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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

スタッフに経営情報を公開する方法とは?その”経営数字の意味”を言語化しよう。

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2020.04.15 執筆者:和仁 達也

スタッフ教育がうまく行っている院は
スタッフがよく動いてくれ、業務レベルでは
院長も満足ができると思います。

そこからさらに院を発展させるためには、
スタッフにも「数字」をもっと意識してもらいたい
と考えている院長も少なくないのではないでしょうか。

院長の自分だけが経営数字を理解のでしているので、
危機感を持って動けるけど、スタッフは経営数字を
理解していないから危機感を感じてくれない。

このギャップにもどかしさを感じている院長も多いでしょう。

しかし、数字を意識させると、スタッフは「売り上げ至上主義」
になってしまう可能性もあるかもしれません。

本来の院経営は、患者様の健康を守っていくためにあることは、
スタッフも知っていると思いますが、数字を意識させてしまうと
違った方へ行きがちです。

院の経営情報をスタッフに上手に公開して、
院のあり方を再認識してもらうことで、よりチームになり、
患者様へ最適なサービスを提供できるようになると思います。

この記事では、スタッフに経営情報を公開する方法と
その考え方をお伝えしています。

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ホワイト歯科では、スタッフも成長し、
院長の指示を受けなくても自ら動けるようになってきた。

そんな中、加藤院長は、医院をさらに飛躍させるため、
チーフスタッフに一段上の役割を任せようかと考えていた。

そんな中、経営キャッシュフローコーチの和仁との定例ミーティングが始まった。

キャッシュフローコーチが席に着くなり、
加藤院長はいきなり本論から相談を持ちかけた。

「今まで医院の数字は院長である私だけが把握していて、
スタッフには一切伝えずにいました。

せいぜい1日の患者数目標くらいしか伝えていません。
でも、そろそろ経営情報をチーフスタッフとも共有し、
院長の危機感をチーフスタッフにも持ってもらいたいと思っているんです」

キャッシュフローコーチは出された熱いお茶をすすりながら
うなずくと、あいづちを入れた。

「それは良いと思います。
チーフの木村さんは、スタッフでありながら経営者目線を
ちゃんと持って院長と医院経営の話ができるようになってきましたからね。

院長の頭の中にある経営情報を彼女とも共有することで、
院長が出す指示の意図や思いがさらに伝わり、
スタッフとの架け橋役としてますます活躍してもらえると思いますよ」

キャッシュフローコーチから方向性を後押しされて
ホッとした加藤院長は、悩みの論点を口にした。

「そこで迷っているのは、そのためには、医院のおおよその収支や
目標に対する実績の達成度などをチーフに見せていく必要を感じるんです。

でも、何をどこまで見せればいいのでしょうか?
なんでもかんでも、ただ見せればいい、
というわけじゃないと思うんですよね。

たとえば、スタッフの給料も全部公開したら、

『あの子があんなにもらっているのに、
なぜ私はこれだけしかないの!?』

とか

『こんなに高い給料をもらっているなんて、院長だけズルイ!』

とか

『交際接待費がなぜこんなに高いの!?歯科に接待なんて、
ないでしょ?』

なんて紛糾しそうです(笑)」

キャッシュフローコーチはうなずきながら、質問を投げかけた。

「その通りですね。スタッフに情報公開するときは注意しないと、
かえって余計な情報を知って誤解を招いたり、
大切な情報がその他の雑多な情報に埋もれてしまって
議論がボヤける恐れがありますからね。

そこで大切なのは、情報公開する目的、狙いです。
そのあたりは、どのようにお考えですか?」

加藤院長はしばらく天井を見上げて、数秒の沈黙の後に口を開いた。

「まずは、患者数と売上が、ちゃんと目標に沿ったペースで
来ているのか、それとも未達気味なのか、を常に把握しておいて
もらいたいです。

月末になって初めて数字を知るのではなく、1日の終わりに、
たとえば『今月も前半が終わったけど、保険、自費、物販の売上は、
今月の目標の50%以上の水準まで到達しているかな?』と
アンテナを張って売上データをチェックて欲しい。

それでもし未達幅が大きいなら、受付にアポの入れ方を
工夫するよう指示したり、手が空いた衛生士に他のスタッフの診療時に
補助に入ってチェアあたりの時間を短縮させるよう促して欲しいです」

院長の意図をくみ取ると、
キャッシュフローコーチは「なるほど」とつぶやき、話し始めた。

「それであれば、まずは月々の保険診療、自費診療、物販の
売上目標と実績値を共有することから始めるといいでしょう。

それ以外に細かな数字は段階的に伝えたほうが、
焦点がボヤけずに済みますからね。

それで、売上目標を伝える上で大切なことがあります。
それは、『その売上目標の意味』を伝えることです。

『意味』とは何かというと、その売上目標を達成したときには、
医院や自分はどうなるのか?

そして、未達のときには、医院は自分たちはどうなるのか?
というように、自分にどんな影響があるのか、という意味です」

加藤院長は疑問を口にした。

「たとえば、当院の売上7000万円というのは何を意味するか、
をスタッフにわかる表現で伝えるとすると、どんな感じになりますか?」

キャッシュフローコーチは続けた。

「こんな感じで話してはどうでしょうか。

『売上7000万円とはどういう水準かというと、
スタッフの人件費やその他固定費を支払った後に
ちゃんと利益が出て、経営的には健全なラインです。

つまり黒字です。
だから、医院が倒産するとかそんな心配は全く必要ありません。
ただ、その利益から借金の返済をして必要最低限の設備投資をすると
ギリギリ収支トントンの水準です。
よって、まったく余裕があるわけではないです。(ここまでが事実の説明)

なので、この売上目標を下回るとしたら、
それは今のお金の使い方ができないことになるから、
何かを削らなければなりません。

でも、広告費を削ればその分、
売上も減ってしまうから簡単には減らせない。

スタッフの給料だってなるべく減らしたくないし、
スタッフの首を切るなんてことは考えていない。
みんなとはずっと一緒にやっていきたいからね。

そうなると、削れるものはほとんどなくて、
わたしの報酬を減らすとか、スタッフのボーナス原資を減らす、
くらいになってくる。

まあ、わたしの報酬を減らしてもいいけど、
わたしも生活があるし限度がある話しだから本質的な解決にはなりません。

以前にも伝えたように、ボーナスとは
『得られた業績を給料以外の形で還元する手段』
だから、業績目標に達すれば満額もらえるし、
目標未達であればもらえない、ということになります。

ただ、みなさんだって、できることならボーナスは
受け取りたいだろうし、わたしもみんなに払ってあげたい。

だからこそ、誰ひとりリストラすることなく、
医院が永続して、やりがいのある仕事をし、
しかもできればボーナスもちゃんと得られるために、
この売上目標は絶対に達成しなければならないと思っています。
これが、売上目標7000万円の意味です。
わかりますか?』 と、まあこんな感じで」

なるほど、そう伝えれば、たしかにスタッフにとって
売上目標が人ごとではなく自分ごとになる。

加藤院長は伝わり方が変われば、解釈が変わり、
行動は変わることを実感し、さっそく行動に移した。

 

【今回のレッスン】

◎ スタッフに売上目標を伝える上で大切なことは、
『その売上目標の意味』を伝えること。

◎ 『その売上目標の意味』とは、その売上目標を達成したときには、
医院や自分はどうなるのか?
そして、未達のときには、医院は自分たちはどうなるのか?
というように、自分にどんな影響があるのか、という意味である。

 

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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