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歯科医院の脱★ドンブリ経営 実践ストーリー

価値を相手にちゃんと伝える秘訣とは。治療内容の説明が先か、価格の説明が先か?先に言えば説明、後で言えば言い訳。

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2020.06.02 執筆者:和仁 達也

お客様に説明をする時につい報告みたいになりがちで、お客様の意図を汲まずに一方的に説明してしまう場合がありますよね。

その時にお客様は自分のことを全然大切に考えてくれていない!と不信感や不安な気持ちになってしまいます。

逆に、一方的ではなく、お客様の事を考えて価値をしっかり伝える事ができればいかがでしょうか?

私の事を考えて話をしてくれている!となってくれると思います。

価値を相手にちゃんと伝える秘訣を解説しています。
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アキモト歯科では、初診の患者さんにはいきなり診療をするのではなく、
必ず初診カウンセリングを行っている。

それは、患者さんの症状やライフスタイルを把握するのはもちろんのこと、
当院の診療方針、とりわけ治療のあとに予防に移行することを
事前に理解してもらうことが目的だ。

診療方針とは、

「治療が終わったら予防に移行してもらい、一生自分の歯で
おいしくご飯を食べられるよう生涯を通してサポートする」

こと。これを予め伝えているのと、後で伝えるのとでは、
患者さんの受け止め方はまるっきり違ってくる。

たとえば、もし予防の話をまったくしていなかったとしよう。
治療が進み、やっと虫歯が治ったとき患者さんの心理が

「やっと終わった。もうこれで、忙しい中時間を割いて
歯医者に通わなくて済むなぁ」

となっているところに、ドクターや衛生士から

「では、治療はこれで終わりましたので、次は予防のために
3ヶ月後にいらしてください」

と突然言われたら、どう感じるだろうか?

「えっ!?まだ通わなきゃけないの?」

とびっくりして、それが表情に出る人もいるかもしれない。
するとそのリアクションを見たドクターや衛生士は、
なんだか申し訳ないような気持ちになり、
予防の提案を口にしづらくなっていきます。

予防が定着していかない理由の1つがこれである。
つまり、患者さんに心の準備をさせていないところに問題がある。

一方で、初診カウンセリングの段階で、
次のように伝えてあったとしたらどうだろうか。

「当院の診療方針をお伝えしますね。
当院ではまず虫歯を治す段階が第一ステップです。

そしてその次に、二度と虫歯で苦しむことがないよう
予防するという段階があり、それが第二ステップです。

予防の第二ステップでは、ご自分での歯磨きではケアできない
ところを専門の衛生士が専用の器具を使ってきれいにし、
虫歯の予防はもちろんのこと、歯が抜ける原因である歯周病対策をしていきます。

この予防を定期的にやられている方は、
虫歯や歯周病による痛みのリスクが最小限になり、
一生涯を通して歯の治療につかう費用も最小限になり、
良いことづくめなんですね。詳しくは今の虫歯の治療が
終わった時点でドクターから詳しくご説明しますので、
ご不明なことがあればそのときに遠慮なくお尋ねになってください」

そう予め聞かされた患者さんは、頭の片隅に予防の話が
記憶に残っているので、治療後にドクターから予防の話を持ち出されても、
驚くことなく受け止めやすくなる。

するとドクターも予防の話を切り出しやすくなる。
ここで大切な教訓は、
「先に言えば説明、後で言えば言い訳」
で、正しいことや良いことでも、
前もって伝えておけば安心して受け止められることも、
後になって言うと、言い訳がましく聞こえてしまい、
うまくいかないということだ。

アキモト歯科ではこの教訓を生かし、
初診カウンセリングをスタートし、成果をあげてきた。

そして最近は補綴選択カウンセリングも行うようになった。

これは、保険から自費までの治療メニューの中で
どの補綴物にするかを納得しながら選んでもらうためのもの。

ただ、実践して行く中で、1つ問題があった。

キャッシュフローコーチの和仁がおこなう定例の
スタッフミーティングの場で、スタッフから次の相談がもちかけられた。

「ジルコニアとかハイブリッドとか、1つ1つの治療内容の
説明をしているうちは患者さんもふつうに聞いてくださるんですが、
価格の説明をした瞬間に

『えっ!!10万円?そんなにするんですか?』

とびっくりされるんです。そのリアクションを見ると、
わたしも申し訳ないみたいな気持ちになって、
慌てて『でも保険なら、数千円でやれますから』って
つい言っちゃうんです。どうしたらいいでしょうか?」

