど、とつぶやいた。

(それがスタッフが患者さんと今ひとつ踏み込んでいかない
ボトルネックなのかもしれないな)

そして、言葉を選びながらしゃべり始めた

「うん、木村さんがいま言ったことも一理あるね。

たしかに当院はスタッフ数に対して患者数が多いこともあって、
その日その時に診れるスタッフが担当するスタイルにしている。

ただ、それはあくまで医院側の都合でしかないよね。

でも、それを患者さん側の都合に言い直すと、

『当院は担当制ではなく、すべての患者さんを
医院全体で診ようというスタンス』

だということです。

というのは、

『その方が患者さんはスタッフの勤務状況に影響されず、
いつ来院してもコンスタントな対応を受けられるから』

なんだ。とくに当院のようにパートスタッフが多いと、
どうしても1人の患者さんに同じスタッフがつく、
というのが難しい面がある。

たとえば木村さんが担当なら、患者さんに

『木村が担当するためには火曜日か金曜日の
どちらかで来てください』

と要求することになるが、それは忙しい患者さんには
不便だよね?

かと言って、木村さんが毎日出勤できるか、というと
家庭の事情があるからそういう訳にもいかない。
それで当院は担当制ではなくチームアプローチ型にしているんだ。

だからこそ、どのスタッフと話したことでも、
大事な情報はちゃんとスタッフ間で共有されているように
したいし、患者さんに

『ちゃんと自分のことをわかってくれている』

と感じさせるようでありたいんだ」

この院長の考えをスタッフが聞くのは初めてだった。

そして、それを聞いてやっとスタッフは院長が意図することが
わかった気がした。木村は院長とスタッフに声をかけた。

「そういうことだったんですね。よくわかりました。

では、チームアプローチ型でやるのを前提として患者さんに
『ちゃんと自分のことをわかってくれている』
と感じてもらうために、何ができるか考えてみましょうか」

そこから、具体策のリストアップが始まった。

・ 前回の来院時に患者さんが言った大切なことを
次の担当者が声がけできるよう、患者カードにメモする

・ 患者さんが気にかかっていた(ように見えること)を、
朝礼でスタッフ全員で共有する

・ 初診のときに患者さんに次のことを必ず伝える。
「当院は担当制ではなく、すべての患者さんを医院全体で
診させていただくスタイルです。なぜならその方が、
患者さんはスタッフの出勤状況に影響されず、
いつでもコンスタントな対応を受けていただけるからです」と。

・・・などなど。

そしてスタッフのそんな意見交換を聞きながら、
院長はクレドの1項目目の文章がパッと思い浮かんだ。

そして、それをメモに書き留めた。

【ホワイト歯科・クレド(行動指針)】
① わたしたちの態度や言動の1つ1つが、一人ひとりの患者さんに
「自分をちゃんとわかってくれている」と感じさせます。

(そうだ、これをスタッフに意識して欲しかったんだ。
これが当たり前にできるようになれば、当院が目指す患者さんとの
親しく打ち解けた関係性、長く良好な関係性が実現できそうだ)

そして院長はスタッフを見渡し、彼女達が提案した
いくつものアクションを貫く、この行動指針を口にした。

 

【今回のレッスン】

◎ 医院のビジョンや理念をスタッフと共有し、
 行動レベルで理解・実践してもらうには、
 クレド(行動指針)を策定することが有効である。

◎ クレドで表現する文章は、
 それが実現できたときの医院の情景が、まさにビジョンや理念と
 一致していること、そしてスタッフがどう動けばよいかが
 イメージできることが大切。

「さらに理解を深めたい人はこちらの記事もオススメ」

▶︎言いにくいことでも言える環境をつくる為には経営者がどんな会社にしたいのかというビジョンをしっかり共有すること

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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