アキモト院長もそれにかぶせて口を開いた。

「そうなんですよね。これも、おそらく
『先に言えば説明、後で言えば言い訳』みたいな話だと思うんです。

かと言って、治療内容の説明の前にいきなり価格を説明しても、
やっぱり驚かれて、そのあとの治療内容の説明が
耳に入って行かない感じがするんです。何が問題なんでしょうか?」

キャッシュフローコーチは状況を把握すると、
一瞬天井を見上げ黙考したあと、おもむろに話し始めた。

「たしかに今回のことも、説明の順番にカギがあります。
ただ、今の話は『治療内容』の説明が先か、『価格』の説明が先か、
という議論になっていますよね。

それより先に伝えておくべきことがあります。
それは、『価格方針』です」

「価格方針?」院長とスタッフは口を揃えてつぶやいた。

「そう。つまり、当院の価格設定はどのように決められているのか、
を伝えるんです。

つまり、暴利をむさぼっているわけではなく、
ちゃんとクオリティに見合った適正な価格で、
実のところとてもお得な価格なんだ、
ということを感じてもらえる説明をするんです。

たとえば、次のように。

『被せものにも保険から自費のものまでいろいろあって、
患者さんのお口の状況や生活背景、ご予算などにあわせて、
一緒に相談しながら納得の選択ができるよう決めていきたいと思います』

と前置きをして、

①当院の金属やセラミックなどの材質がA社の最高のものを
扱っていることで、患者さんにどんなメリットを与えているか、

②技工士もどれだけクオリティが高くて、
それが患者さんにどんなメリットを与えているか、

③ドクターの技術力が他の医院と比べてどれだけ高くて、
それが患者さんにどんなメリットを与えているか、

などの価値を“患者さんにとってのメリット”目線で伝えていきます。

次に、そうは言ってもなるべく患者さんの負担が
最小限で済むように工夫している点も次のように伝えます。

①当院は一般的な医院よりもチェア数を多くし、
たくさんの患者さんの診療ができる体制を整えているので、
材料を大量にまとめ買いすることができ、その分材料費を抑えている、

②技工士も優秀な人に依頼しているが、
当院の院長が技術指導をしている関係で特別な価格で
提供してもらえている、

③経営キャッシュフローコーチの指導を受け、
ムダなコストが発生しない仕組みを取り入れている、
などから、『最高の治療を提供しつつも、患者さんの
費用負担が最小限で済むように全力を尽くす』
というのが当院の価格方針です、と。

たとえばこのようなことを先に伝えた上で、
治療内容と価格を説明したなら、どうでしょう?」

院長とスタッフはうなずきながら、メモを取った。

「なるほど、たしかにそれなら、
少なくとも不信感を抱かれることはなさそうですし、
わたしたちも平常心で伝えられそうです」

トークはさらに練り上げる必要がありそうだが、
改善の方向性が見えてきたことで、
院長とスタッフの表情に希望が浮かび上がった。

【今回のレッスン】

◎ 「先に言えば説明、後で言えば言い訳」で、
正しいことや良いことでも、前もって伝えておけば
安心して受け止められることも、後になって言うと、
言い訳がましく聞こえてしまい、うまくいかない。

◎ 価格は結果である。その価格をどのようにな方針に
基づいて設定したのか、の「価格の方針」を言語化しておく。

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  • 和仁 達也

    ビジョンとお金を両立させる専門家、ビジョナリーパートナー。1999年に27歳で独立、月1回訪問・月額30万円以上の顧問先を複数抱える。継続期間は平均10年で、20年以上の支援先も。この高額報酬で長期契約が続く【パートナー型】コンサルティングを学びたいコンサルタントや士業が養成塾や合宿に1,000人以上参加。2015年に日本キャッシュフローコーチ協会を設立。CFコーチの育成と普及に注力。著書に「年間報酬3000万円超えが10年続くコンサルタントの教科書」他多数。

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